この人が私の事を本当に好きなのか確かめたい!
私の彼氏は、表にあまり感情を出さない人だ。
一緒に居ても、今! 嬉しいのか? 悲しいのか?
楽しいのか? 泣きたいぐらい辛いのか?
私には、まったく分からない。
感情表現もないし、言葉にして伝えてくれる事もない。
今更ながらに、どうして私はこの男性を好きになり
付き合っているのかさえ私自身も分からなくなっていた。
彼と初めて知り合ったのは?
バイト先だった、ファミレスの店員同士で彼は結構女の子に
優しく特に私には他の女性の店員よりも優しく接してくれて
いたと思う。
ここのバイト先では、店長が社員さんやバイト仲間を集めて
飲みに誘う事が多かった。
私も彼も、その飲み会にはよく参加していたし。
店長の面倒見の良さもあって、バイト仲間や社員さんも皆仲が
良かったのだ。
気軽に話せる共通の“仲間意識が生まれていたのかもしれない!”
こんなにも、皆仲がよければ私と彼以外にもカップルが自然と
できていた。
私と彼も、自然の流れで付き合うようになった感じなのだろう。
どちらが、何を言ったでもなく付き合うようになる。
・・・ただ、私は彼と付き合いはじめると?
彼の感情が今一つ掴めなかった。
私の事が好きで付き合ったのか?
周りに流されて付き合ったのか?
ひょっとして、イヤイヤ付き合ったのか?
・・・でも?
彼は、私の一人暮らしの部屋に頻繁に泊って行くようになった。
そう、“半同棲”のような生活が続いている。
まさか!? 好きでもない女性の部屋に泊っていくはずがなし。
少しでも私の事を彼は好きだと思うようにした。
そうじゃないと? 気持ちがめげてしまいそうだったから。
彼の為に、手料理を作って食べさせてあげても。
“美味しい”とも言わない彼。
彼の為に、選んだプレゼンも“ありがとう”とも言わない彼。
彼と待ち合わせして遅れてきた彼は“遅れてごめん”とも言わない。
そんな彼だから、何一つ私には伝わらない。
せめて! “好き”ぐらい一回は言ってよ!
もう、私は限界だった。
別に、彼の事を私は嫌いになった訳じゃない。
でも? 何も言ってくれないと不安じゃない!
女の子の気持ちぐらい、少しは分かってよ!
何度、私の気持ちを彼に爆発しそうになった事か!?
でも、いつも冷静な彼に何を言っても通じない。
言っても無駄だと私は思い込んでいた。
それでも、何か? 彼からの変化を感じ取りたかっただけ。
それだけなのに、彼は私の気持ちに少しも気づいてくれない。
・・・そんな時、私は幼馴染の男の子に何十年ぶりにばったり
会ってしまった。
『えぇ!? 七海か?』
『大晴なの?』
『うん! お前、綺麗になったな~』
『大晴こそ! カッコ良くなったね!』
『今度! ゆっくり時間がある時に話でもしようよ!』
『いいよ! じゃあーこれが私のLINEね!』
『あぁ! また連絡するな!』
『うん!』
なんか? 久しぶりに会った幼馴染の彼はカッコ良くなっていて
随分と忘れていた“ドキドキ”を感じた。
今の彼には、もうこんなドキドキはないから新鮮だったのだ。
私は、久々にときめいていた。
あわよくば、幼馴染の彼と何か新しい恋が発展するんじゃないか
と淡い想いも抱いていた。
でも、そんな私の心を彼は見抜いていた。
彼は、私に黙って私の携帯を見ていたのだ。
知らない男と私が楽しそうなLINEを送り合っている事に
少しヤキモチを妬いたらしい。
『明日は、誰と会うの?』
『えぇ!?』
『その“大晴”って男、誰なの?』
『ただの“幼馴染”だよ。』
『ふーん、楽しそう会話してんだな!』
『だって! 彼にはちゃんと感情表現があるからね!』
『・・・・・・』
『蒼人の気持ちが私は分からないからさ~やっぱり分かりやす
男性の方が楽かもね!』
『・・・だから、俺への当てつけ?』
『別にそうじゃないよ! ただ幼馴染だし! 久しぶりに会った
からまた会いたいなって! そう思っただけよ。』
『・・・俺じゃない男とキミは会うんだな。』
『何? その意味深な言い方?』
『俺は、こんなんだけど七海の事、ちゃんと考えてるよ。』
『・・・例えば何?』
『“結婚”とか?』
『その前に、私に言う事があるでしょ!』
『えぇ!?』
『私の心を捕まえるために、蒼人が私に言わないといけない
言葉があるって事!』
『えぇ!? 何?』
『私に、一度も言った事がないでしょ!』
『・・・・・・』
『言ってよ。』
『“好き”』
『・・・そう、その言葉だよ。』
『これからも、俺とよろしくな。』
『・・・ううん!』
・・・不思議だね、この時。
幼馴染の彼との淡い気持ちは一気に冷めてしまった。
本当は、彼に言ってほしかっただけ!
それを、私は確かめたかっただけなの。
幼馴染の彼には、【今は彼が居るからごめん、やっぱり会えない!】
とLINEした。
それからは、返事もしてないし。
連絡を取る事を、やめてしまった。
やっぱり、私は彼の事が好きなんだと分かったから。
お互い不器用でなかなか伝わらない事が多いけど?
それでも私は彼が好きだし。
彼も私を好きだと分かっただけ、今は幸せだ。
これからも、私は彼と一緒に居続けます。
最後までお読みいただきありがとうございます。