俺達の屍を越えていけ
「いや……槍だからというわけじゃないな。ガラークの体にある黒い点に突き刺さったのが原因じゃないか?」
黒い斑点……槍が刺さってるのは確かにその部分だけど、他にそんな箇所は……増えてる!!
「……ん? あれってクサイの体にある斑点、カエサル達のに似てないか? もしかして……斑点はカエサルの弱点?」
「そうだ。【カエサルの肉】を食べたせいか、斑点の箇所が柔らかい気持ちだ。それに毒も蓄えられているぞ」
毒があるから黒く染まってるのか。それもカエサル達は上手く使えてないみたいだが、ガナークに呑み込まれる事で発動するのか? 体の斑点が増えていくのも、カエサルを呑み込んだ後だけど……
「ガナークはカエサルを呑み込んだ事で、知らずに弱点も作ってしまったって事だな」
「ゲロゲロゲロゲロ」
「弱点の箇所に五回攻撃を受けたら、自分達は倒される」
鶏冠カエサルの言葉を、クサイさんが訳した。ガナークに斑点が継承されたのなら、五ヵ所に攻撃すれば良い事になる。けど、ガナークの体にある斑点は二つ。つまり、斑点を増やすためにはカエサル達を犠牲にするしかない。
「「「「ゲロゲロ!!」」」
「ゲロゲロ!!」
カエサル達の合唱に、彼等が命をかけるのだと分かってしまった。鶏冠カエサルとの別れ、涙が流れそうな場面なんだろうけど……
「でも、カエサルやガナークは野良魔物なんだよね? 時間が経過したら復活するんでしょ?」
かおリンが【ガナークの骨】や【カエサルの肉】を持ち帰ってきたんだから、そういう事なんだろうけど、元もない事を言ったら駄目だろ……
「そんな事はいいから、レイはもう一つの斑点に剣を突き刺してくれ」
カエサル達は次々と呑み込まれていく中、俺はその風圧で飛ばされてばかりで、レイ達がいる場所まで行く事が出来ない。
「大丈夫!! そこはちゃんと分かってるから」
レイは狙い通りに斑点の場所に剣を突き刺した。すると、刺された箇所から肌が紫色に変色していく。毒が発動している証拠だ。
「「キシャー」」
ガナークの二つの頭は同時に叫び、狂暴さを増し、カエサルを次々と呑み込んでいく。そして、一つ二つと斑点が増えていき、残りは後一つ。
「ゲロゲロ!!」
鶏冠カエルは再度鶏冠カッターを放ち、斑点がある場所へ。切り裂くところまでいかず、刺さった状態に。ガナークに毒が再度体に回り、鶏冠の頭の方が倒れた。
「シャー!!」
襟巻きの頭は、倒した鶏冠の頭で身動きが取れなくなったのを噛み千切る事で難を逃れた。
「マジか……やっぱり、残り二つの斑点を攻撃するしかないのか」
斑点を攻撃するたび、ガナークはカエサルを呑み込み、最後の斑点も浮かび上がった。けど、残りのカエサルは鶏冠カエサルだけになってしまっている。
「という事は……標的に合うのは」
一番の標的は鶏冠カエサルになるんだろうけど、俺の近くに寄ってくる。それどころか……
「俺の上に乗るな!! 他のカエサルみたいに囮になるところだろ。【与骨】の恩を忘れたのかよ」
鶏冠カエサルは図々しくも、俺の頭に乗ってきた。【協力】を要請しようにも、そんな余裕がない。さっきまでガナークの攻撃時の風圧で飛ばされてたのに、鶏冠カエルの重みのせいで、自力で避けないと駄目になった。
「こんな状態だと、俺もガナークに呑み込まれるんだけど!! クサイさんからも何か言ってくれ!!」
「大丈夫だ。問題ない」
俺の心からの叫びに、クサイさんはいつもの言葉を返した。しかも、クサイさんは、俺にお尻を向けた状態でだ。




