ベルゼブの目は節穴です
ー5ー
「戻ってきましちゃね。デビルドッグ達はまだ到着しちぇませんか」
監視ハエの案内により、俺とレイ、ゾンビが玉座の間に到着。ベルゼブも玉座に戻ってきている。勿論、デビルドッグがいるはずもない。多分、強化されたデビルドッグ達がそれだと思う。
「まぁ……良いでちゅ。後ろを取る形になるかもしれまちぇんから。やちゅらを迎え撃ちゅ前に、レイはその格好良い武器を僕に渡しなちゃい。それは僕にこそ相応しいと思いまちぇんか?」
格好良い武器というのは、俺の事か!? 確かに頭蓋骨であるドクロが良い味出してそうだが。
「あの……これはポン骨なんです。新しい別の骨を与えて、強くするのもありなんじゃ……」
レイは俺をベルゼブに渡すぐらいなら、【補骨】で俺自身を強化させといて、裏切らせる方法もあると考えてるのかも……
「この姿で十分でちゅ。見た目も大事でちゅから。武器としても使えそうでちゅからね」
ベルゼブはドクロの杖をいたく気に入ったみたいだ。
『これはベルゼブに渡すしか方法がないけど……大丈夫かな?』
『大丈夫……だと思いたいな。その方がデビルドッグの方に頭蓋骨を向けるから、【協力】を求めやすいかも。ベルゼブの暗示が効かない事を祈るしかないけど』
ベルゼブは何本もある細腕で俺を持つ。クサイさんみたいに腕がもげる事はなさそうだ。
「良い感じでちゅ。魔法は……使えないんでちゅか? 僕が使ったように見せちゃいんでちゅが」
「それは展開…無理ですね。力と耐久には自身があるんですけど……ベルゼブ様は魔法が使えないんですか?」
俺に魔法を使えるかを聞いてきたのは、そういう事だよな?
「子供である僕はまだ魔法を上手く使えないんでちゅ」
魔法が使えないんなら、レイは普通に殴り倒せるのでは? ……いや、俺の右手と一体化してるから、普通の攻撃も受ける可能性があるのか。それでも、ベルゼブは魔王候補になれたんだから、暗示以外で凄い力を持ってるのかも。
暗示は俺やレイに効いてない時点でそこまでと思うし、暗示自体が魔法の一つなら、上手く使えてないわけだ。
「来ましちゃよ。レイとゾンビは僕の左右に立ちなちゃい。ここは格好良いところを見ちぇないと」
強化されたデビルドッグ達と……クサイさんが玉座の間に入ってきた。クサイさんは一体何をやってるんだ?
ベルゼブは俺を持ちながら、ガラクタの椅子に座って格好をつけている。レイも渋々横に浮いてるけど、ゾンビの方は知性がないせいで、周辺をうろついてるんだが……
「ふっふっふっ!! お前ちゃちがデビルドッグの姿を装うとも、僕の目は誤魔化されまちぇんよ。魔王候補の座を奪いに来たんでちゅね」
残念だけど、ベルゼブの目は節穴です。デビルドッグで間違いないから。しかも、犬人間達はベルゼブの問いに答えない……というより、そんな頭を持ち合わせてない。
単にベルゼブからの餌を、涎を垂らしながら待っているだけだ。クサイさんは……俺達に向けて、取れそうな手を振っている。
「答える義務はないちょ。僕を殺しちゃくて、仕方ないんでちゅかね」
ベルゼブがデビルドッグ達を怪しむ前に、【与骨】の効果、【協力】によって攻撃させないと。倒せないまでも、ベルゼブを弱らせて欲しい。
「ベルゼブ様、私は後ろにいるゾンビを任せて貰います」
「ん? あのゾンビの敵なんでちゅね。お任せしまちゅよ」
レイは俺をチラ見した後、戦闘開始とばかりに飛び込んでいく。クサイさんが相手だから、戦ってるふりをするんだろうな。二人にとってはそれが最善だ。ベルゼブも疑ってる様子もない。
なら、こちらも【協力】発動!! 狙うのはベルゼブだ。




