第九十五話
ユウ先輩VSホグジラさんの戦いが終わった後、俺達は宿屋でゆっくり休んだ。
次の日、ヨルムンガンドのメンバーはヒバカリさんの情報収集の為に街へ向かったみたいだ。
ノリ先輩も朝から出ていった。アイテムの情報をギルドに聞きに行った。
俺はどうしようか悩んだけど、ユウ先輩とマシロと一緒に行動する事にした。
ユウ先輩がホグジラさんをどう鍛えるのか少し興味もあるし!
「しかし、ダイは来なくてもいいんだぞ?マシロも」
「いいじゃないっすか。ユウ先輩がどんな特訓をするのか興味あるっす」
「私は師匠の一番弟子です!弟弟子がどうなるのか気になります!」
「弟弟子?あのでっかいホグジラが?」
「そうですよ!だって師匠に習うのですから弟子でしょう?なら、私の方がお姉さんです」
そう言って胸を張ったマシロの姿を見て、俺とユウ先輩は互いを目配せあった後、一斉に吹き出した。
「アハハ、ちょっと待て!可愛いマシロの弟が、あのでっかいホグジラか!笑えるな!」
「俺、ホグジラさんがマシロを見てお姉ちゃーん!って言ってるのを想像したっす!やばくないっすか!」
「何だそれ!めっちゃ笑えるな」
「でしょう!ユウ先輩!」
俺とユウ先輩が笑っているのを見て、マシロが頬を膨らませて怒っている。
「師匠達!何がそんなに可笑しいんですか!私変な事を言いました!!」
「アハハ、悪い悪い。マシロは何もおかしくないぞ。ただな、ホグジラがマシロをお姉ちゃんて呼ぶ姿を想像したら面白くってな」
「すまないっすねマシロ。ただ・・・アハハ!駄目っす!ツボに入っちゃたっす」
俺達が笑うとますます、マシロが怒ってくる。けど、一度ツボに入っちゃたら中々笑うのをやめられない。そんなくだらない話をしていたら昨日の闘技場に着いた。闘技場ではすでにホグジラさんが待っていた。
「よう、ホグジラ!待たせたな」
「いや、俺も今来た所だ。今日から三日宜しく頼む」
ホグジラさんはそう言って手を差し出したが、それを見てマシロが怒っている!
「ちょっとホグジラさん!貴方は師匠に教えていただくのですから、もっと弟子としての態度を取らないと駄目でしょう!」
マシロが怒りながらホグジラさんの前に出ていった。そして、説教みたいな事をしている。
マシロに怒られているホグジラさんはキョトンとした顔をしていたが、マシロの話を聞いて納得したような顔をしていた。
「そうだな。俺は今から教えを乞うのだ。ならば、ユウは師匠だな。成程、その通りだ」
「分かればいいのです。ちなみに私は師匠の一番弟子です。つまり貴方は弟弟子です!」
「分かった。宜しく頼む姉弟子!」
「任せて下さい!」
じっと見守っていたユウ先輩がホグジラさんに話かけた。
「すまないなホグジラ。俺の弟子が迷惑をかけた」
「いえ、姉弟子の言う通りです。改めて宜しくお願いします師匠!」
「・・・まあ、お前がそれでいいならいいけどな。よし、じゃあ始めるぞ!」
そう言ってユウ先輩とホグジラさんは離れていった。ちなみにマシロは姉弟子と呼ばれてめっちゃ嬉しそうな顔をしていた。
「ちなみにユウ先輩、どういった修行をするっすか?」
「先ずは現状の確認だな。ホグジラ、お前は魔力が使えないって事だけど魔力はあるのか?」
「はい師匠。ステータスには魔力がある事は書かれてました。しかし、俺は一度も魔力を使えた事が無いのです」
「成程。つまり、魔力があるが、発動出来ないってことか。ならちょっと試してみるか」
そう言ってユウ先輩はホグジラさんの背後に回り、背中に手を当てる。
「ホグジラ、今からお前の体内に俺の魔力を送る。先ずは魔力を感じろ」
「分かりました。師匠!」
ユウ先輩がホグジラさんの体内に魔力を流し始めた。俺は目に魔力を宿してそれを見ておく。マシロは俺がやっているのを見て同じ様に目に魔力を宿す。
ユウ先輩の魔力がホグジラさんの体内に入っていく。
「どうだ、ホグジラ?魔力を感じるか?」
「体内に何か流れているのは分かります。コレが魔力!分かります!」
「じゃあ、その魔力を操作できるか?指先に集めて見ろ」
「は、はい!」
ホグジラさんが指先に意識を集中している。しかし、魔力が集まらない。
「し、師匠。上手く行きません」
「焦るな。魔力を感じる事が出来てるなら操作出来る。魔力を自分の物として考えろ。ゆっくりでいい。先ずは深呼吸だ。吸ってー、吐いてー」
「すーー、はーー」
「指先に集中しろ。魔力を感じろ」
「は、はい」
俺は魔力の流れを見ているとユウ先輩の魔力が少しづつ指先に集まっている。魔力の流れ事態はきちんと出来てるな。
