第八十一話
変な爺さんにやられそうになっている悟空親分の元に駆けつけた俺とユウ先輩。ボロボロになっている悟空親分を見て、切れているユウ先輩。悟空親分は逃げろと言っていたけどユウ先輩は戦うつもりだ。
ユウ先輩VS変な爺さん!勝つのはどっちか!
「しかし、馬鹿な男よ。こんな奴をほっといて見て見ぬふりをすれば死なずに死んだのにのう」
「阿呆か。兄弟を見捨てる訳ねーだろ!それに、お前を倒せばいいだけだろう。簡単な話じゃねーか」
「簡単のう。それがどれ程無理難題か分からんとは。余程馬鹿なんだ・・・」
爺さんが喋るきる前に、ユウ先輩が飛び蹴りをした!
爺さんを壁まで吹っ飛ばした!
「えーと、何だっけ?無理難題?どこがだ?爺さんよ」
ユウ先輩が吹っ飛ばした爺さんに声をかける。土煙がはれていくとそこに爺さんはいなかった。代わりに体格のデカイ若い男が立っていた。
「全く、最近の若い奴は人の話を聞かないな。そんなのだからこうやって過ちを犯すのだよ」
「はっ?アンタ誰だよ?ってか爺さんは何処に行ったんだ?」
「そ、そいつも爺さんだ。名前は狒狒。元シシオ爺さんだったけど、悪魔に魂を売ったとかで、若い時はパワー系で、爺さんの時はスピード系になるんだ!」
「へー、悪魔ねえ。なー、その悪魔って女の狐人か猫人か?」
「違うなあ、俺にこの力をくれたのは男だったな。っと、今は戦いに集中しないとな。さあ、続きをやろう」
「そうだな。俺が勝ったら、お前にその力を与えた奴を教えてもらおうか!」
「カッカッカ!勝てたなら!」
その言葉の後、狒狒がユウ先輩に突っ込んできた!
ユウ先輩はそれを迎えうつ!
「お、おいダイ!俺はいいからユウの助けに入ってくれ!お前等二人なら狒狒に勝てるハズだ!」
「あー、多分俺が助けに入ったらユウ先輩ブチ切れて俺が殺されますっすよ」
「そ、それどころじゃないぞ!ユウが殺されちまうぞ!」
「へっ?ユウ先輩が殺される?あっははは!ないない、それはないっすわ」
「ば、馬鹿!笑い事じゃないぞ!」
「大丈夫っすよ!ユウ先輩を信じて下さいっす」
「だ、だけど!」
「安心しろ兄弟!俺に任せとけ!」
「し、しかし!」
「俺を前によそ見とは馬鹿にしてるのか!」
「馬鹿にしてないさ。これは余裕ってやつだよ!」
ユウ先輩、それ包帯グルグルの維新志士じゃないっすか!
突撃してきた狒狒の攻撃を避けて、ユウ先輩が殴り飛ばした!
「ど、どういう事だ!兄弟が強いのは知っていたがこれほど強いのか!俺との戦いは手加減してたのか!」
「うーん、違うっすよ。あれはあれで本気だったはずっすよ!」
「けど、今の方が強くないか!」
「あの人、気持ちで強さが変わるっすよ。特に仲間がやられた時がヤバいっすね」
「そ、そうなのか!」
「だから安心して見てて下さいっす」
殴り飛ばされた狒狒が起き上がり、怒りながら叫んでいる!
「ふざけるなよ!俺の復讐が急に現れたお前みたいな奴に無茶苦茶にされてたまるかー!」
叫びながら突っ込んでくるユウ先輩に殴りかかる!
しかし、ユウ先輩は冷静に捌いていく!
「復讐?おい、兄弟。復讐って何やったんだ?」
「いや、親分を決める対決で俺が勝ったんだ。そいつは負けた事を怨んでるんだ」
「うるさい!俺の夢を奪っておいて何を言う!お前が現れなければ、俺は苦労しなかった!俺の夢を!」
「下らねえな!」
「何!」
「下らねえって言ったんだよ!お前は正式な勝負で負けたんだろ?なら素直に結果を受け入れろ」
「う、うるさい!俺が悟空を受け継ぐのだ!それが俺を!俺の全てなんだから!」
「それは悟空に敗れて無くなったんだろ?なら次の夢を探せば良かったんだよ。何時までもこだわる意味が分からん!」
「う、うるさい!黙れ!貴様の様な若造に!俺の!夢を!」
狒狒がユウ先輩に殴りかかるが当たらない。代わりにユウ先輩の攻撃は当たりまくっている!
