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小さな応援団

 朝の柔らかな光がリビングに差し込む中、あゆみは机に向かっていた。参考書を広げ、ペンを握る手に自然と力が入る。


「さて、今日も頑張らなきゃ。」


 自分に言い聞かせるように呟く。姉からの助言が心に染み込んで以来、あゆみは試験合格に向けて本格的に勉強を進める決意を新たにしていた。


 リビングでは、子どもたちの声が響いていた。


「れん、そこに積んだら倒れるよ!」


「大丈夫だって、見てて!」


 何やら高く積み上げられた積み木が揺れている。あゆみは一瞬手を止め、後ろを振り返った。


「りお、もう少し慎重にね。倒れたら片付けが大変だよ。」


「うん!でも、れんが変なところに置いたからだよ!」


 二人のやり取りに自然と笑みがこぼれる。いつも騒がしい子どもたちだが、その無邪気さに救われることも多い。


 勉強の合間にあゆみはふと立ち上がり、子どもたちのもとへ向かった。


「ちょっと私もやってみてもいい?」


「いいよ!でも難しいよ、崩さないでね!」


 れんとりおの目がキラキラと輝いている。あゆみは慎重に積み木を手に取り、そっと隙間に置いた。


「できた!」


「すごい!あゆみちゃん、やるじゃん!」


「でしょ?」


 達成感に包まれるひととき。こうした遊びが心のリセットになると感じていた。


 その日の午後、子どもたちが何やら紙とクレヨンを手に、真剣な顔で絵を描いていた。


「あゆみちゃん、これ見て!」


 れんが差し出したのは、彼女が机に向かって勉強している姿を描いた絵だった。机の上には開いた参考書と、横には笑顔の子どもたちが描かれている。


「わあ、すごく上手だね。これ、私?」


「うん!あゆみちゃんが勉強してるとこ。僕たちも応援してるんだよ!」


 りおも自分の描いた絵を見せてきた。それは、あゆみが黒板の前で子どもたちに教えている姿だった。


「私が先生になったらこんな感じかな?」


「うん!絶対そうなるよ!あゆみちゃん、頑張って!」


 子どもたちの純粋な言葉が、あゆみの胸をじんと温めた。


 夜、子どもたちが寝静まったリビングで、すばるがあゆみに声をかけた。


「れんとりお、今日も絵を描いてたみたいだね。あゆみ、すごく嬉しそうだった。」


「うん、二人がこんなに応援してくれるなんて思わなかったから、びっくりしたけど……すごく力になった。」


「君が頑張っている姿が、ちゃんと伝わってるんだよ。子どもたちだけじゃなくて、僕も応援してるからね。」


 すばるの言葉に、あゆみは心からの感謝を感じた。


「ありがとう、すばるさん。私、絶対に合格して、先生になるよ。」


「その意気だ。」


 お互いに微笑み合い、あゆみは再び机に向かう。


 参考書に目を落としながら、子どもたちの描いた絵を思い浮かべる。彼らの純粋な応援が、あゆみの背中を押してくれる。


「私が選んだ道、必ず叶えるから。」


 小さな応援団の力を胸に、あゆみは前へ進んでいく決意を新たにするのだった。

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