表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/99

第七話

グリーンスパイダーやレッドスパイダーを討伐してから更に1ヶ月が経過した。


相変わらす還る方法は見つかっていない。


この1ヶ月で変わったことと言えばまず、俺等が召還された時に揉めてた貴族のジャコウが貴族から落とされたらしい。まあ詳しくは分からないが冒険者ギルドで聞いた。まあどうでもいい。


次に魔法の使い方がわかってきた。基本的に魔法を使う時には詠唱をするのだが無詠唱も可能だ。ただし、普通は詠唱した方が威力が上がるらしい。ただし何故か俺達は変わらなかった。まあそこまで詳しく調べてないけどほぼ変化は無かった。もしかしたらこれが召還された者の特典なのかもしれない。


次は俺達のレベルだ。これは俺達の中でも差が出てきている。一番レベルが高いのがノリ先輩。次が何と俺。最後がユウ先輩。けどなんか納得出来ない。一番戦ってるのは、ユウ先輩なんだけどこの差はなんでだろ?


レベルを確かめるのはステータスの魔法を使うかクリスタルを使うかギルドにある機械を使うかだ。ステータスの魔法は俺達も使える。ただその魔法で分かるのは名前とレベルだけだ。クリスタルやギルドの機械なら他に魔法レベルや属性なんかもわかるみたいだ。


ちなみに今俺のレベルは12だ。ノリ先輩は15。ユウ先輩は10なんだけど最初にレベル10に到達したのはユウ先輩なんだよな。その時俺は6、ノリ先輩は9だった。それなのに俺が12なってもユウ先輩は10のままだった。


ステータスの魔法を使って見たから間違いないんだけどレベルの限界値があるのかな?けどあのユウ先輩が10が限界値とは思えない。


今まで模擬戦を何度もしてるけどまだ一度も勝ててない。レベルだけではないんだろうけどユウ先輩には昔から勝てないんだよな。格闘ゲームや戦略ゲームでも勝てないからな。


魔法レベルも俺はやっと2まで上がった。これでユウ先輩と並んだ。ただノリ先輩は3まで上がっていた。あの人も色々凄いからなー。


あと冒険者ギルドでチーム登録をした。登録した理由は正直な話金儲けだ。魔物討伐や採取などでお金を稼いで万が一にそなえるってユウ先輩がいっていた。あとダンジョンに行くときに6人まで入れるならあと三人チームメンバーを補充しようってことになった。


チーム名は揉めたけど「アース」になった。必ず還るって思いをこめたらしい。意味は俺等にしか分からんと思うからいいって思った。


チームメンバーはまだ増えてはいない。今はレベルアップとチームランクを上げるのを頑張っている。どうせなら可愛い女の子をメンバーにしたいしな。


チームランクは10段階で数が少なくなれば高ランクだ。今俺達のランクは8。ランクが上がればより良い稼げる依頼を受けれるからもっとあげていきたい。


そして今日俺達は商人の護衛の依頼を受けた。どうやら最近この辺りに盗賊が出てきているらしい。この任務を受ける条件はレベル10以上だったからギリギリだった。ギルドの機械で確認したけどやっぱりユウ先輩のレベルは10だった。


行きは特に問題は無かった。時々魔物が襲って来ることがあったが楽に倒せてた。目的の村に荷物を届けて、村の荷物を受け取って街に帰る。問題は帰りに起きた。


あと一日で街に着く距離での夜警をしていた時、盗賊が襲ってきた。夜警をしていたノリ先輩の合図で盗賊の奇襲は防げた。盗賊は見える範囲で10人ほどいる。ユウ先輩が出てきて盗賊に話しかける。


「こんな夜中になんか用か?」


「へっへっへっ、強気に言ってくるね。分かってるとは思うが荷物をもらっていくぜ。女がいないのは残念だがまあいいか」


「ふーん。最近この辺で暴れている盗賊はお前等なのか?」


「そうだ。だから無駄な抵抗はやめろよ。武装解除してくれよ。俺等もお前達を殺したくはないんだからな」


「・・・お前嘘つくの下手くそすぎだろ。お前の目は人殺しを楽しんでる目だろ」


「あら、ばれたか。武装解除して無抵抗な奴等を殺す方が楽だからな」


なんだこいつ凄いクズだな。けどこの世界に来て初めての命の危機か?いや、初めては初日のジャコウの時か。けど、どうするんすか?勝てるのか?

考えてるとユウ先輩がノリ先輩に呟いている。


「ノリ、この辺りに伏兵はいるか?」


「いえ、風魔法で調べましたがここにいるだけです」


「そうか、なら二人共覚悟決めろよ。大丈夫俺達の方が強い」


本当っすか?勝てるんだろうか?けどやるしかないんだよな。なんて考えてると盗賊の一人が


「なにこそこそ話してやがる。早くこっちへこいよ」


そんなこと言われて行く馬鹿はいないだろって思ってたらユウ先輩が


「わかった、わかった今行くよ。あと武装解除だっけ?じゃあこの大剣を外さないとな。ほらよ!」


ユウ先輩は大剣を鞘から抜くと盗賊の一人投げた。盗賊の一人の胸に剣が刺さり、刺さった盗賊は「へっ?」と言ったあと血を吐きながら倒れて行った。


「まずは一人。続けて行くぞ。ノリ、ダイ使うから塞げ!」


ユウ先輩は合図を送ってくる。あの合図は目を瞑れっていう合図だ。俺とノリ先輩が目を瞑るとユウ先輩が魔法を使う。


「くらえ、フラッシュ」


フラッシュは光魔法レベル1だ。ただ眩しい光を放つだけだがこれを夜中にそれもいきなりやられるとどうなるか?まるで閃光手榴弾をくらったみたいに視覚が奪われる。俺とノリ先輩は事前に目を瞑っていたから被害はないが盗賊達は被害甚大だ。俺達が目を開けると目を押さえて悶えている盗賊達がいる。それをみたユウ先輩は


