盗まれたのは……俺!?
「かおリンは強いし、頭も良さそうだから、無事に逃げ出せるんじゃないかな? 私達はやる事があるわけだし」
かおリンの強さは認めるけど、頭が良いというのは……まぁ、警備の魔物達から逃げ出す事は出来ると、俺も思う。少し遅れて、鎧を着た魔物が何人か現れたけど、誰もかおリンの事を告げ口する魔物はいなかった。これも面白いからって理由なのかも。
「そうだよな。合流の仕方は後々考えるとして、まずは骨と交換してくれる店を探すか」
他に魔王候補討伐パーティーがどんな奴等なのかも見ておきたいのもある。
「……というか、俺達なんか注目されてないか? いくつも視線を感じるというか」
「私も罪な魔物ね。かおリンには悪いけど、ここまで他の魔物達を魅了させるなんて」
通り過ぎる魔物達とよく目が合うし、一旦立ち止まる奴もいる。レイは馬鹿みたいな事を言ってるけど、本当にそれなのか? 昨日も声を掛けられたと言ってたよな? 魔王候補とバレてるなんて事は……
「かおリンと同行してたのもある」
なるほど!! クサイさんの言う通り、さっきの騒ぎで、かおリンの仲間として注目されてるかもしれないのか。どちらにしても、それを利用して聞き込みしてみるのも良いかもしれない。
「ここまで注目されてるなら、骨がある店を聴いてみるか?」
「その方が探すのも楽そうかも。スミマセン!!」
「ちょっ!!」
レイも俺の提案に納得して、声を掛けたのはいいけど、何故そいつを選んだ!? 俺達よりも二倍以上の大きさがあって、筋肉ムキムキの牛人間みたいな魔物。しかも、鎧と巨大な斧を所持してる事から、魔王候補だと紹介されても驚かないぐらいだぞ。他にも俺達みたいに弱そうな魔物はいただろ?
「どうしました? 何か困った事でも?」
見た目に反して礼儀正しい!? レイの人選は間違ってなかった?
「骨の素材がある店を探してるんだけど、何処か知りませんか?」
「骨? ああ……珍しい骨の素材を持ってますね。それを交換に……この街に何日か滞在していますが、骨を交換する店はすでに別の街に移動したかと」
素材交換のため、別の街に移動する事もあるのか。つまり、この街に骨の素材はないと……
「その骨と交換なら、私がしようか? 私はミノタウロスの太郎。斧以外でも武器は持ち合わせていますが」
かおリンもそうだったけど、頭蓋骨の状態だと素材と勘違いされるみたいだ。注目されていたのはレイじゃなくて、俺だったりするのか? 強力な武器と交換出来る程の素材扱いだし……勿論、レイは交換なんかは……しないよな?
「申し訳ないけど、これは素材じゃないし、手放すつもりはないんだ。だって、ポン骨は普通の魔物……」
レイはちゃんとミノタウロスに断りの言葉を言ってくれた……そんな時だ。ミノタウロスの股下を蝙蝠型の魔物が通り抜け、レイの手から俺を掻き拐ったんだけど!!
「ちょっと!! 何してるのよ。盗むとか最悪なんだけど!! 太郎は何とか出来ないの?」
「あれは無理です。他を巻き込みますし、戦闘扱いになってしまいます」
レイはミノタウロスに助けを求めたけど、確かにあの巨体が動き、斧を振るえば、他に迷惑を掛ける。更に戦闘行為になれば、ミノタウロスが罪を問われるわけで……
クサイさんの目の前を俺を掴んだ蝙蝠が通り過ぎたけど、何も反応出来てない。直後に捕まえる素振りをしたぐらいだ。
「フヒヒヒ!! 戦闘はしてないから大丈夫なんだよ!! それにしてもレアな素材を手に入れたぞ。これを元手に別の街で進化素材と交換だな」
蝙蝠は魔物達の隙間を縫い、それを壁として、レイ達の視線を遮る。かおリンが言ってた『戦闘以外は厳しくない』というのはこの事だよな。盗みは許されてるみたいな……
レイと蝙蝠の移動の速さは、少しばかり蝙蝠の方が速いかも。だとすれば、ここでどうにか出来るのは俺しかいない。




