お父さんの捌け口
お父さんは、心配ないよって何時も言うの。
小学生だから、私はお父さんの子供を産むことはないんだって。
だから、平気なんだって言うの。
おばあちゃんは、お母さんの事を酷い女だって何時も言う。男ができて、お父さんや私を捨てて出て行ってしまったんだって。おばあちゃんは何時も、私に言う。
お父さんを困らせちゃ駄目よって。
本当は、私はおばあちゃんの家で暮らしたいって思ってるけど、おばあちゃんも生活が苦しいから無理なんだって。
もう舞ちゃんは小4だからお父さんのお手伝いして、二人で生活できるよねって。
私、料理得意だよ。洗濯もできるよ。
でも、夜は嫌い。
お父さんと二人の夜は嫌い。
怖いの。お父さんが、怖いの。
◇◇◇◇
私が、22歳の時。
父さんは、病気で死んだ。
骨になった父さんは、なんの罪も犯していないように真っ白だった。
本当に真っ白で、まるで口でほろりと崩れるラムネみたいで。
私は、その骨の欠片をそっと口に含んでいた。
何の味もしなかった。
「ばいばい、お父さん」
私はそっと呟いていた。
R18短編を、R15向けに変更して投稿してみました。