ゴブ蔵からのメッセージ
「貴女はレイと戦うつもりなのか?」
クサイさんも俺と同じ考えに至り、レイを守るように前に立った。
「そんな事しないよ。君達は僕を助けようとしてくれたわけだし。魔王候補もなりたいわけじゃなかったから、無理に奪うつもりはないからね」
「あっ……」
サキュは俺をレイへ返して、両手を上げた。俺達と敵対する気はないらしい……が、身の危険も無くなったのに、離れるのが悲しくなるなんて、サキュは恐ろしい魔物だ。
「この場所に来たのも偶然。転移装置が誤作動を起こして、ここに来ただけ。そのお陰で無事でいるわけなんだけど……」
アクアマンもそうだったけど、別段魔王候補をやりたいわけじゃないみたいだ。ゴブ蔵みたいに、魔王候補を奪う方がヤル気があるのかもしれない。
「それなら、何で魔王候補の事を聞いてきたの? ……その前に、ちゃんと服を着て欲しいんだけど。ポン骨も服の代わりを見つけてきたんだよね?」
「いや……サキュが魔王候補だと知って、急いで戻ってきたから。【肉厚茸】とかの食べ物はあるけど」
俺は【収納】から【肉厚茸】や【食べれ草】等を吐き出した。
「はぁ……そんな事言って、わざと忘れたんじゃ……」
「茸も大好きだから嬉しいよ。服は無くても良いんだけど……魔力で作り出せるから大丈夫」
サキュは【肉厚茸】を頬張りながら、体を一回転させた。すると、変身したかのように黒の水着のような装備を着た状態に。残念と思ってしまったからって、わざと忘れたわけじゃないぞ。水着姿もそれはそれで……
「ぎゃあああ!! 何するんだよ」
「何となく……嫌らしい目で見てる気がしたから」
サキュをエロい目で見ていたと勘違い?して、レイは目潰しをしてきた。目玉が無くても怖い物は怖いぞ!!
「僕は見てもらって全然構わないよ。その代わりと言ったらなんだけど、ゴブ蔵を倒すのに協力してくれないかな?」
「そんな見返りは嫌なんだけど……貴女の言ってる事は矛盾してないかな? 魔王候補になりたくなかったんだよね? 転移装置の誤作動がなかったら、ゴブ蔵に勝ってたわけ?」
サキュがゴブ蔵にリベンジするにしても、魔王候補に戻る事になるだけ。傷だらけの姿を見た限り、ゴブ蔵に勝利したとは思えないぞ。
「全然。負けも負け。野良ゴブリンを百匹も連れてくるとか反則だよ。野良ゴブリンは欲望丸出しだから、魅了も効果ないし。ゴブ蔵までたどり着けなかったからね」
ゴブ蔵自体の強さは分からないが、野良ゴブリンを百匹も従えてるのはヤバいな。しかも、欲望丸出しだから、魅了が通じないとか……
「想像しただけでトラウマになりそうなんだけど……そんなのを相手にしないと駄目なわけ?」
レイも若干……かなり引いてるな。俺達もアクアマンやベルゼブの時には数で押したわけなんだけど、その差が凄すぎるんだが……
「けど、ゴブ蔵は早々に消えるんじゃないか? センリの報告の中で、ゴブ蔵からのコメントがあっただろ?」
レイとは違って、センリはゴブ蔵を魔界全土に紹介した。その時、ゴブ蔵本人からのメッセージもあった。
『俺様はこのまま支配域の王になる。狙うとは別の魔王候補じゃない。妖艶のエローリンだ。俺様に服従させてやるから、待ってろ』
と、六大魔王の妖艶エローリンに喧嘩を売っていた。流石に魔王候補戦だからといって、自分の身に降る火の粉は振り払うはず。




