新たな魔王候補誕生
「私達の勝利って事だよね!! やっと、こんな場所から出ていけるよ。クサイさん、その出口は何処にある……の」
レイがベルゼブを倒す理由は、ベルゼブ城(洞窟)から出る事だったよな。魔王候補になりたいわけじゃない。
「あそこだ。後ろにある部屋。あそこが転移の魔法陣が施されている」
クサイさんは死んだふりを止めて、立ち上がった。【与骨】に成功すると、【返還】と似た作用なのか、クサイさんの溶けた体が治癒されている……だが……
「何か……ゴメン。そんな風になるとは思わなくて」
「大丈夫だ。問題ない」
「うんうん!! 尻尾みたいで可愛……ププッ」
クサイさんは【与骨】によって、強化された……のか? 姿は少し変わった。お尻に【鉄骨】が突き刺さったる形に。それはドクロの杖を考えたら、予想出来た事だ。
レイもその姿を見て、笑うのを我慢出来てなかった。尻尾なんて言うから、俺も思わず笑いそうになるだろ!!
「んっ!! ……クサイさんはベルゼブよりも前から、この場所にいたから」
クサイさんが転移の魔法陣の場所を知ってるのはそういう事だ。もしかしたら、ベルゼブが休んでいた場所は城外だったかもしれない。
「私達の目的は達成したけど、ポン骨はどうなの? ベルゼブから魔王候補は奪えたわけ?」
レイは魔王候補に興味がないと言ってたし、確認する方法は知らないよな。
「俺も倒せばいいだけと思ってたから、どうなってるのか……何の説明も受けてない。ん? レイの首元の辺りに何か……前からあったか?」
レイの喉辺りに印というか、何かの紋章が浮かび上がり、青白い光を帯びている。
「えっ!? そんなのなかったはずだよ。もしかして……ベルゼブの呪いとかじゃないよね」
『そこは私が説明します』
俺とレイの会話に割り込んだのはクサイさん……ではなく、勿論ベルゼブの声でもない。しかも、相手の姿は全く見えない。
『声を飛ばしてるだけですから。私は第六魔王が一人、魔眼のセンリ。私の眼は何処にいようとも、見えない物はなく、魔王候補争奪の管理を任されています。おめでとうございます。君は魔王候補の一人に決定しました。その紋章が証拠です』
「魔王センリ……様。確かに存在する」
第六魔王、魔眼のセンリ。クサイさんもその存在を知っているらしく、センリ本人で間違いないのかもしれない。『魔王候補争奪の管理者』だと、センリ自身が言ってるのだから、分からない事は聞いておくべきだろう……って!!
「レイが魔王候補!! いや……それも仕方ないのか」
「えっ!? 私なの。そんなのなりたくないんですけど!! ポン骨に譲るよ」
ベルゼブにとどめをさしたのは俺……じゃなくて、レイ。俺は【装備品】扱いされてもおかしくないし、紋章が移動したのもそういった理由だよな?
『他に誰がいるのか? と思っていましたが、武器ではなかったのですね。貴方のその力……面白い……』
それは【補骨】や【与骨】の能力があるのを読み取られたのか、はたまた、サタリアから貰った力だとバレた? 魔王の一人ならあり得る。
『残念ながら、【譲渡】は倒される以外に出来ませんよ。取り下げるのも無理です。ですが、魔王候補同士だと話は別ですよ。それも条件として、君のような立場でないと駄目なのですが』
「私? そんな偉い立場だった記憶なんてないんだけど」
レイも俺と一緒で生前……というか、ベルゼブ城に来る以前の記憶はないらしいからな。
「話の流れ的に、魔王候補をベルゼブから譲渡された事じゃないか?」
『そうですね。本当に何も知らないというわけですか? 人間界の通じる穴が開かれそうとしているのは?』
「「全然!!」」
俺とレイの声は同時に発せられた。人間界……があるのは知ってる気がする。それが魔界と別れていたのは知らない。もしかして、サタリアの『来るべき戦い』とは人間界が関係してるのか?
「人魔大戦」
クサイさんがボソッと口にした。『人魔大戦』という言葉も全然知らない。
『人魔大戦はこの数百年、幾度行われた、互いの世界をかけた侵略戦争。勇者と魔王の戦いというべきでしょうか。常に最後は両者の死と共に入口は閉じるのですが……穴に隙間が生まれたのは、勇者の誕生を意味します。そして……』
ここから、センリが魔王候補が出来た理由を説明していく。




