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御厨ナギはいちゃいちゃしたい  作者: 希来里星すぴの


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122 お別れ みやび視点

noteの方で、裏話、小ネタを掲載していってます

(TOPページ)

https://note.com/kirakiraspino


noteではこちらの前日譚「0話」も公開中

https://note.com/kirakiraspino/n/na36abbadd334

 お母さんの葬儀に関与する事は全てお兄ちゃんが手続きをしてくれた。

「簡略化した。母さんも俺たちが冥福を祈るだけでいいと思ってくれてるだろ」という言葉の通り、火葬炉の前で納めの儀とやらでお坊さんが読経して焼香と合掌をしたらそのまま火葬という流れ。

 とはいってもこれが短いのかもよくわからないけれど。


 お母さんはエンゼルケアで綺麗にしてもらえてたので、まるで生きてるような綺麗な姿だった。棺の中でなければ、寝ているだけに見える。

 私以上に低血圧だったので、私が成長してお母さんより早起きができるようになって朝起こしに行くことも度々あったな、なんて思い出す。

 上半身を起こした後に声をかけてもしばらくぼーっとしてて「朝なんて永久に来なければいい」なんて呟いたこともあったっけ。

 ……血だな、私と似てる。


 火葬中、収骨までの待ち時間に控室でお茶を飲みながらぼんやりと思い出に浸る。

 色々な思い出が駆け巡る。何度したかわからない後悔と共に。


 私はお母さんの人生に何があったのか知らない。

 お兄ちゃんからは「鳴宮蒼穹という元警官と交際していたが実家に結婚を反対され駆け落ち。蒼穹は私が生まれてすぐに事故で亡くなった。失意の中、心身ともに弱っていた所を加賀宮のお父さんに支えられて再婚に至った。お兄ちゃんは加賀宮の連れ子。なので私たち兄妹は血が繋がっていない」と説明を受けた。

 それが真実かどうかは知らない。

 お父さんの写真を見せてもらったけど、確かに私に似ていた。お母さんが寝ぼけてた時に私を見て目を潤ませて何かを呟くこともあった。もしかしたらそれは父の名前だったのかもしれないと思った。

 だから成長するにしたがって、父に似ていく私を見るのがお母さんはつらかったのかなと思った。子供の頃と比べると、私に対する態度が素っ気なく感じたのはそれなのかな、と。

 もしそうなら、父に似なきゃよかった。

 

 思いに更けていたら、係員さんに呼ばれた。お骨上げと呼ばれる儀式をするらしい。

 やはりお母さんを直視するのは辛い。変わり果てたお母さんを用意された骨壺へと収める。

 初めて直面する、人の死。それがお母さんだなんて。


 すべてが滞りなく終わった後に、子供の頃よく母がしてくれたようにと骨壺をそっと抱く。あまりにも軽く変わり果てた姿を思い、亡くなったんだと改めて感じる。

 もう枯れ果てたかと思ったのに、涙が出そうになった。

 頭の上に掌を乗せられた感触を感じ、見上げるとお兄ちゃんが切なそうに微笑んでいた。

 母を失い、その代わりに兄と再会。不思議な縁があるものだなと思った。

 お母さんが今も生きていたら、お兄ちゃんは名乗り出たのだろうか。なんとなくだけど、このままナギの先輩として私たちを静かに見守っていただけの気がする。

 もっと早くに母子が会っていたらと思わなくも無いのだけど、お兄ちゃんにはお兄ちゃんで何か思惑があったのだろうか。

 私が病院に運ばれてる間、お母さんと最後に何か会話したのかな。

 していたらいいな。2人に血のつながりがないなんてわからないくらい、母と兄は親子だった。

 兄がいたずらをしたら本気で叱ったり、礼儀作法を教えるのに真剣に向き合ったり。ご飯をお代わりしたらすごくうれしそうな顔でお母さんは喜んでたっけ。


 加賀宮の家を出た後に、私だけが母を独占してたのか……。なんだかお兄ちゃんに申し訳ない気持ち。


「時間がないから」と、スタッフの方に礼を言ってすぐに火葬場を後にした。

 高速道路を使っても6~8時間かかるというから、すぐに西古都へと向かわなくてはいけないらしい。土曜なので特に道も混んでるらしいし。

 うん、これは日帰りでは無理だな。


 道中、サービスエリアで頻繁に休憩をとった。

 そんなにも運転が大変なのかと思ったけど、どうやら私を気遣ってくれてるらしい。

 こんなに長時間車に乗る事も無かったなぁ、そういえば。

 思ったより疲労がたまっているのか、車を降りて行った背伸びが気持ちいい。運転してるお兄ちゃんの方が疲れてそうだけど。


 普段行けないサービスエリアはお土産コーナーを見て回るだけでも楽しかった。しきりに売店の軽食を勧められ、食べさせられた。

「お前は痩せすぎなんだよ。普段何喰ってたんだ」とも言われた。

 なんだか、かなっぺのお母さんを思い出す。おばさんもやたらと食べ物を勧めてくる。年長者って年下の人間に食べさせたがるのかな。

 もっとも、ナギと出会ってからは彼の手料理を食べるようになり、体重は増加してるので痩せ過ぎとも言えないのだけど。


 お土産を買おうかなと思ったら、さりげなく止められた。帰りも同じようにサービスエリアに寄るから、と。

 じゃあ、ナギとバイト先へのお土産はその時に買おうっと。バイト先はみんなで食べられる個別包装のお菓子でいいとして、ナギへのお土産は地味に悩む。

 絶対に「何でもいい」とは言うだろうけど、出来れば彼の好みの物を買いたい。

 ナギの好み……。難しいな……。


 ふと思ったんだけど、かなっぺたちのお土産はどうしようか。

 でも、事情が説明しづらいんだよねぇ。

 最近再会した血縁関係のない兄と泊りがけで一緒に母を納骨しに行ったって言いづらいな。

 ……黙っておこうかな。根掘り葉掘り聞かれそうだし、2人は今受験勉強の追い込み。

 私の事で、大事な友達にあまり心配かけたくないや。

挿絵(By みてみん)

※AI生成イラストです


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