第五十四話
宿屋で一泊して次の朝を迎えた。
今日は朝からいい天気!絶好の決闘日和となっている。俺達はユウ先輩の決闘を見学する為に海岸舞台に向かおうとしている。
「じゃあ、海岸舞台に向かうかー」
「どうしたっすかユウ先輩?いつもよりやる気が感じられないっすよ!」
「やる気なんて出る訳ないだろ。面倒な喧嘩をするんだからな」
「けど、どうするんですか?もし勝ってしまうと更に付きまとわれますよ?」
「それについては大丈夫だ!いい方法を昨日の晩に思いついたからな」
「本当っすか?」
「おう、任せとけ!とりあえず行くぞ」
そう言うユウ先輩の後を俺達はついて行った。
同日、同時刻、海岸舞台。
「さて、あの人は来るかしらねえ?」
「来るだろうよ。昨日あんだけタンカを切ったんだからな」
「昨日の魔力解放した姿。すごかったわね」
「ああ、アレでまだ本気じゃないだろうからな。本気ならどれくらいになるか楽しみだぜ」
「ええ、本当に・・・あら?ねえ、あの人海から出てこなかった?」
「ああ?何言って・・・本当だ。海から出て来てるな?」
海の中から一人の男が現れた。海から出てきているのに服が濡れていなかった。それだけではなくただならぬ雰囲気を醸し出していた。
「あー、やっと陸に着いたぜ。思ったよりも遠かったな。あん?何だ女?何か用か?」
「いえ、何故貴方は海から出てきてるのか少し不思議に思いまして」
「そんな奴どーでもいいから、おい、アンタ!ここは今から危ないから早くどっかにいきな!」
「あーん?女、今俺に命令したのか?」
「そうだよ、アンタの為に言ってるんだから早くどっかにいきな」
「俺になー、命令していいのはあの方だけなんだよ。テメーみたいな女に命令される筋合いはないんだよ」
「あー?何言って・・・」
男は話終わると直ぐにベンガルに殴りかかった。
ベンガルの顔面に向かって放たれた拳は寸前の所でベンガルは躱した!
「危ねえなー!何しやがるテメー!」
「ほう、今のを避けるか。ただの雑魚ではないのか。まあいい、俺の任務の為の準備運動として遊んでやるぜ」
「任務?貴方は一体?」
「自己紹介をしていなかったな。俺の名はオロチ。この街の破壊を命令されて来たんだよ」
「この街の破壊?貴方は何を言って」
シュガールがその先のセリフを言おうとしたが言えなかった。オロチの拳が繰り出され避けた為だ!
「あの方からの任務は俺は必ず成功させる!それの邪魔しようってんなら殺すぞ!」
「おい、シュガール大丈夫か?」
「ええ、しかしこの人、強いですね」
「ああ、どうする?」
「街の破壊なんて許せる訳ないじゃないですか!」
「なら、やる事は決まってるよな!」
「二体一か、俺は全然構わないぞ。むしろそうしないと勝負にもならないからな」
「昨日から本当に私達舐められてますね」
「本当だぜ、『十二守護獣』を何だと思ってるんだよ」
「あん?お前等が『十二守護獣』だってのか?」
「そうですけど何か?」
「ぷっ、アッハハハハハ!嘘だろ、こんな弱い奴等が『十二守護獣』なのかよ。これなら今回の任務は楽勝だな」
「テメー、アタイ達を馬鹿にしてんのか!」
「流石に頭に来ましたわ。ベンガルやりますわよ」
「へっ、言われるまでもない!アイツが来る前に終わらせるぜ」
「アイツ?誰か来るのか?」
「アンタには関係ないから安心しな!」
「それじゃあいきますよ!」
「かかってこい!テメー等を殺してこの街を破壊してやるぜ」
その言葉を言い終わると三人の殴り合いが始まった!
