ダメよ!!ダメダメ
「……食べてもいいか?」
「く、クサイさん!!」
クサイさんの発言に驚いてしまった。色んな物を食べる姿は見たけど、あの腕を食べるのか? グロいというか……ゾンビというか……いや、ゾンビで間違ってなかった。
「止めておいた方がいいと思うんだけど」
レイも止めようとするけど、クサイさんは謎の腕に引き寄せられてしまう。クサイさんの目が虚ろになってるようにも見える。
「……えっ!? ダメよダメダメ!! 体が少しずつ塵になってるから!!」
「ちょっ……そこは【ポルターガイスト】で止めないと、俺が危ないだろ!!」
クサイさんの体が謎の左腕に近付くたびに、崩れていこうとしてるのか、灰のような物が飛び出ていく。それでも、クサイさんは歩みを止めない。だからといって、俺をクサイさんに向けて投げるのはなしだろ。死霊系に効果がある光なら、俺もヤバい事になる。
「ぐほっ……ん? 私は何を」
俺と頭がぶつかった事で、クサイさんは正気に戻り、後退していく。俺はクサイさんとの衝突で転がり、謎の左腕の近くに……
「あれは……【聖なる光】か!?」
「【聖なる光】? それって一体何なの」
「人間が使っていた魔法だ。主に死霊系……魔の物に効果があるらしい」
クサイさんの知識がまた披露された……事よりもだ!! その説明通りなら、俺が危ないよね!! 死霊系に特効なら【不死】の効果も消すとかありえるかもしれないぞ。
「そんな説明するなら、俺が危ない事は分かるよね!! 何か力が溢れてくるような……って、あれ?」
体が消えていくというよりも、回復してるような……クサイさんの体は崩れてたはずなんだけど……
「ポン骨の舌骨が復活してるんだけど……【聖なる光】はクサイさんの勘違いじゃないの?」
レイの言う通り、どういう理由か骨を【返還】されたわけでもないのに舌骨が回復している。もしかするでもなく、謎の腕からの光のせいだよな?
「なら、もう一度……無理だな」
クサイさんが試しに近付くと、指の先が燃えた感じがして、すぐさま引っ込めた。
「どういう事? ポン骨かクサイさんのどちらかが特別なわけ? 見るからに怪しいのはポン骨なんだけど、回復するんだよね?」
「死霊系といっても、クサイさんみたいなゾンビに効果がある【能力】かもしれないのか?」
とはいえ、謎の腕から勝手に発動状態になってるのも気になるところなんだけど……
「う~ん……なら、私も近付いてみようかな? 流石に一瞬で消えてしまうなんて事はなさそうだしね」
レイは恐る恐る、クサイさんの体に異変が起きた場所まで踏み込んだ。
「……何も起きないんだけど? 痛みもないし、回復してる気もしないかな?」
クサイさんはダメージ、俺は回復、レイは何も起きない……ってのは、どういう事だ?
「それと……」
レイは何も影響を受けない事から、俺を拾い上げれる位置……謎の腕の目の前に立った。
「私の腕と合わす事が出来たりして……」
レイは謎の腕を手に取り、自身の左腕と謎の腕を重なり合わせてみた。それは一寸の狂いもなく一致しているような……レイの左腕=謎の腕なのか? けど、重なり合うだけで、レイの体に戻る事はない。それどころか、謎の腕から放たれていた光が消えてしまった。




