ある透明な秋の日
目覚めると
なんだか夢を見ていたような気がして
白い部屋の中に
思い出せない誰かがいて
こちらを振り返っていたような気がして
まばたき一つで
忘れてしまった
気がつくと
誰かに呼ばれていた気がして
秋の林の木立の間から
枯葉があかるく舞うような
いつかの日に聴いたことがあるような
歌が聞こえたような気がして
耳を澄ますと
風が枝葉をさらさらと揺らして
街の喧騒と遠くの国道の音だけが
聴こえていた
気がつくと
自分が今ここにいるのが
不思議な気がして
いつからいるのか考えてみても
はっきりと思い出せない
薄明のなかに
どこかよそに
ほんとうの自分が別にいて
今こうして手を見つめている自分は
作り物のような気がして
夕方の空に
窓から手を伸ばしてみた
すると
さらりと風だけが手に触れて
涼しく通り過ぎていった
ただ、風だけが
季節の変わり目は不思議な気分になりませんか。季節に呼ばれているような。
矢沢宰さんという詩人さんの作品への憧れを込めて。
最後のピースがどれも合わない…。