「クソ!なぜ当たらん!」
「どんだけパワーが凄くても、当たらなければどうということは無い!」
ユウ先輩、今度は赤い彗星?しかし、本当に当たらないな。狒狒の攻撃結構速いのに!
「それならこれならどうだ!」
そう言った狒狒はデカイ若い男から小さな爺さんの姿になった!
「ヒッヒッヒ、この姿ならスピードはさっきの倍はある!受けてみろ!」
狒狒が凄いスピードでユウ先輩に襲いかかる!俺の目では追えないスピードだ!そんな狒狒がユウ先輩とぶつかった!次の瞬間、一つの物体が壁まで吹っ飛ぶのが見えた!
土煙で両方とも見えないが、少しづつはれてきて、ユウ先輩はさっきの場所から動いていない。
ということは吹っ飛んだのは狒狒か!
狒狒は壁まで吹っ飛ばされ倒れ込んでいる。
「ば、馬鹿な!俺の、このスピードについては来れるはずが!」
「もう、終わりだ。その足だと、もうさっきまでのスピードは出せないだろう」
狒狒の方を見てみると左脚が変な方向に曲がっている!あれをユウ先輩がやったのか!いつの間に!
「ふ、ふざけるな!勝負はまだ!」
「・・・いや、勝負はもう着いたよ。君では彼に勝てない」
突然、誰か分からない声が聞こえた!俺でも、悟空親分でもユウ先輩でも狒狒でもない!一体何処から!そう思っていたら狒狒の後ろの壁に黒いドアの様な物が現れていた。アレは一体いつからあったんだ?
そう疑問に思っていたらその黒いドアから一人の男が現れた。眼鏡をかけた白衣の様な物を着た男!
その男が現れた瞬間、ユウ先輩からの圧力が増した!チラッとユウ先輩の方を見てみると何時でも男に殴りかかれる様にしている。そんな様子に気がついた男が話始める。
「あー、気にしないでくれ。今日は君達と戦う為に来たわけではないのだよ。だから、少し殺気を抑えてくれると助かるのだけれど」
「はいそうですか!って油断出来るかよ。そんだけお前の方から殺気を垂れ流していながら気を抜けるかよ」
「・・・へえー、この殺気を感じるのか。もしかして、君達がネコショウの言っていた異世界人かい?」
「やっぱり、アンタは彼奴等の仲間かよ。しかし、見た所普通の人間に見えるのだけれどな。アンタ何者だ?」
「それは・・・。いや、まだ秘密にしておこう。安心してほしい。本当に今日は君達とは戦う予定は無いんだ。用事が済んだらすぐに帰るから」
「用事?」
「そう。用事。ねっ、狒狒?」
男はそう言った後、狒狒の背中から腕を突き刺し、貫いた!男の手には黒い丸い玉の様な物が握られている!アレを狒狒の体内から取ったのか!
「な!なぜだ!まだ契約の途中ではないのか!」
「その状態なら契約目標は達成出来ないだろ。それに、彼等が敵になった時点で君に勝ち目は無い。だから契約未達成で終わりだよ。残念だったね」
「ば、馬鹿な。ワシの、夢が、こ、こんなと、ところで・・・」
胸を貫かれた狒狒は、そう言い残した後、男の足元に倒れ、動かなくなった。
それを見届けた男は俺達の方を見て話かけてきた。
「これで用事は終わった。それじゃあ、私は失礼するよ」
「おい、ちょっと待てよ!お前には色々聞きたい事があるんだが!」
そう言ってユウ先輩が男に詰め寄ろうとしたが、男が手を挙げてそれを静止させる。
「すまないがもう、時間が無いんだ。今回、私は彼女達に黙って此処に来たからね。バレたら此処に押し寄せてくるけどいいかい?」
「彼女達ってもしかして!」
「君達の知っているネコショウやセッショウだよ」
「マジかよ!」
「だから早く戻らないといけないんだよ。それじゃあ」
「ちょっと待て!せめて名前だけでも教えろや!」
「・・・いいだろう。私の名前は百鬼だよ。いずれまた会おう」
そう言って百鬼は黒いドアの中に入っていった。百鬼が入った後、ドアは消えた。残ったのは狒狒の死体と俺達だけだった。
「おい、兄弟。あの男は一体何者なんだ!」
「さあな。ただ、狒狒の言葉を借りるなら、アイツは悪魔なんだろうな」
突如現れた新たな男、百鬼!
あの、ネコショウやセッショウの仲間だという事がだ、奴等の目的は一体なんなのか!
訳が分からないが今はどうする事も出来ない!
こんな事が続いて俺達は本当に日本に還れるのか!




