何度攻撃しても大丈夫
「……えっ!! レイじゃなくて、この文字を読めるのはポン骨の方なの? まさか、ポン骨が勇者なんて事は」
「ないない。ポン骨は骨なんだよ。しかも、勇者が魔物になるのもおかしな話だし。読めたのも偶然でしょ」
そこを否定するのはレイじゃなくて、俺だろ!? レイの言う通り、勇者が魔物になったら流石に駄目だろ。とはいえ、元サタリアは『魔物として復活』とか言ってたから、元人間説はある。
「俺自身、勇者だとは全然思えないからな。こんな状態だぞ? 勇者なら、最初から強いはずだろ?」
勇者が魔物になった場合、強力な【能力】や【魔法】を所持して、すぐに魔王になってるはずだろ? 【不死】の【能力】も勇者らしくないからな。
「確かに言われてみたら、そうかもしれないわね。なら、この像を破壊しても大丈夫? 書かれてる事が本当なら、壊すしかないでしょ。勇者に力を与えるわけにもいかないし」
かおリンが言う事も最もだ。魔界側からしたら、発見したら即破壊案件。百害あって一利なし。魔王になったとして、『この鎧のせいで攻撃が通じない!!』になったら、最悪だぞ。
「俺は構わないぞ。魔王を目指してるのに、これを無視するわけにもいかないよな」
「……レイは? 記憶の鍵にはならないか?」
クサイさんは、レイを心配して声を掛けた。俺みたいにレイも生前の記憶はない。天使の事を朧気に覚えてるは関係があった可能性はあるよな。
「う~ん……大丈夫かな。他にも同じ場所があるかもだし、私も一応は魔王候補だからね」
「なら、安心だ。遠慮なく攻撃させて貰うわ」
「……本当に容赦なく【業火の息】を吐くんだな……って、無傷!!」
かおリンは了承を得て、すぐに【業火の息】を吐いたけど、天使の像は溶けもせず、焦げすら付いてない始末。
「【業火の息】で無理なら、今度はこれよ」
【メタルアタック】という名の体当たり。これはゴーレムを一撃で粉砕する程の威力がある。炎で駄目なら、直接攻撃するしかないわけなんだけど……
「……当たる直前で弾かれるわね。頭と腕はどうやって壊したのよ。その時に完璧に壊しておけば良かったんじゃないの?」
天使の像に結界が張られてるようで、【メタルアタック】も効果なし。【業火の炎】もこれに防がれたんだろう。
「人間界の扉が開くのなら、それに反応したのでは?」
「勇者誕生と天使の像が反応したわけか? 可能性はあるよな」
けど、【××××の左腕】はどうなんだ? レイが【能力】を引き継いで、扉が開いたんだよな?
「【ポルターガイスト】でも動かすのは無理。これは諦めるしかないの?」
「仕方ない。魔王候補のアクアマンは倒されたわけだから、この遺跡の入口自体を壊して、封鎖するわ。こんな事態だし、カオスールに頼んでおくから」
「それは賢明な判断かも……カオスールの事を知ってるのか!?」
かおリンが魔王の知り合いだというのも驚きだ。アクアマンはそれを全く知らなかったみたいだけど、魔王センリはその事を知ってた?
「知り合いというか……そこはどうでもいいのよ。一応、隠し通路である水路は私達だけの秘密ね。ここみたいな場所が他にあって、行く事になったら、私を呼びなさいよ」
そう言って、かおリンは前回同様、ミニスライムは渡してきた……というより、【収納】の中に入れ込んだ。




