筋肉ドッグ
デビルドッグが仲間同士で喧嘩を始めたぞ。俺を一人占めするため……って、訳もなさそうだ。デビルドッグの中におかしい奴がいるみたいで、腐った肉のはずなのに、筋肉ムキムキで、一回り大きくなったデビルドッグが暴れ始めた。普通のデビルドッグは筋肉ドッグを止めようとするが、返り討ちにされる一方で……
「ワオーン!!」
筋肉ドッグが雄叫びを上げると、デビルドッグ達は逃亡。レイの回転が止まるのを待っていたデビルドッグも以下同文。そうなると、残るのは頭蓋骨の俺と筋肉ドッグだけ。
筋肉ドッグは口を開け、俺をく……わえた? 噛み砕いたり、飲み込む事もしない。甘噛みして、回り疲れてたレイの場所まで運んでくれた。
「えっ!! どういう事だ? もしかして……俺の骨を奪ったデビルドッグの一匹……」
【補骨】と思って、了承したのが【与骨】だった。それは【与骨】した相手に何かさせる事が出来る事を意味してたのかも。
筋肉ドッグは俺とレイが安全だと確認すると、その場から立ち去っていく。その時、筋肉ドッグから光の玉が出現して、俺の方へ。その光によって、凹んだ頭蓋骨が元の姿に戻ったような……痛みが消えていく。
「【与骨】は敵や仲間に骨を与えて、強化・劣化させるものだったよな。EからDになった事でどう変化したのか分かればいいんだけど」
【ステータス】を確認してみると、【与骨D】の横に【追加能力】と詳細が分かるところがあった。
【追加能力】 =【与骨】によって身体に影響を与える程の強化を与えた場合、敵味方問わず、一時的に協力関係を得る事が出来る。ただし、目の届く場所でなければ効果がない。敵であれば、【与骨】の骨が【返還】される事で、協力関係は終了(敵は強化後なので弱体化する事はない)。骨の力は戻ってこないが、自身を回復させる。
「おおっ……だから、俺がピンチの時に助けてくれたのか。という事は、他にも骨を奪ったデビルドッグを上手く利用すれば」
「うげ~……気持ち悪い。デビルドッグ達がいなくなってるけど、私の回転打ちを恐れて、逃げて行ったんだ……あれ? ポン骨と【鉄骨】の部分が外れてるし、頭がちょっとベトベトしてそうで嫌なんだけど」
レイは回転打ちのせいで目が回り、ちゃんと状況確認が出来てないみたいだ。ちゃんとしてたら、俺が飛んでいくのを分かってたはずだしな。
「はぁ……俺の骨を奪って、強化されたデビルドッグが助けてくれたんだよ。どうやら、見返りに一度は協力してくれるみたいだ。これも【与骨】という俺の能力の一つでもあるんだけどな」
「そうなんだ……お互い無事だったから良かったね」
そこまで反応が良くないぞ。強化されたデビルドッグを一時的にも仲間に出来るんだけど……
「って、おい、【鉄骨】で俺をツンツンするな……うほっ!!」
「だって……汚いし。元に戻さないと駄目でしょ。凸凹が治ってる……何で?」
レイは俺をドクロの杖に戻すつもりでツンツンしていたらしいんだが、そこは【補骨】をもう一度しないと。同じ骨は無理でも、外れたら問題ないのでは? と思ったのに、突き刺すだけで、強制的にスケルトン(頭蓋骨)→ドクロの杖に戻された感じだ
「イタタタタ……それも【与骨】の効果のらしい。協力関係が解除して、骨が返還されると回復するみたいだ。力は戻らないけどな」
「力? そういえば、強い魔力を感じて……奪われて……協力関係とか凄いんじゃないの!! デビルドッグと協力して、ベルゼブをリンチにする事も可能かも。けど、それもベルゼブの暗示次第? やってみる価値はあるんじゃない」
レイも回転で頭が回ってなかったのか、今頃になって理解したらしい。