表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
骨・骨・骨!!  作者: マネージャー
5/67

ゾンビのクサイさん

ー3ー



「ハァ……ハァ……尊い犠牲の元、何とか到着したよ。ここまで来れば、監視のハエとかデビルドッグもどういうわけ近寄って来ないから安心してよ」


 幽霊のレイでも息を切らすみたいだ。さっきの出来事は確かに危険な状況だった。誰のせいかと言うと……


「安心しろだって? 心の中で一番先に俺をデビルドッグの群れの中に投げ飛ばそうとしただろ」


「ゴメンゴメン……踏み留まったから良いよね。最初、ポン骨の頭は食べられてなかったんだし」


「良くはないだろ。結局、左手の骨を犠牲にしたわけだし」


 というのも、俺とレイがベルゼブの玉座の間から出て、レイの部屋に向かう最中の出来事。デビルドッグが俺達に襲い掛かってきた。


 俺が敵であるとベルゼブに見破られ、襲い掛かるようにデビルドッグに指示したのかと思ったけど、実際はデビルドッグが【補骨】した【ゾンビの骨】を狙ってきただけ。デビルドッグは俺よりもレイを狙ってきたので、気付く事が出来たわけだ。死霊系同士という事もあって、デビルドッグの攻撃はレイにも届くので、避けるので必死。


 骨を狙っているのだから、左手の骨を餌にして、命?からがら逃げてきたわけだ。


「命あっての物種だよ。って、私達は一度死んでるわけなんだけどさ」


「確かに!!」


 面白いネタを一本取られた事で、少し怒りも収まった。それよりも……


「でしょ。この場所は牢獄の区域みたい。牢屋が一杯あって、ベッドもあるの。何より良いのは臭くない事だよ」


 ベルゼブ城は洞窟だし、牢屋を見た時点で、レイの部屋に淡い期待をしたのが悪かった。


「ここも最初はベルゼブの城ではなかったみたいだよ」


 レイは牢獄の奥に進んでいく。牢屋の中は空ばかり。ベルゼブが捕らえた魔物はいないらしい。骨が落ちてる事もなく、宝箱なんてあるわけもない。


「それは誰からの情報だよ。記憶にないんだろ? ベルゼブにでも聞いたのか?」


「違う違う。クサイさんだよ。腐った死体のクサイさん。ベルゼブや私達以外で知性がある魔物だね。ベルゼブに食べられないよう、この場所にいるんだよ」


 レイとベルゼブ以外の知性のある魔物か。心の声で会話出来るのに場所を移動した理由は、クサイさんに会わせるためなのもあるのか。


「ただいま!! 仲間になってくれる魔物をつれて来たよ」


「……おかえり」


 牢獄の一番奥。そこには牢屋の中を掃除してるゾンビがいた。その牢屋だけベッドや机がある。その机に俺、頭蓋骨を置くという事は、ここがレイの部屋……クサイさんに掃除をさせていたのか?


 クサイさん。衣服はボロボロながらも縫い合わせてるし、そこまで臭い感じがしない。禿げたちょっと怖そうなオジサン風の腐った死体だ。


「仲間?」


「そうだよ。ベルゼブを倒すための仲間。ポン骨もそのつもりなんだよね。じゃなくても、協力して貰うんだから」


 ベルゼブを倒す……途中からそんな気はしてたけど、レイも魔王候補になるつもりなのか? それともゾンビのクサイさんが……


「それはベルゼブを倒して、魔王候補になるつもりなのか?」


 今の状態だと協力して貰わなければ、ベルゼブに手も足も出せない。実際、その両方がないわけだしな。けど、理由を聞いておけば警戒は出来るわけで。


「魔王候補? そんなわけないでしょ。私達そんなに強くないし、全く興味がないから」


 クサイさんもうんうんと頷いているのは良いけど、その魔王候補の一人を倒そうとしてるんだぞ。


「ポン骨がそれを狙うんだったら、協力する理由になるよね。私達はこの洞窟から出たいだけだから。中に入るのは良いけど、外に出るのにはベルゼブを倒すしか無理なの」


 ベルゼブを倒さないと出口がないのか。だから、レイもベルゼブに従ってるフリをしてるわけだな。


「なるほど。レイが壁をすり抜ける事も出来ないなら無理だよな。けど、俺の登場で何か変わるのか? 骨の選択も間違えさせたし」


 【黄金の骨】を【補骨】してた状態ならいざ知らず、戦力にするなら、【デビルドッグの骨】の方が良かったはずだぞ。


「だって……私もベルゼブを殴りたいし。魔法を使えたら問題なかったんだけどさ。私達を閉じ込めただけじゃなくて、話し方もムカつくし」


 話し方がムカつくのはレイも思ってたらしい。その気持ちは分からなくもない。


「本当は別の魔王候補が乗り込んでくるのを待とうと思ったけど、私達も狙われる可能性があるし。ポン骨がベルゼブの暗示が効かず、面白い能力を持ってたから」


【補骨】と【与骨】の事だろうけど、骨がない以上はどうしようもない。デビルドッグを倒して奪うにしても、ついさっき逃げてきたばかりだろ? もしかして、クサイさんの骨を……


「そのためには骨が必要みたいなんだけど、クサイさんはありそうな場所を知らないかな? ベルゼブよりも前にここにいたんだよね?」


 クサイさんはベルゼブよりも前から洞窟にいた? 城内部を把握してたから、ここに逃げ込めたのか。


「ここにある」


『おかえり』以外にようやくしゃべった!! この牢獄の何処かににあるのか? 指差す方向にあるのは頭蓋骨……俺の事じゃないよな?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