三人で殴り合いが始まった。
それを遠くで見ている集団がいる。
冒険者チームアースの面々だ。
「なあ、アレどう思う?」
「また、ユウ先輩の言った通りになったっすね」
「俺のせいじゃあないよな?」
「どうでしょうかね。ユウ先輩が言うとその通りになるって、ダイの言う通りですからね」
「うるせー、っでどうする?」
「流石に情報が足りないので、しかし、助ける方がいいのではないですか?」
「おっ、何か話初めたっすよ」
海岸舞台の方に目をやると三人の会話が聞こえてきた。
「はぁ、はぁ、はぁ、つ、強いですね貴方」
「全くだぜ!くそっ!これなら神器を持ってくればよかったぜ」
「ハッハッハ!どうした。もう終いか?まだまだ行けるだろ!」
「貴方は一体何故街を破壊するのですか?」
「あん?さあな、細かい事は覚えてないが、確かコレに絶望を蓄積させる為だったかな」
そう言ってオロチは腰の巾着から黒い球を取り出した。
アレは確かあの猫人が持ってたやつみたいだ。
それを見たユウ先輩が呟く。
「やっぱアイツ等をの仲間かよ!」
「どうするっすか?ヤバいヤツ確定じゃないっすか!」
「どうしますユウ先輩?」
「・・・今ならあの二人も巻き込んで奴を叩けるかもしれん。やるなら今から突撃するか」
「了解っす!」
「待て。突撃するのは俺だけだ。お前達は左右に別れて待機しといてくれ」
「待機ですか?」
「ああ。もし、勝てそうに無かったら撤退してくれ。殿は俺がやるから」
「えっ、けど全員で突撃した方がよくないっすか?」
「それだと全滅のリスクがある。俺だけが突撃すれば最悪お前等は逃げれるかもしれないからな!」
「ユウ先輩、本気ですか?」
「勿論だ。最悪の場合も考えないとな」
「私は嫌です!最後まで師匠と一緒にいます!」
「俺も納得出来ないっす!殺るなら全員で行きましょうよ!」
「馬鹿、違う。先ずは俺だけ突撃するが、お前達には隙を付いて横槍を入れて欲しい」
「横槍ですか?あのレベルの相手に通用しますかね?」
「簡単じゃないだろう。だからな・・・」
それからユウ先輩の作戦を聞いた。
この人、なんて卑怯な事を考えるんだ!
「この作戦の為にお前等は左右に別れくれ。右にダイ、左にノリとマシロだ。合図は必ず送るから見逃すなよ!一回しかチャンスはないからな!」
「了解っす!でも危なくなったら俺達も参戦するっすから」
「ええ、ユウ先輩だけ戦わす訳には行きませんしね」
「師匠!頑張って下さい!」
「任せとけ!お前等にミラージュをかけて、それじゃあ、突撃してくるぜ!」
ユウ先輩が軽く準備運動をした後、海岸舞台に向かって走り出した!
そしてその勢いのまま、ジャンプして男に向かって飛び蹴りを繰り出す。
「唸れ!俺の右足!今、必殺の◯イダーキーック」
その飛び蹴りは見事に男へと命中して、男を吹っ飛ばした!それを見た後、俺とノリ先輩、マシロは左右に別れて配置についた。
後はユウ先輩からの合図を待ちながら、様子を伺う。
吹っ飛んだ男は起き上がり、デカイ声で叫ぶ!
「いってーな!何だテメーは!」
「ふっ、何だかんだと聞かれたら、答えてあげるが世の情け!俺は冒険者チームアースの松山遊星だ!」
「あーん、冒険者だ。邪魔しやがって。死にたいらしいな」
「おい、シュガール、ベンガル。無事か?」
「え、ええ。何とか」
「アタイも大丈夫だ」
「よし、さてベンガル。神器ってのはあればアイツに勝てるか?」
「え?ああ、アレがあればアタイ達は本領を発揮出来るから今よりは良い戦いが出来るはずだ」
「よし、なら順番に神器を取りに戻ってくれ。先ずはベンガル、次にシュガールだ。ベンガルの方が近いからな」
「けど、取りに行く間、アイツはどうするんですか?」
「俺と残った方で引き受ける!だからなるべく早く戻ってきてくれ」
「けど!」
「はっきり言うけど今のままだと勝ち目は薄いんだよ。戦力を上げれるならやるしかない」
「・・・分かりました。それで行きましょう」
「シュガール!テメー本気か?」
「さっきまでの戦いで貴方も分かったでしょう。アイツ、オロチは強い!今のままだと負けます。そうなったら街を破壊されますよ」
「・・・そうだな。街を守る為に最善を尽くさないと行けないよな」
「分かったならさっさと行ってくれ。少し会話で時間を稼ぐからその隙に」
「おいおい、俺様を無視か?舐めてんのか!」
「すまないな。えっとアンタ名前は?」
「あー、今から死ぬお前に教えなくてもいいだろ。とっとと殺してやるよ!」
「そうかー、お前セッショウから何も聞いてないのか?」
「何?何でお前があの色ボケ狐の事を知っている?」
奴が俺との会話に気を逸らしてる内にベンガルが抜け出せた。これで、戻ってくれば少しは楽に戦えるだろう。
「さーて、何でだろうな。あと、あの猫人は元気か?」
「おいおい、ネコショウの奴も知っているのか!お前本当に何者だ?」
「さてね、アイツ等に聞いてみな」
「アイツ等の事を知ってるって事は、アイツ等と合って生きていた奴って事か。いいねー、殺しがいがあるって事だよなー!」
「さてと、じゃあそろそろ殺るか!」
「いいぞ!気が変わった!お前には俺の名を教えてやる。お前を殺す者の名はオロチだ!この名を覚えて死ね!」
「かかってこい!オロチ!」
こうしてユウ先輩とオロチの戦いが始まろうとしている。
この戦いは今までに無い厳しい戦いになるはずだ。
勝てないと俺達は還れなくなってしまう。
やってやるぞー!!




