第五十二話
さて、シュガールさんの襲撃を回避する為に、俺達は宿屋を朝一で撤退した。
目指すは隣街のムーンパレス!こっちのサンパレスとはどう違うのか楽しみではある!
「とりあえず、ムーンパレスにいって宿屋探そうぜ」
「そうっすね。早く行かないとシュガールさんとユウ先輩が結婚してしまうっすからね」
「テメー、コラ、ダイ!お前楽しんでるんだろ?」
「そんなことないっすよ!とりま早くムーンパレスへ行きましょうっす!」
「そうですね。面倒事は勘弁ですから」
「ノリよー、昨日謝ったじゃないか!もう勘弁してくれよー」
「面倒事を持ち込まなければ怒りませんよ」
「よ、よーし。じゃあムーンパレスへレッツゴー!」
「あっ、ユウ先輩。話題変えてきたっすね」
「うるせー!行くぞー!」
朝一から元気なユウ先輩と一緒に隣街に向かう。
道中シュガールさんと会うことなく、無事にムーンパレスへ入れた。
「まずは宿屋を確保して、その後どーする?」
「そうですね。私は少し情報収集に向かいます。ダイはどうしますか?」
「そうっすね。ちょっと街を見て回りたいっす」
「なら、俺とマシロと回るか?」
「いいっすね!そうするっす」
「また師匠とお散歩だー!」
「では、私は行きますけど、くれぐれも問題を起こさないで下さいね」
「分かってるって!」
四人で話をして、適当な宿屋に決めた!
そして、ノリ先輩が情報収集に出かけて行き、俺達も街に出かけに行く。
「ダイはどこに行きたいんだ?」
「そうっすね。武器屋とか鍛冶屋見てみたいっすね」
「マシロは何か見たいのあるか?」
「えっと、何か美味しい物が食べたいです」
「なら、まずは武器屋と鍛冶屋を見て、市場に行くか」
「了解っす!」
そして、俺達はムーンパレスの街を巡った。
武器屋で武器を見て、鍛冶屋でどんな風にしてるのかを見たり、市場に行って屋台巡りをしたりして過ごした。
「結構楽しいっすね。最近、戦ってばかりだったすからね」
「ご飯美味しいです!楽しいです!」
「おう、マシロが楽しんでんならいいか!」
「次は何処にって、っとすいません」
俺は余所見をしていたせいで、通行人にぶつかってしまった。
「痛ーてな。こりゃあ骨が折れちまったなー」
「おいおい、大丈夫か兄弟。あぁ~、こりゃひでーや。慰謝料貰わないとな」
ニヤニヤしながらこっちを見ている。やべーな。面倒事は勘弁して欲しいのに。昨日、ユウ先輩がめちゃくちゃ怒られてたからなー。
「おい、コラ、無視してんじゃねーよ!早く金だよ金!とっとと出せよ」
「それとも痛い思いをしたいか?金で解決したほうがいいだろ?ほら早く出せよ!」
あー、どうしようかと悩んでいるとユウ先輩がスッと前に出た。
「えっ、骨折れちゃいましたか?何処です?俺が治しますから見せてもらってもいいですか?」
おおー、見事な低姿勢だ。けど、これって火に油を注ぐ行為じゃないのか?
「うるせー!金を出せって言ってんだろ!耳が聞こえねーのか!あぁ?」
「あーあ、お前死んだわ。兄貴を怒らせて、知らねーぞ」
そう言ってチンピラAがユウ先輩に近づくと同時にユウ先輩の左腕が消えた。次の瞬間、チンピラAが膝から崩れ落ちた。
「えっ、は?あ、兄貴?」
「あーあ、大変だ。酔っ払って倒れてしまった。早く家まで運んでやんな」
「ダイ師匠。師匠の攻撃見えました?」
「多分だけど、左手でチンピラAの顎を打ち抜いたんだと思うっすよ」
「私、見えなかったです。じゃあ、師匠昨日の人も?
