14 興味ないってのがわかった みやび視点
noteの方で、裏話、小ネタを掲載していってます
https://note.com/kirakiraspino/n/nf88cdf52eb84
noteではこちらの前日譚「0話」も公開中
https://note.com/kirakiraspino/n/na36abbadd334
今日もバイトが終わって送迎の為にナギが来てくれた。
私のシフトはほぼ毎日入れてるから「来なくていいよ」と伝えたのに「夜道を一人歩かせるわけにはいかない」と言われた。
ナギだって仕事があり、それから私の送迎だなんて疲れるだろうに。
帰り道、私たちは些細な話を交わす。
それは日常のささやかな話。
何をしたのか、何を食べたのか、他人にとってはどうでもいいと思われるかもしれないけど、少しずつこうして彼の事を知っていくのは楽しかった。
「え、ナギの寮って女性が居るんだ」
そりゃ寮を仕切る人も居るだろうけど、それが女性って知るとやっぱりなんだか複雑な気分。
いや、ただの嫉妬だけどね。
自分も見たことのない寝起きのナギとかお風呂上りのナギとかが見れるってのはすごくうらやましい。
寝起き、ってどんな感じなんだろ。
ちょっと想像つかない。
いつも完璧に見えるナギだって寝ぼけたりするんだろうか。
そしてお風呂上りとか色気駄々洩れだろうな、と歯噛みする。
見たい。
くぅ、羨ましすぎるぞ、ずるいぞ寮母。
「えっと、どんな人、なの?」
若い女性じゃなきゃいいな、と嫉妬心を隠しながら聞く。
とにかくモテるナギはきっと寮母さんにも可愛がられてるんだろうな。
ナギは中学卒業後にご両親が海外へ赴任したから別居。
それからずっと武術の先生の所に居候という形で過ごしてきたらしく、お母さんとの縁は薄いとの事。
その中で年上の女性である寮母さんとの暮らし。
漫画ならただならぬ恋が始まってもおかしくない。
「どんな人、か・・・年は俺の母親よりも上って感じだな」
良かった。
若い女性じゃないってだけで一安心。
我ながらこの嫉妬心は嫌だな、って思うけどナギが好きだからどうしたって妬いてしまう。
「へー……他には??」
「名前は白鳥乙女、らしい。みんなが名前をいじってるからそれで覚えた」
随分と可愛らしい名前だ。
おばあちゃんになっても、乙女さん、か。
本人としてはどう感じてるんだろ。
『乙女おばあちゃん』うーん、ちょっと可愛いな。アリだな。
「お子さん居るの?」
「息子が3人居ると言ってたな。よくそれで俺たちと比較される」
うわぁ、3人も産み育てたなんて大変そう。
ナギのお母さんより年上なら、息子さんたちも同年代なのかな。
「・・・それで?」
「それだけだが?」
うん??知ってるのって名前と簡単な家族構成だけ?
それも寮で暮らしてて耳に入る情報だよね。
個人的に会話したりとかしないのかな。
どこ出身だとか、仕事以外ではなにをやってるのか、とか。
もっとこう、人となりとかなんかない?と思って小首をかしげながらナギを見る。
そんなナギも「それ以外になにかあるのか?みやびは何を聞きたいんだろうか」って不思議そうな顔してる。
そうだった……。
そういう人だったな。
言い寄ってくる女性を遠ざける為に、番いの託宣を受けるような人だった。
ナギの女性嫌いは筋金入りだったんだろう。
私が思っていた以上に。
「わかったよ、ナギが人に興味が無いってのがよくわかった」
メイドカフェに行った時にちらっと出てきた寮母。
加賀宮をもってして「人間が勝てる相手ではない」と言われる肝っ玉母ちゃん。
夫は白鳥大牙同じ寮で働いてる。
体はデカいが乙女の尻に敷かれてる。