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新たな一歩

 あゆみは大学のキャンパス内を歩きながら、自分の状況に改めて考えを巡らせていた。時折振り返ると、学生生活の終わりが現実味を帯びてきていた。講義の終わり、友人たちとの会話の隙間に、少しずつ「未来」が近づいていることを感じ取っていた。


 自分の中でそれを認識すると、少しだけ心が落ち着いた。これまで学んできたこと、友人たちとの時間、そしてすばるとの出会いが、あゆみを今の自分にしてくれたのだ。


「いよいよだな。」


 つぶやきながら、あゆみはすばるとのこれからを思う。結婚に向けて準備も着々と進んでいた。すばるはあゆみの心を支えてくれる存在であり、子どもたちとの生活もすっかり自分の一部となった。毎日のように家事を分担し、れんとりおとの関係がさらに強固になっていくのを感じていた。


 その日も、朝から忙しい時間が流れた。大学の講義を受け、図書館で勉強した後、すばるが待つ家へと帰る。まだあまり長い間同棲しているわけではなかったが、今では帰る場所があることが何よりも心地よい。


 家に着くと、すばると子どもたちがリビングで楽しそうに遊んでいた。すばるはその様子を見守りながら、静かに微笑んでいる。


「あゆみちゃん、ただいまー!」


 りおがあゆみに駆け寄ってきた。笑顔で迎えてくれるりおに、あゆみも自然に笑顔を返す。子どもたちがいる日常の中で、あゆみは自分がここにいる意味を実感していた。


「お帰りなさい。」


 すばるも静かに言い、あゆみの手に持っていた荷物を軽く取ってくれた。その優しさに、あゆみは一瞬、過去の自分と今の自分の違いを感じた。以前は孤独を感じることも多かったが、今はここにしっかりと居場所を感じていた。




 日々が過ぎ、あゆみの心には少しずつ変化が訪れ始めていた。大学生活の終わりが近づくにつれて、すばるとの結婚を控えて、あゆみは自然とその先に進む覚悟を決めていた。それは、かつて自分が抱いていた不安や恐れを克服するための一歩だった。


 それでも、家族を築くということがあゆみには大きな意味を持っていた。自分が育った家庭の中で、何度も姉と比べられ、実の親にすら理解されなかったという思いが、心の奥にあった。それでも、すばるや子どもたちの愛に触れるたびに、少しずつその傷は癒えていくような気がしていた。


 あゆみは一人で考えることが多くなった。自分の選んだ道に自信を持つことができるようになった一方で、どこかで不安を感じる自分もいた。しかし、それは完全に過去の自分とは違っていた。すばると一緒にいれば、どんな未来でも乗り越えられるという確信があった。




 ある日、あゆみは大学のキャンパス内で友人たちと過ごしていた。その会話はこれからのことを話すことが増えてきた。


「ねえ、あゆみ、卒業したらどうするの?」と奈緒が訊いてきた。


「うーん、いろいろ考えてるよ。」あゆみは軽く笑って答えた。大学生活の終わりは新たなスタートでもあると感じていた。


「星宮先生と結婚するんでしょ?じゃあ、すぐに仕事も始めるんだよね?」と、かずきが冗談めかして言った。


 あゆみは少し恥ずかしそうに微笑みながら、「うん、そうだよ。でも、まずは卒業してから。その前に実習と教採もあるし。」と言った。


 その言葉に、友人たちはみんな笑顔を浮かべてくれた。かずきも奈緒も、あゆみの選んだ道を応援してくれていることが伝わってきた。




 その夜、あゆみは自宅のリビングで一人、ゆっくりと過ごしていた。すばるは子どもたちと遊びに出かけていた。あゆみは静かな部屋の中で、これからのことについて考えていた。


「結婚、すぐにしてもいいのかな。子どもたちと一緒に、家族として歩んでいけるのか。」


 あゆみは手に持っていたネックレスをそっと触った。あの指輪をつける日が来るのは、そう遠くないことを感じていた。


「私は、この道を選んで良かったんだよね。」


 あゆみは深呼吸をし、静かに目を閉じた。心の中で感じる幸せをかみしめながら、これから先を歩んでいく覚悟が固まった。




 日曜日の午後、すばるとあゆみは子どもたちにどう伝えるかを話し合った。すばるはあゆみと二人で何度も考え、ついに子どもたちに対してどう伝えるべきかを決めた。


「あゆみ、これからも一緒にいるよ。」


 すばるはその言葉をやさしく言い、あゆみもそれを聞いて心を決めた。

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砕けた昴

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