第四十五話
今明かされるモイラさんの過去。
彼は何故ユウ先輩と戦ったのか。そして、何故送還の義の事を知っているのか!その謎が今明かされる!
「そうですね。貴方方には話しても大丈夫でしょう」
そう言った後、モイラさんは水を一口飲んだ後、ポツポツと話始めた。
「あれはもう、十年以上前の話です。私も冒険者としてチームを組んでいました。これでもこの国の中では優秀なチームだったんですよ」
「だった?」
「ええ、今はもう解散しましたからね。で、私達のチームには優秀な魔法使いがいました。彼はとても研究熱心な人でした。自分の知らない事には貪欲に研究する人でした」
「ちょっと待て、まさかその研究熱心な奴が・・・」
「ええ、彼はこの国が昔行っていた、勇者召喚の義の書物を発見してしまったのです」
「確か、この国では禁忌になっているんですよね?」
「その通りです。異世界から人を呼ぶなんて、とても許される行為ではありません。しかし、私達は知らなかったのです」
「まあ、知らなかったで許される事ではないよな」
「ちょっとユウ先輩!」
「いえ、その通りです。しかも、勇者召喚と言いながら呼ばれたのは戦う事すら出来ない若い女性だったのです」
「それってつまり?」
「ええ、勇者召喚ではなく異世界人召喚だったのです。たまたま、昔召喚された方が強かっただけで本来の機能は異世界人をランダムで召喚する魔法陣だったのです」
「なんてこった」
「私達は焦りました。とにかくどうにかして女性を送還しようとなり、送還の義に必要な物を集めようなり、書物を調べました」
「だから、俺達が火の勾玉が必要といった時に反応したのか」
「はい、もしかしたらと思いましてね。やはり貴方方は異世界人でしたか」
「っで結局女性は送還できたのか?」
「何とか必要な物を全て集め無事に送還する事が出来ました」
「それだけは良かったな」
「なら、めでたしめでたしじゃないっすか?」
「ええ、無事に送還出来たまでは良かったんですけどね、その後が問題でした」
「その後?」
「国に無断で禁忌を犯した事によって我々のチームは解散。そして、勇者召喚を行った友は国外追放となりました」
「残りのメンバーは?」
「残りはこの国での奉仕活動ですね。先程も言いましたが我々は優秀だったので」
「そいつは難儀だったな」
「いえ、我々がやった事を考えれば、この程度で済んで良かったと思います」
「確かに」
「その奉仕活動も最近、解放されました。でも、私達が行った行為は許されるものではありません」
「別にもういいんじゃないか?召喚された人も無事に帰ったならアンタの罪も緩和されてんだろ」
「ユウ先輩、何か軽くないっすか?」
「まあ、俺は関係ないからな」
「いえ、そう言って頂けると助かります」
「つまり、アンタが言った二つ目の理由は、贖罪なのか?俺達が異世界人だから助けようとしたのか?」
「・・・そうです。あれ以来、異世界人には特別な雰囲気を感じるようになったんです」
「だから俺達が異世界人って分かったのか」
「ええ、少しでもお手伝い出来たらと思って声をかけさせて頂きました」
「そいつはどうも」
「では、私のつまらない話はこれくらいにして料理を食べましょう。此処の料理は美味しいですから」
その後運ばれて来た料理を皆で食べながらくだらない話をして過ごした。
モイラさんも苦労してたんだな。
出されたら料理を食べ終わり、お開きにしようみたいな雰囲気になった。
「では、そろそろお開きにしましょうか」
「そうだな。モイラ、ご馳走様!」
「ご馳走でしたっす!」
「とても美味しかったです」
「師匠、私お腹いっぱいで苦しいです」
「喜んで貰って良かったです」
「おし、じゃあ宿屋に帰るか」
「了解っす」
店を出て、宿屋に向かおうとしてユウ先輩が急に大声を出した。
「あー、明日朝一でダンジョンを目指すか。案内人でもいればいいんだけどなー。どっかにいないかなー」
ユウ先輩、何言ってんだ?あっ、もしかして!
「そうっすねー。ダンジョンの道案内は重要っすからね」
「ええ、何処かにいませんかね?良い道案内人」
「えっと、その?」
モイラさんが困った顔をしてこっちを見ている。
どうやら仲間になりたそうだ。
その顔を見たユウ先輩が声をかける。
「明日、朝一で出るぞ。遅れんなよ」
「は、ハイ!必ず行きます」
返事をした後、急いで帰るモイラさんを見つつユウ先輩に話かける。
「ユウ先輩〜、良い所あるじゃないっすか!」
「うるせー」
照れ隠しなのか俺の頭を軽く叩いてくる。
照れなくていいのに!
「ほれ、帰るぞ。明日遅れない為にも早く寝るぞ」
「了解っす」
宿屋へと戻り、ゆっくり休みながら明日の事を考える。
明日はダンジョンへと潜る。
無事に還ってこれるだろうか。不安だなー。