「今だ取り押さえろ。無理なら殺れ」


「了解」


ユウ先輩のフラッシュが効いてるうちに残りの9人を取り押さえる。暴れている奴等には殴って黙らせる。軍隊の訓練受けててよかった。全員を縛り上げたら商人達を呼んでどうするかを考える。


「どうしますこいつ等」


「このまま街までつれていきましょう。そうすれば懸賞金がでるかもだし」


「そうだな。ただ脱走しないようにしないといけない」


「なら足の骨でも折っておくか。そうすれば逃げれないだろ」


「いや、それだと移動に苦労する。街までは歩いてもらわないといけないからな。」


「なら誰か街に行って役人を呼んでもらうか?そうすれば向こうからも来るから半分の距離でいいはずだし」


「そうだな。なら明日の朝一人街に行ってもらおう。問題は誰が行くかだけど」


「よろしければうちのチームのノリに任せてもらえないか?あいつは風魔法が使えるから単独の方が早く行けるし、馬も要らない。どうでしょう」


「可能なのか?近いとはいえまだ距離がある。単独行動は危ないんじゃないか?」


「大丈夫です。あいつはうちで一番高レベルですから。ノリいけるな。」


「はいよ。早ければ昼には街に戻れるだろうからそしたらまた戻ってくるよ」


「ということでよろしいでしょうか?」


「ああ、ただ護衛が一人減るのは私達も危ないんじゃないか?」


「まあこの程度の盗賊なら俺とダイで大丈夫です。あと最悪場合はあの盗賊達は殺すことも了承して下さい」


「わ、わかりました。では明日の朝よろしくお願いします」


商人との会話が終わるとユウ先輩は俺とノリ先輩を集める。


「とりあえずノリは街にいって役人の手配してくれ。話が出来ないなからカヤ将軍かキャンベル団長に力を借りればいい」


「はいよー。まあ大丈夫だろう。っで伝えたらすぐにこっちに戻ってくるわ」


「おう、頼む。っでダイは俺と交代で盗賊どもを見張るぞ。多分大丈夫だろうけど、もしなんかあったら迷うなよ。確実に殺れ」


「・・・了解っす」


「じゃあ、まずはダイが見張り頼む。ノリは休んでろ。じゃあ解散」


話し合いが終わるとユウ先輩はそそくさと離れていった。けどユウ先輩、一人殺してるのに顔色すら変えないなんてヤバいな、俺には無理だわ。あの戦いの時はまだ大丈夫だったけど今死体みたら吐きそうになってる。そう考えてるとノリ先輩が


「気持ち悪いならユウ先輩の後ついていってみろ。そしたら多分楽になるから」


「はぁ、じゃあすいませんちょっとこいつ等見といて下さい」


ノリ先輩にそう伝えるとユウ先輩の後を追っていく。すると草むらの中で四つんばいになっているユウ先輩を発見した。何やってんだろう思ってゆっくり近づくとユウ先輩は吐いていた。しかもめちゃくちゃ顔色も悪い。声をかけようと近づくと独り言を繰り返していた。


「大丈夫。あいつ等は悪人だ。俺は悪くない。やらないとやられる。まだ死ぬ訳にはいかない。大丈夫。大丈夫・・・」


俺は何も言えなかった。人殺して何ともない?精神がヤバイ?そんな訳がない。いくら強いっていっても前の世界では一般人だ。人を殺すなんてゲームだけだったんだ。ユウ先輩は俺達を守るためにその手を汚した。そのせいでめちゃくちゃ苦しんでる。考えてるとノリ先輩の元に戻っていた。


「その様子だと見たのか?」


「・・・はい。ノリ先輩は知ってたんですか」


「いや、無理してるのは何となく分かっていた。ただそれだけだ」


「ユウ先輩大丈夫ですかね?」


「当たりまえだ。私達の先輩だぞ。これくらいで挫けないだろ」


「そうっすね。大丈夫っすよ。あのユウ先輩ですもん」


「まあ見たことは黙ってよう。ユウ先輩は心配させないために一人で苦しんでるんだからな」


「了解っす。とりあえずこいつ等は俺が見ときます。ノリ先輩は休んでください」


「頼んだよ。じゃあおやすみ」


一人になって色々考えてた。ユウ先輩、普段からふざけているし、俺より強いし、何でも出来ていたけど俺と同じ人間なんだ。辛い時や悲しいときもあるんだ。そんなときには俺等が支えてあげないと!

俺には覚悟が足りなかったと思う。必ず還るその覚悟が。還る為にはやれることをやるって覚悟が。ユウ先輩やノリ先輩に頼るだけじゃ駄目だと。

改めて必ず還ると俺は一人心に誓いながら盗賊達を見張っている。


その後はユウ先輩と交代で見張りをして、朝になったらノリ先輩が役人を連れてきて無事に引き渡せた。依頼も無事に終わった。


あの依頼を受けてから俺も自主練をやり始めた。ユウ先輩にはからかわれたりしたけどやっぱり元の世界に還りたいから少しでも自分を鍛えていきたい。ユウ先輩やノリ先輩と一緒に還る為!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