撃破は突然に
「馬鹿にしてるのか!! そんな格好でどうするんだよ」
ガナークを挑発するためだとしても、俺の方に精神的ダメージがくるんだけど!!
「その方が出しやすいからに決まってるでしょ」
出しやすいって……違うか。クサイさんじゃなくて、レイが言ってるわけでし……尻を向けるという事は……
「むほっ!!」
クサイさんの喘ぎと共に【鉄骨】が引き抜かれ、ガナークに向かっていく。勿論、クサイさんが屁を出した……のもあるかもしれないが、レイの【ポルターガイスト】で飛ばしたんだろう。【鉄骨】の先に付いてるのは……猛毒に違いないな。
「キ、キ、キシャー」
ガナークは俺=鶏冠カエサルを襲うよりも、【鉄骨】の回避を優先した。あれが危険物であると判断したのは毒の臭いか、体が勝手に動いたのか。ガナークは初めて防御に回った。
「もう!! 何で【鉄骨】には異様に警戒するのよ」
ガナークの気持ちも分からなくはない。あれは刺されたくないし、触りたくもない。だから、ガナークも斑点とは別の箇所で【鉄骨】を打ち落とす事も出来ない。
「私だけじゃなくて、ポン骨も攻撃してよね!! 舌の骨で突き刺す事が出来るでしょ。そのためにカエサルが乗ったんじゃないの!?」
「おおっ!! そういう事だったのか」
風圧に負けなければ、ガナークに近寄れるからな。危険ではあるけど、それしか方法がない。【串刺し】が成功すれば、更に毒が回り、【鉄骨】を避ける体力も無くなるはず。
ガナークは【鉄骨】を警戒してながらも、俺達も目で追ってるのが分かる。鶏冠カエサルが乗ってる事で風圧に負ける事は無くなったが、スピードが遅くなってしまっている。
「これは……スピードが足りないぞ。近寄り過ぎると、流石に警戒するだろ」
毒状態で遅くなったガナークの攻撃は今の状態でも避ける事が出来るけど、それは逆も同じかも。
「なら!! 」
【鉄骨】がガランゴロンと宙から地に落ちた。ガナークは突然の事に警戒を強め、【鉄骨】を凝視している。
レイが【ポルターガイスト】で【鉄骨】を操るのを止めたからだ。そして、別の物を動かしている……俺だ!!
「は、速い!! 重いのは無理なんじゃ……」
と思ったら、急な加速で鶏冠カエサルが地面へとひっくり返った事で、自由に動かす事を可能にした。その速さがあれば、風圧にも負けない……って、最初からその方が良かったのでは……
「ポン骨は【串刺し】の準備をしておいてよね」
レイの言葉に、俺は舌骨を出した状態に。【ポルターガイスト】の加速によって、斑点の箇所を【串刺し】可能に。狙うのはガナークの視角外にあたる、背中の部分。
ガナークが反応を見せる前に【串刺し】を成し遂げる。けど、剣や槍みたいに、俺の舌骨も抜けないどころか、勢いがありすぎて、突き刺した状態で折れてしまった。
その直後、ガナークは体にある残りの斑点に【鉄骨】を突き刺す前に倒れてしまった。舌骨が折れてなかったら、押し潰されてバラバラになってたぞ。
「斑点を五回攻撃するじゃなかったのかよ。折角の攻撃手段が……」
【鉄骨】でトドメを刺しておけば、舌骨を失わずに済んだのに。鶏冠カエサルが嘘を……クサイさんの通訳が間違ってたのか?
「死んだ真似……じゃないよね? 私達で倒す事が出来たんだ」
レイとクサイさんが警戒しながらも、ガナークの死体に近寄ってきた。
「ゲロゲロゲロゲロ」
「【ガナークの骨】を食べた事で、毒も【強化】されたのかもだと」
なるほど……鶏冠カエサルは【与骨】の【強化】で、他は勝手に食べただけだから、どう変化したのか分からなかったのか。
「何とか倒せたわけだけど……次はアクアマンか……その前に【補骨】で強化したいよな」
かおリンで合流しないと、先が思いやられるぞ。魔王候補だから、このガナークよりも強いわけで、知性があるわけだし。何かを【補骨】するぐらいはしておかないと……
「いや……それはいいから」
クサイさんは無言で【鉄骨】を指差すけど、流石に……って、尻に刺し直すのか!! 普通に持っていくのも嫌だけど……




