魅了は通じます!!
「こんな状況だけど、今度こそお別れね。魔眼の支配域に行くとしても、妖艶の支配域には気をつけなさいよ。クサイさんは案外大丈夫だと思うけど、ポン骨は特に面白い事になりそうだから」
かおリンは俺達を転移装置である魔法陣の中に移動させた。今回、天使の像を破壊出来なかったのは仕方がない。かおリンにでも無理なら、どうしようもない。
「妖艶の魔王は……エローリンだったけ? 推薦されたのは婬魔サキュ……誘惑が得意そうな感じだけど、【能力】で【状態耐性○】があるから魅了も通じないさ」
【状態耐性○】は毒や麻痺だけじゃなく、魅了も含まれてるから大丈夫だろ。バッドに連れ去られた際、毒耐性はちゃんと発動してたわけだし……
「彼女達の魅了は別物だからね。レイみたいな人型が多く、【能力】関係なしで、普通にエロいから。しかも、魔物の殆んどが女、メスね」
「ちょっと……魅了が通じないなんて言いながらも、想像だけで、エロい目の形になってるとか最悪でしょ? 私もそんな風に」
「そ、そんな事はないぞ。ただ……かおリンの言葉の意味が分かったかもしれない」
レイが俺を運んでくれた時、胸に当たる事に喜びがあったなんて言えるはずもない。それもある意味魅了に入るなら、無効化どころか、効果抜群になる可能性が…出来ない
「噛みながら言われても、信憑性がないんだけど……ポン骨のくせに骨抜きにされるよ。エローリンの魔王候補は無視するのが正解かも」
「うっ……何も言い返せない」
魅了されて、仲間であるレイやクサイさんを攻撃する……なんて事はないと思うけど、無理に戦わなくてもいいかもしれない。他にも魔王候補はいるわけで……
「そこはレイ達が転移してから決めればいいから。動かすわよ。転移先は遺跡前か……それだと近くの魔物に怪しまれるわね。レイ達がいた小屋にも魔法陣があるのなら」
「転移先は選べるものなんだ?」
「私の場合、同じ支配域の中であればね。他の支配域に転移出来たの不慮な事故か……」
「こ、怖い事を言わないでよ。安全操作でお願いするんだから」
レイの質問にかおリンは答えた。転移装置でも他の支配域に干渉するのは難しいのかも。それをサタリアは操作したわけだから、古の魔王の力も伊達じゃないわけだ。
「分かってるわよ。ここの件もあるし、レイ達にいなくなられると困るからね。ちゃんとあの小屋には転移はさせる……けど」
転移装置が起動した。かおリンの姿が消えたと思ったら、一瞬であの小屋まで移動していた。ベルゼブ城からここに転移した時と時間差があるのは距離のせいなのか、かおリンが言ってた別の支配域に転移したからか。もしくは、サタリアが干渉しなかったからか……
「……だ、誰!?」
「へっ!? ……ぐはっ!!」
俺達が小屋を離れている間に、別の魔物が隠れていた。人型の女魔物? 頭に角、お尻は先がハートになった尻尾。背中にはボロボロの羽根がある。そして!! 服がないせいで胸が露な状態に……俺に血があったら、鼻血を吹き出していたぐらいの衝撃だ。かおリンはここに女魔物がいると知ってたから、最後に言葉を濁したのか?
「大丈夫!? 服も着てないし、傷だらけじゃない。安心して。貴女を襲ったりしないから。クサイさんはポン骨を小屋の外に捨てておいて」
「分かった」
クサイさんには女魔物のあんな姿に何の反応も見せず、レイの指示通り、俺を拾い上げる。彼女は怪我をしてたんだから、俺の態度は確かに頂けないけど……
「念のため、私はレイの側にいる。ポン骨は回復出来そうな食べ物と服の代わりになりそうな物を」
なるほど!! 役割分担は大切な事だ。俺には【収納】もあるし、単にエロい目をしたから、外に出されるわけじゃないんだな。レイは魔王候補の一人だし、小屋の中に見知らぬ魔物と一緒にさせるわけにもいかない。紳士であるクサイさんが小屋の外に出ないのも当然か……




