かおリン離脱
魔王センリがアクアマン戦終了を告げた。それもアクアマンの自爆を止めるためなのか、言葉だけで威圧され、アクアマンは全く動けない状態に。俺やレイ、クサイさんも例外じゃない。
『ある意味、アクアマンの敗北は確定したようなものでしたから。短期間での彼女達の進化も想像以上でしたし』
センリは俺達の勝利を確信していた? かおリンがいなかったら、逆に負け確定だったと思うけど……【能力】が増えた事も、アクアマン戦で分かった事だろ?
「……認める。負けを認めるよ。色々と見抜けなかったからな。魔王候補もすぐに【譲渡】されるさ」
アクアマンが消える直前、敗北を認めた事で魔王候補が【譲渡】された。
「ちょっと……右手が熱いんだけど、まさか、今回も私なの」
同化してる右手なら、俺の可能性も……と思ったけど、レイが感じた痛みがないんだから、紋章が刻まれたのはレイの体。
「アクアマンのトドメを刺したのがレイだからか? それとも、倒される前に【譲渡】した形なのか?」
【鉄骨】を操作したのはレイの【ポルターガイスト】なんだけど、魔王候補の【譲渡】は倒された後。もしくは、魔王候補同士なら権利を譲る事も出来る。
『アクアマンの消滅は免れません。魔王候補を倒した事になります。それにトドメを刺した者が魔王候補になるのではなく、その戦闘に活躍した者を、魔王候補の紋章が選びますから』
「ポン骨には悪いけど、レイが魔王候補になるのは当然ね。攻撃、回復、補助を全部こなしたんだから」
かおリンもレイが選ばれたのに納得してる。確かに【ポルターガイスト】は【鉄骨】の操作だけじゃなく、俺がアクアマンの攻撃を回避するためにも使用された。【回復】も俺自身がされたわけだからな。
「……最初から一緒に戦ってたわけだな。だが、対戦した俺からだと……」
アクアマンは最後の言葉まで辿り着けず、消滅してしまった。けど、何となく言いたい事は分かった気がする。
「一番活躍したのは私じゃなくて、かおリンだと思うんだけど……作戦も考えてくれたし、アクアマンの核を出したのはかおリンの【業火の息】でしょ?」
レイの言う通り、アクアマン戦に勝利出来たのは、かおリンの存在が大きい。【業火の息】もそうだし、周囲の水に【オイル】を流した事で、水中戦を阻止したのもある。かおリンの作戦勝ちだ。
「……それでも、紋章が選んだのはレイなんだから、素直に受け取りなさいよ。紋章が二つになったわけだから、新しい【能力】が増えてもおかしくないわね」
【能力】が増えるなら、尚更かおリンが魔王候補になっていてもおかしくないんだけど……魔王候補を拒否出来るのなら、レイは最初からそうしてたはずだしな。
『魔王候補アクアマンの敗北を魔界に広めておきます。幽霊の貴女の事はまだ知らせないので安心してください。ただし、貴女達が次も魔王候補を倒した時、待機している魔王候補も動けるようにし、貴女達の存在も魔界に伝えますから』
アクアマンの敗北は魔物達に教えておかないと、このダンジョンにの挑戦者が増えても意味がないからな。それに……レイは魔王候補二人分の紋章を手に入れたわけだから、今の段階で報告されてもおかしくないと思うんだけど……
『では……サトリに挑む魔物が現れたようなので、私はそちらの観戦しようと思うので。勿論、貴女達が私の支配域に来るのも歓迎しますよ』
と、魔王センリからの通信が切れた。あれは自分の支配域に来るのを誘ってるのか? ベルゼブブ意外はそこまで魔王候補に固執してないとセンリ自身が言ってたけど……
「魔王センリの支配域は……妖艶エローリンの支配域を越えないと行けないわね。何処に行くかはレイ達次第だけど、私はここで一旦離れるわ」




