獅子は我が子を……
「……同じ視野の高さだと……頭も動かせそうにないし、何も変わってないのか?」
【補骨】による【蝙蝠の骨】との合体は残念な結果に終わったのか? 手や足どころか、胴体自体がないぞ。
「いやいや……ポン骨の姿はちゃんと変わってるわ。予想外というか、面白い姿をしてるわよ。その翼で移動も出来るんじゃないの?」
「翼? 体もないのに翼が生える場所なんかないだろ?」
「ちょっと待って……私の体でポン骨の姿を反射させるから、見てみなよ」
かおリンの言った通りに、スライムの体を反射させて、俺自身の姿を確認してみる。
「うおっ!! 耳がある箇所に骨の翼が付いてる!? と、飛べるのか!?」
【蝙蝠の骨】を【補骨】した事によって、追加されたのは骨の翼。それがレイやクサイさんの体でいえば、耳の箇所に付いている。
【ステータス】だと、どう変化したのかを見てみる。
【種族】 スケルトン→スカルハイ
【パラメーター】
HP 10
MP 10
力 3
耐久 2
速度 5
魔力 3
器用さ 10
幸運 10
追加【能力】
【飛行D】=翼がある時のみ可能。ランクによって、更に【能力】が追加される事がある。
「おおっ!! 骨の翼だけど、【飛行】の能力がある。レイやクサイさんがいなくても、俺一人で移動出来るんだ……って、どうやって飛ぶんだ?」
【補骨】や【与骨】の場合は頭の中で表示されるけど、【飛行】は出ないんだよな。【状態耐性◯】とか【不死】みたいに自動で発動……してくれない。
「耳がある部分にあるんだから、それを羽ばたかせるようにするんじゃないの?」
耳を動かすって事か? 耳自体無かった状態だぞ。イメージでどうにかするしないないのか!?
「ぐっ!! ほい!! うりゃ!! これで!! はぁ……はぁ……はぁ……」
ヤバい。手足を動かすより絶対難しい気がする。集中力も半端ない。器用さが足りない……なんて事は止めてくれよ。【パラメーター】で一番上がってるんだから
「翼はピクリとも動いてないんだけど……仕方ない。荒療治みたいな事をやってみるか」
「荒療治? 一体何を……」
かおリンは俺を体に乗せて、器用にも木に登っていく。バットが飛んでたよりも高いような……まさか!!
「獅子の魔物は我が子を谷底に突き落とすらしいから、崖はないけど、高い木から落とすのもいいと思わない?」
「思うか!! 下手したら粉々、粉砕骨折だ。骨の翼がポキッと外れるかもだぞ。元に戻ると想像出来ないんだけど!!」
「その時はその時じゃない? 新しい骨を探すのを手伝うから」
説得するのは無理だ。これは本当に翼を使うしか助かる道はない。【不死】の能力は勿論黙っておくぞ。
「ここぐらいでいいでしょ」
「ちょっと!! 」
かおリンは木の上に到着と同時に、何の躊躇もなく、俺を落下させた。「落とすなよ……まだ落とすな」と言いながら、気持ちの整理ぐらいさせてくれよ!!
「そんな事考えてる場合じゃなかった!!」
地面に着くまで数秒。翼を広げて、風に乗る……といっても、骨だから風の影響が全然ないし!!
「魔法を使うわけでもないし……ん!?」
咄嗟に出た事でピンと来た!! 力や器用さも大事かもしれないけど、魔力も必要なのでは? レイが翼が無くても浮いてるわけだし……下手したら、翼は【飛行】の能力が付くだけの飾りという説。
「と、飛んだ……飛べたぞ!! 【パラメーター】で器用さが一番上がるのはどう考えてもトラップだろ」
俺は魔力を翼に通すイメージをして、【飛行】に成功。無事、地面に着地した。




