第四十三話
いきなり戦えと言ってきたモイラさん。彼の目的は一体なんなのか?それに、ユウ先輩はどう答えるのか?
「えーと、モイラさんだったけ?」
「はい、そうです」
「俺とアンタが戦うのか?」
「そうですね」
「理由を聞いてもいいか?」
「理由ですか、一応二つあります。一つは火の勾玉がある場所が問題なのです。実はダンジョンの中にありますので、そこに挑める実力があるのかを確認したいのです」
「成程、それは納得だな。もう一つは?」
「もう一つはですね」
そう言うとモイラさんはにっこりと笑うとこう言った。
「私に勝つ事が出来たら教えてあげます」
「なんじゃそりゃ!」
「まあまあ、でどうします?受けますか?」
「どうするっすか?ユウ先輩?」
「確認だが、実力の確認をするだけだよな?殺し合いじゃないよな?」
「もちろんです。ただし、少しぐらい怪我はするかもしれませんけど」
「・・・場所は何処でやる?」
「そうですね。この国にあるコロシアムでやりましょうか?あそこなら部外者も入れないし、万が一の時にも治癒術師がすぐに来れますので」
「はぁ〜、分かった受けるよ」
「いいんすか、ユウ先輩」
「しょうがねーだろ。火の勾玉の情報が手に入るんだから」
「本当かどうか分かんないっすよ!」
「そうだよな。モイラさん、もし、アンタが嘘をついていたらどーする?」
「そうですね。その時はこの身、如何様にでもなさって下さい」
「よし、じゃあいつやる?」
「では、今から治癒術師を何人か声をかけて来ますので、一時間後にコロシアム前に集合でどうでしょうか?」
「分かった。俺のチームメンバーも連れて行くけどいいか?勿論、戦うのは俺だけだ」
「ええ、大丈夫です。では一時間後に」
そう言うとモイラさんは去って言った。
「ユウ先輩大丈夫っすか?」
「ぶっちゃけ分からん。モイラさんの強さは未知数だからな」
「なら、なんで勝負受けたんすか?」
「何となくだか、問題無い様な気がしてな」
「そうっすか。とりまノリ先輩とマシロに伝えてコロシアムに行きますか」
「そうだな。多分ノリならコロシアムの場所も調べてるだろうしな」
「了解っす!」
俺達は宿屋に戻った。ノリ先輩とマシロも丁度帰って来ており、俺達の状況を説明した。
「成程、ユウ先輩面倒事に好かれてますね」
「流石師匠です」
「マシロー、ノリは俺を褒めてないぞー」
「とりまコロシアムに向かうっす。もう少ししたら約束の時間っすから」
「そうだな。行くぞ」
「コロシアムなら街の真ん中にありますよ。では向かいましょう」
俺達四人はコロシアムに向けて出発した。
コロシアムの入り口にモイラさんと五人程の人がいる。アレが治癒術師なのかな?
「おう、モイラさん。待たせたか?」
「いえ、我々も今来た所ですから、では行きましょう」
モイラさんの案内でコロシアムの中に入って行く。
「ってかモイラさん。この中に勝手に入ってもいいんすか?」
「大丈夫です。許可を取りましたので今日は使い放題です」
「よく、取れたな?モイラさんアンタ何者だ?」
「しがない冒険者ですよ。では行きましょう」
「ノリ先輩、本当っすかね?」
「どうでしょうかね?私の考えが正しければ・・・」
ノリ先輩は考え込みながら歩いていく。
少し歩いているとコロシアムの広場に着いた。
「此処でやりましょう。見学の方々は二階へどうぞ」
「ノリ、ダイ、マシロ。二階に行ってろ」
「了解っす!ユウ先輩ファイトっすよ」
「ユウ先輩、無理はしないで下さい」
「師匠!頑張って下さい」
俺達とモイラさんの連れてきた五人組が二階に上がる。
「では、始めましょう」
「分かった。俺が勝ったらキチンと情報をもらうからな」
ユウ先輩が剣を構える。モイラさんも剣を構える。
「いくぞ!」
ユウ先輩がモイラさんに突撃する。ユウ先輩が右の袈裟斬りを振り下ろすと、それをモイラさんが受け止める。
「これくらいじゃ無理だよな」
「流石にこの程度ではね」
その後二人の壮絶な切り合いに移行する。
右に左に上に下にと、二人が激しく動き回る。
こりゃ目で追うだけで大変だな。
ノリ先輩は追えてるみたいだ。二人の動きを目で追えている。
マシロは頑張ってる。半分ぐらいは見えてるかな?
「流石です。私と此処まで切り合えたのは久しぶりです」
「どうも、満足したか?」
「いえいえ、まだまだ。では、これはどうです」
モイラさんが少し距離をとる。けど、あの距離だと剣は届かないんじゃないか?
「いきますよ!」
モイラさんの掛け声と同時に剣を振るう。すると、剣が伸びてユウ先輩に襲いかかる!
「甘い!」
ユウ先輩は予想していたのか飛んできた剣を弾く。弾かれた剣はムチみたい状態から再びモイラさんの剣となった。あれは・・・
「まさか蛇腹剣とはな。面白い物もってるじゃないか!」
「私としては、反応されるとは思わなかったんですが」
「距離を取ったからな。何か飛んでくるとは予想出来た。近距離から出されたら反応出来たかは分からないがな」
「成程、今度からはそこを意識しましょう」
「じゃあ、次はこっちの番だな」
ユウ先輩がそう言うと魔力を集中させていく。魔導甲冑を発動させている。
「な、何と言う魔力。貴方物理タイプだと思っていましたが、魔力も使えるのですね」
「当たり前だろ。じゃあいくぞ」
そう言った後、ユウ先輩の姿が消えた。と思ったらモイラさんの後ろに現れた。剣を振り下ろすも、モイラさんも反応して鍔迫り合いになる。
「速い。とても目では追えないですね」
「その割には反応してるじゃないか」
「たまたまですよ!っと!」
再び切り合いに発展するも、どちらにも一撃が当たらない。二人共やばいな!
何度目かの切り合い後にユウ先輩が少し距離を取った。
「そろそろ、終わらすか。次の一撃で決める」
「では、それを受けて私が勝たせて頂きましょう」
ユウ先輩が剣を上段に構えて、モイラさんと睨み合う。静寂の中、誰かが息を飲む音が鳴った時に、ユウ先輩が突っ込む。それをモイラさんの蛇腹剣を伸ばして対応する。蛇腹剣がユウ先輩の腹に刺さった!と思ったらユウ先輩が消えた。残像か!
ユウ先輩の本体は残像の下にある!
そのままユウ先輩は突進しながら剣を投げた!
投げた剣をモイラさんが弾き飛ばした瞬間にユウ先輩が懐に潜り込んでモイラさんの顔面の前に拳を止めている。
「俺の勝ちでいいか?」
「ええ、まさか剣を投げて来るとは思いませんでした」
「俺は剣より拳の方が得意なんだよ」
「得意じゃない剣で私と同じですか。参りましたね」
「よし、じゃあ飯でも食べながら話聞こか」
「ええ、いいですね。美味しい所知っていますよ」
なんかユウ先輩とモイラさんが打ち解けてる。少年漫画でよくある戦った後に仲良くなるやつかな。
とにかく無事に終わったから良かった。
後はモイラさんから情報を貰って火の勾玉をゲットして還る準備をしていきたい。
早く還ってゆっくりしたいなー。




