ただの【石ころ】ではないようだ
クサイさんが俺を守護者の頭の代わりに置いた時、頭蓋骨に電撃が走り、砕け散るぐらいの衝撃を受けた。
それを取り外せたのは、レイの【ポルターガイスト】で強制的に飛ばした形。そのダメージもあって、頭蓋骨にヒビが入ってたと思う。頭の天辺がスースーしたからな。一撃でも衝撃があれば、真っ二つになってたはず。
レイは俺の体を心配してなのか、偶然なのかは分からない。レイの左腕が僅かに光り、俺の体をみるみると回復させていった。
その光は【××××の左腕】が放っていた光と同じ効果。けど、クサイさんがダメージを受ける事はなかった。効果範囲が関係するなら、俺の方がクサイさんより離れた場所にいたのに回復するのはおかしい。
その理由を見つけたのは、使用者であるレイ。というのも、俺の体が回復する分、レイの体に異変が起きたからだ。
レイの右手からヒビが割れたような傷が浮き上がってきたからだ。それは俺を回復させるため、傷を自らの体に移した……と考えたのも、レイの右手と俺の右手の骨が一体化しているせい。俺とレイが繋がっていると言っても過言じゃない気がする。
距離が関係ない事も納得出来る。多分、アクアマンに受けた攻撃は、レイの方に移されている。それは時間の経過と共に消え去るようだけど、その間は【ポルターガイスト】は使用不可。【能力】を二つ同時発動は現状では無理。それに……
『【不死】でアクアマンを混乱させるためでも、回復させるのは今回だけにして欲しいんだけど!! 本当に痛いんだからね!!』
【××××の左腕】で俺との繋がりが強くなったのか、距離が開いても、レイの文句が心の声で伝わってくる。
ダメージの引き継ぎのせいで、連続で回復するのは厳しい。更に言えば、一日に使用出来る回数が五回までと決まってるらしい。
「【不死】!? そんな能力はカオスール様だけじゃなく、センリ様も持ち合わせてない。デタラメだな。粉々にすれば回復出来ないはずだ!!」
四方八方からの水鉄砲。だが、それは途中で形を保てない物、別の場所に向かったりと不安定に。
「……はっ? こんな失敗は一度も……なかなか穴も塞がらない。この黒い物は何だ?」
アクアマンは体の風穴に、黒い何かがこびりついている事に気付いた。
「水を弾いて、再生の邪魔をしてる!? こんな物は知らないぞ。あの【石ころ】には何の魔力も無かったはずだ」
アクアマンは【オイル】の存在を知らないみたいだ。水と油は交わらない。かおリンに教わった事で、【収納】の中にある【石ころ】と【オイル】を混ぜる事を思い付いた。
そして、【串刺し】が効かなかった事と、魔力の持たない【石ころ】だと思わせた事で、自身の体に受け止めさせたわけだ。
「この黒い物のせいで魔力も【不安定】になってるのか? 早く切り離さないと」
「黒い物だけ気にかけてもいいのか!!」
【収納】された【石ころ(オイル付き)】も残り五個。ここで全部ぶつける事はせず、新たな【能力】を使用する。【補骨】による【能力】追加ではなく、【守護者】の電撃を受けた際の副産物。
「電気玉だ!!」
俺は口を開き、電撃を伴った光の玉をアクアマンに向けて、撃ち出した。