」
「ああ、同じ事をやったぞ。ダイは、よく見えたな」
「たまたまっすよ」
「くそ!お前が兄貴に何かしたんだろ!」
「そうだとしたら?」
「え?」
「そうだとしたらお前はどうすんだ?兄貴と同じ目に合うか?」
「え、いや、それは」
「嫌なら兄貴を連れて帰りな。じゃないと本当に骨が折れるぞ?」
「だ、だが、兄貴をやられて俺だけが無事で帰る訳にはいかない!」
「そうか、なら骨の一本くらい折れても怨むなよ」
そう言ってチンピラBにユウ先輩が迫ろうとした時、突然大声が聞こえてきた。
「おい、やめろ!お前じゃあ勝負にもならん。下がれ」
「誰だ・・・姉御!なんでここに!」
「騒いでる馬鹿がいるって報告を受けたから仲裁にきたんだよ。まさか、身内が暴れてるとは思わなかったけどね」
姉御と呼ばれた人が人垣をかき分けて俺達の方にくる。スレンダーな、見た目の綺麗なお姉さんが現れた。
「すまないねぇ。ウチの馬鹿共が迷惑をかけちまって」
「いや、気にしなくていい。そこまで手間はかかってないから」
「そうかい、ならこれで終わりにしてくれると嬉しいんだけどね」
「なっ!姉御!俺達やられ損じゃないっすか!」
「アンタ等が悪いんだからしょうがないでしょ?それともアンタ、アタイに意見すんのかい?」
「い、いえ。そんな事は」
「それに、これはアンタ等の為でもあるんだよ。アンタ等じゃあ、この人達には勝てっこないからね」
「そ、それほどですか?」
「ああ、だからアンタ等は先に帰ってな。そいつを連れてね」
「は、はい。分かりました!」
そう言ってチンピラA、Bは人混みの中に消えていった。
「おし、じゃあ俺達も行くか。少し腹が減ったから何か食おうぜ」
ユウ先輩が俺達の方に向かって歩こうとした時、姉御と呼ばれた人がユウ先輩の肩に手を置いて話かけてきた。
「それじゃあ、アイツ等が世話になった分のお礼をさせてもらわないとね」
「ははは、遠慮しとくわ!」
「いやいや、遠慮しなくていいんだよ?アタイと楽しい事しようよ」
「興味ねーよ。第一、俺はお前の事知らねーし」
「何だい?アタイの事を知らないのかい?アンタ等旅人かい?」
「そうだよ。今朝ここに来たんだよ」
「そうかい、なら知らないのは無理ないねえ。じゃあ、まず自己紹介から、アタイの名はベンガル。一応この街の『十二守護獣』をやらしてもらってるよ」
「げっ!アンタが『十二守護獣』か!じゃあシュガールと同じか!」
「あ〜ん、アンタあの女の知り合いかい?」
「知り合いじゃないですが、戦う約束をした仲なんですよ」
聞いた事のある女性の声が聞こえたかと思って見て見るとシュガールさんが立っていた!いつの間に!
「げっ!シュガール!何でここに!」
「貴方が昨日の約束を放置してここにいるからじゃないですか。朝行くと居ないから宿屋の主人に聞いてきたんですよ」
「何だ振られたのか、いい気味だなシュガール」
「振られてません。今から戦うのですから。邪魔だから貴方はお家に帰りなさいベンガル」
「やかましい、アタイが今からコイツと戦うんだからアンタこそ向こうに帰りな!」
「何ですって!この貧乳」
「何だと!そんな無駄に着いた脂肪が何だってんだい」
「あーら、無い人のヒガミは醜いですね」
「よーし、分かった。喧嘩売ってるんだな。買ってやるよ!」
「だから、貴方ではなく、私はこの人って、アレ?」
シュガールさんとベンガルに絡まれてた張本人のユウ先輩が消えていた!あの人!一人で逃げたな!
「よし、マシロ!俺達も宿屋に帰ろう!」
「了解です!」
二人が争ってる間に俺達も姿を隠した。
何とか二人を撒いて無事に宿屋に帰ってこれた。
宿屋に戻るとユウ先輩とノリ先輩がいた!
「ちょっと、ユウ先輩!一人で帰るなんて酷いっすよ!」
「本当ですよ!師匠!」
「すまん、すまん。俺がいる方が面倒事になるから先に帰ったんだよ」
「それはそうっすけど」
「あれからどう・・・オーマイゴッド」
「どうしたっすか?ユウ先輩?」
「ダイ、後ろを見てみなさい」
「へっ、後ろ?」
俺はノリ先輩が言う通り後ろを見て見ると、笑顔の二人の女性が立っていた。シュガールさんとベンガルさんだった!
「マジっすか!俺等付けられてたっすか!」
「全く、話の途中で消えるなんて失礼な人ね」
「っでどっちと戦うか決めたかい?」
「勘弁してくれよー」
ユウ先輩の悲しい叫びが宿屋に響く。
しかし、まさか『十二守護獣』の二人に絡まれるなんてユウ先輩は幸運なのか不運なのか?
果たしてユウ先輩は二人をどうするのか?
俺達は無事に還れるのか!
どうなることやら!