「よし、少しづつだが出来てるな。後はその魔力に属性を付ければ発動出来るハズだ。先ずは火だ。火をイメージしろ」
「わ、分かりました!」
するとホグジラさんの指先から火が着いた!まるでライターのようだが確実に魔力で発動している。
「で、出来ましたよ!師匠!」
「よし、発動は出来てるな。じゃあ、俺からの魔力供給をやめるから、そのまま自分の魔力で維持してみろ」
「はい。やってみます」
ホグジラさんが集中しているが、ユウ先輩が魔力供給をやめたら少しづつ火が小さくなっていき、消えてしまった。
「す、すいません師匠。師匠の魔力は分かるのですが、自分の魔力が分からないのです。体内にあるのは感じるのですが魔力操作が出来ないのです」
「成程な。おいダイ、マシロ。お前達見ていたろ?何か分からないか?」
「えーと、見ていた感じ魔力操作は出来ていました」
「そうっすね。魔力が一カ所に固まってる感じっすね。まるで箱に蓋をしてる感じっすね」
「ふむ、じゃあちょっと乱暴にしてみるか。ホグジラ、少し乱暴にするが大丈夫か?」
「大丈夫です。師匠!俺は頑丈ですから!魔力が使える様になるなら耐えてみせます!」
「よし、やってみるか。ダイ、箱はどの辺にあった?」
「そうっすね。右の胸辺りっすね。マシロはどうっすか?」
「私もダイ師匠と一緒です!」
「なら、その箱をぶっ壊すか!いくぞホグジラ、気合を入れろよ」
「は、はい!師匠!」
ユウ先輩が両手でホグジラさんの背後から手を当てる。それを見て、俺とマシロは魔力を目に宿す。
「ホグジラ、魔力を使おうとしてみてくれ。発信源を探すから」
「わ、分かりました。やってみます」
ホグジラさんが魔力を使おうとしている。やはり右胸の辺りに反応がある。
「ユウ先輩、やっぱり右胸の辺りに反応ありっす!」
「了解。さあ、いくぞ!気合入れろよホグジラ!」
「お願いします!師匠!」
ユウ先輩の魔力がホグジラさんの魔力の元に近づく!そして、ユウ先輩の魔力がホグジラさんの魔力元に取り付いた途端、魔力が混ざり合った!
「ぐお!何だ!俺の魔力が吸い取られる!」
「し、師匠!大丈夫ですか!」
「このくらい!いくぞ!」
「ユウ先輩!大丈夫っすか!」
「任せとけ!」
ユウ先輩が魔力を更に注ぐ!するとホグジラさんの魔力の元が破裂した!ホグジラさんは無事なのか!
「グハッ!こ、これくらいで!倒れる俺じゃあない!」
「安心しろ、ホグジラ!破裂と同時に回復魔法をしてある。そこまでのダメージはないはずだ」
「た、確かに!」
「よし、お前の魔力を封じ込めていた何かを破壊したから、ちょっと試しに魔力を使ってみろ」
「はい。師匠!」
ホグジラさんが魔力を使う。俺は魔力の流れを見る。さっきまでとは違い、ホグジラさんの体内で動いている。そして、指先に魔力を集中させ、見事に火をつけた!しかも、さっきよりもデカイ!ライターどころじゃない!火球になってる。しかも、少しづつ大きくなっている。デッカ!何処までデカくなるんだ!
「し、師匠!どうやって止めるんですか!」
「集中しろ。自分の中の魔力の栓を閉めろ!そう、そうだ!」
ユウ先輩の声を聞いてホグジラさんの集中力が上がる。するとデカくなった火球の大きさが止まる!
「師匠出来ました!けどコレはどうしましょう!」
「しゃーない。空に向かって投げろ。空中で爆発させる」
「わ、分かりました!行きます!」
ホグジラさんが空に向かって火球を投げた!ユウ先輩がそれに向かって小さな火球をぶつける。するとデカイ花火の様に爆発する!
「おー、デカイ花火だな!お前の魔力が使える様になった祝いの花火だな」
「・・・師匠、ありがとうございます。まさか俺が魔力を使えるとは思いもしませんでした」
「阿呆、お前はまだ、魔力の何も分かっちゃいない。まだ使えてる内には入らんぞ」
「そうなのですか!では、まだまだ修行が必要ですね!」
「安心しろ。あと二日で一人前になれるぐらいにはしてやるよ。後はお前の努力次第だな」
「やりますよ師匠!そして、俺はアンタを越えてみせますよ。師匠!」
「ハッハッハ!まだ魔力を覚えたてのひよっこには負けんよ。さあ、続きをやるか」
「はい!師匠!」
ユウ先輩のホグジラさんが再び修行に戻っていく。それを見ていたマシロも修行に交じりたそうに見ている。それに気づいたユウ先輩がマシロを呼んでいる。
しかし、まさか初日にホグジラさんが魔力を使える様になるとは!ユウ先輩恐るべし!
さて、俺も還る為に少し情報収集しようかな!
ただ、この二日後あんな事が起こるとは、この時の俺は知らなかったのだ!




