ゲロゲロゲロゲロ
ー5ー
「なぁ……これは一体どういう事なんだ?」
「それを私に聞くわけ? かおリンがいないから分からないよ」
俺とレイ、クサイさんは蛙の魔物カエサルの集団に包囲されていた。もしかしたら、水路の出口がカエサルの巣になっていたのかもしれない。
カエサルの大きさはかおリンぐらいで、クサイさんの膝よりも低いぐらいか? それにクサイさんの今の姿にそっくりだ。数は多いけど、俺達の新しい力を試す機会なのかも……いつも逃げてばかりでもいられないからな。
「すまん。私のせいだな」
「クサイさんのせいじゃないぞ。あれはかおリンが悪いんだ」
かおリンが巧妙な罠を仕掛けたわけじゃないぞ。簡潔に答えると、水路の分岐点で、かおリンの通った道にクサイさんが通れなかっただけ。かおリンもそこまで考えてなかったんだろうな。そこから分岐の繰り返しだから、かおリンも俺達を探すのに時間が掛かるはず。もしくは、動かずに待っている可能性も。助けを期待しても無駄だろうな……
「「「「ゲロゲロゲロゲロ」」」」
俺やクサイさんが水路での移動で気持ち悪くなり、吐いたわけじゃないぞ。カエサル達の合唱だ。【能力】の一種かと思ったけど、俺達に何の変化もなし。
というか、囲まれながらもカエサル達から敵意が全く感じられない。
「問題ない。ポン骨に聞いてみよう」
「誰と話して……クサイさんはカエサル達の言葉が分かるのか?」
クサイさんは【カエサルの肉】を食べて、似たような姿になってるお陰なのか、カエサル達の言葉が分かるのか!? 敵意もなく、俺達を囲んでいる理由が知りたいぞ。
「この姿から、私を新しいボスと思ってるみたいだ。カエサル達はガラークの縄張り争いに協力を求めているな。他にも私みたいに【進化】をしたいとも」
いつの間にか、クサイさんが渋い感じで話すのではなく、流暢に話してる事に驚きなんだが……これも【カエサルの肉】の効果か?
「いやいや……一応、カエサルも野良とはいえ、アクアマンの手下だろ? 無闇に手助けする事も……」
もしかして、ベルゼブ戦のデビルドッグみたいにアクアマン戦に協力させるつもりなのか? そのためには【与骨】をしないと駄目なんだが……倒そうとしてる相手の骨だぞ。しかも、カエサルの体に変化させるぐらいに強くないと駄目なわけで……
「カエサルはアクアマンの部下じゃないぞ。私と同じだ。アクアマンよりも先に、カエサル達が住んでいたようだ。ガラークの方こそ、アクアマンの部下。下に行く階段を守ってるらしい」
ガラークがアクアマンの部下? けど、野良なのは一緒な気がする。かおリンが【ガラークの骨】を持っていた以上は、一度撃破されているわけだからな。
「う~ん……俺達よりも先にダンジョンにパーティーはどうなったんだ? すでにガラークを倒してる可能性はあるだろ?」
「ゲロゲロ!! ゲロゲロ!!」
「それは失敗したらしい。ガラークに倒されたのと、自分達もあっちから攻撃を仕掛けてきたから対処した……と言ってるな」
「えっ!? 今日の魔王討伐パーティーはここで全滅したわけ? そのパーティーが弱いのか、それとも」
レイが驚いたみたいに、カエサル達は強いのか? その上を行くのがガラーク。それを考えると、カエサル達を仲間に入れてもいいかも。【与骨】による体の変化がなくとも、ガラーク撃破という目的が同じであれば【協力】なしでも、手助けはしてくれそうだ。
「分かったよ。カエサルに【与骨】すればいいんだろ? 言っとくけど、【ガラークの骨】だぞ。それに【与骨】するのは一匹だけだからな」




