第二十話 空前絶後の大艶会を前に!
織畑正義の前後を八人の美女が囲んでいる。
温泉街によくある風俗店が視界に入り正義は見ていない素振りをした。
紗央莉の下ネタが正義の耳に届き正義は茹で蛸のような真っ赤な顔をしている。
「正義、真昼間からストリップ劇場があるぞ」
「紗央莉さん、それ昼夜関係あるんですか」
「姉さん、向こうは商売よ」
「沙月さんの言う通りね」
茜咲京子だった。
臀部の大きな仲居は、尻に加え胸も異常に大きい。
名前は、沖野千景と京子から聞かされた。
仲居三人の臙脂色の着物と、京子たち三人姉妹の紺色の着物に混ざって、紗央莉と沙月の灰色の浴衣が正義の前後を歩いている。
正義の浴衣は紺色だ。
しばらくした時、マイクロバスが一台、京子の横に止まった。
京子の“ホテルあかね柘榴”のバスではない。
バスの横には”ホテル見返り桜“と書いてあった。
バスから紺色のスカートスーツのグラマラスな美しい女性が三人降りてきた。
年齢も京子たち三人姉妹くらいだ。
三人のスカートの丈が異常に短い、マイクロミニ仕立になっていた。
下着が見えないのが不思議と思って、正義は拙いと感じた。
「あら、京子さん、ご無沙汰しています」
スーツ姿の女性は、京子に会釈した後に正義を見た。
「そこの旦那さんは、お客さんですか」
「いいえ、山仲間のお友達です」
京子が答えた。
「私たち、これから静かな森の湖畔でバーベキューパーティーをするんですが、
ーー 京子さん、ご一緒しませんか」
人の良い京子は、陽子、春子を見た。
「あら、妹さんたちもご一緒でしたか。
ーー 良かったら、妹さんたちと山仲間もどうぞ。
ーー でも、仲居さんたちは、お仕事もあるので無理は言いませんわ」
「あの、京子さん、俺たちに気にせず楽しんでください」
「あら、優しいのね。
ーー あなたも来てください。
ーー 静かな森の湖畔パーティーにね」
京子の指示で、臙脂色の着物の仲居三人はホテルに戻って行った。
三人姉妹と双子姉妹と正義は、ホテル見返り桜のマイクロバスに乗ることになる。
スカートスーツの三人姉妹に正義が無用心に尋ねた。
「俺たち、お邪魔じゃないかな」
「あら、心配しているの。
ーー この街は見ての通り、男が少なくて男は貴重なのよ。
ーー あなたを含めてね」
正義は女の言葉尻に、いつもの嫌な予感を感じた。
京子と同級生だった女は、桜恵子と名乗る。
妹は、順に次女の梨恵、三女の織恵と言った。
三人とも、ホテルの仲居たちと同じ、艶美な匂いを正義は感じ取っていた。
女女した体臭から醸し出す独特の甘い匂いが正義の本能を擽ぐる。
紗央莉の男まさりの性格とは、真逆なマイクロミニスカートの三人姉妹たちが気になる正義だった。
見返り桜のマイクロバスが、湖畔の入り口に到着して双子姉妹と正義は湖畔を見て驚く。
波ひとつない静かな水面に、陽射しが反射して宝石のような輝きが広がっていた。
京子が正義の耳元で囁いた。
「恵子は、ああ見えても昔は、
ーー この辺で泣く子も黙る女だったのよ。
ーー 誘惑されないように気を付けてね」
正義は、思った。
「俺、女難の相かな」
「正義、おまえ、何言ってんだ」
紗央莉だった。
その時、背後から声が聞こえる。
「紗央莉じゃないか?」
紗央莉が驚く。
ホテル見返り桜三人姉妹の三女織恵だ。
紗央莉のワンゲル時代の山仲間とあとで知る正義だった。
「織恵、久しぶりだな」
「そこの男性は?」
「私の恋人よ」
紗央莉の性格を知っている織恵は吹き出して大笑いした。
「織恵、昔の仲間に失礼だぞ」
「だって、紗央莉、昔と全然変わらないんだから。
ーー ある意味で、貴重種よね」
「それも、失礼だ。
ーー そっちこそ、変わっていない」
紗央莉の言葉を聞いていた沙月と正義が横で呆れ果てていた。
バーベキューパーティーが始まって、しばらくした時だった。
「京子、私たち三人も、お客さんの歓迎パーティーに参加させて」
京子は、恵子の怖さを知っているだけに、断る理由が見つからない。
紗央莉は、織恵の仲間もあって、むしろ自然かと思った。
三人姉妹二組と双子に仲居三人で何人だと考えていたら。
紗央莉が京子に言った。
「今夜は、サッカーでもするのか。
ーー ゴールポストは正義ひとりだが」
紗央莉の後ろで血の引く正義の前にマイクロミニの三人姉妹の下半身が見えた。
下着が見える限界のミニスカートだと改めて知る正義だった。
次女は夏なのに黒いガーターストッキングを履いていた。
湖畔に夕焼け色が反射する頃、ホテル見返り桜のマイクロバスが湖畔を出発する。
「恵子さん、どちらですか」
「お友達のホテルあかね柘榴よ」
「分かりました」
とホテル見返り桜のバス運転手。
正義は、人質のように紗央莉と沙月に挟まれて座っている。
バスの座席は一部対面式になっていた。
正義の向かい側の席には姉妹以外の女性が座っている。
短いミニスカートの間から白い物が、バスが揺れる度に正義の視界に入った。
「正義、相変わらずスケベだな」
「そんなこと言ったって気になるじゃないですか」
「そういうものか、分からん」
「紗央莉さんは、女だから、分かんないんですよ」
「何がだ!」
「男の好奇心ですよ」
「そんなもん、正義にもあるのか?」
「そりゃ、少しはありますが」
正義の話を聞いていた、別のスカートスーツの女性が正義の前にやって来た。
女性は正義の前の席に座ると、後ろ向きになり両足を大きく開いた。
短いスカートがズリ上がり股間の間が晒されている。
「私の見える、正義さん」
「いいえ、何も見えません」
「じゃあ、これでどうかしら」
女は更に足を大きく広げて股間の付け根を正義の前に晒した。
ミニスカートが更にズリ上がり、正義の視界にスカートの中がハッキリ見えた。
正義の視線は、コーラルピンクの下着に釘付けになり頬と耳が赤くなる。
下着の一部が透けていて、黒々とした陰部が見えていたからだ。
次の瞬間、複数の女の手が、正義の股間を確認した。
「ちょっと失礼、息子さん元気ね」
紗央莉と沙月も悪ノリして正義の股間の上をタッチした。
「おおー、鉄は熱いうちに打てだな」
紗央莉が言うと沙月も言った。
「冷めないうちに頂きましょう」
沙月だった。
正義の悪夢の夜が始まろうとしている。
正義の童貞が空前絶後の艶会を前に足掻いていた。
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三日月未来