第三十八話
決意を新たに決めて半日が経過した頃に、やっと到着しました。ホワイトフォート!
門をくぐって城に向かっている。
「とりま城に行って報告するか」
「そうじゃの。しかし、なんか街の中が慌ただしい様な気がするのう」
「確かに、何か皆慌ててるような感じっすね」
「まあ、今は昼時だ。飯でも食いに行ってるんだろ?」
「いえ、何かあったのかも知れませんよ?取り敢えず城に行ってみましょう」
俺達は少し急いで城に向かった。門番を見つけ、入れて貰うようにロンク爺さんが話しかける。
「おい、今帰ったぞ。何かあったのかのう」
「ロ、ロンク様!実は・・・」
門番はロンク爺さんに耳打ちしている。
「な!なんじゃと!それは真か?」
「は、はい。そのせいで今、城の中はてんやわんやの大騒ぎです」
「おいおい、ロンク爺さん。どうしたんだよ?」
「実はな、今朝第一王位継承のアルガリ様が、王位継承権を破棄されたそうじゃ」
「へっ?あんだけ民に重税をかけてた無能王子様が?何で急に?」
「無能王子様って、ワシの前でよく言うのう」
「けど、事実だろ?」
「否定はせんが、もうちょっと小さい声でいっとくれ」
「それで理由は?」
「分からんそうじゃ。今朝急にらしいからの」
「うーん。今朝か。もしかして・・・」
「ユウ先輩。何か分かったんすか?」
「いや、もしかして、セッショウが関係してるんじゃないかなって思ってな。アイツを撃退した次の日に辞めるって、何か気になってな」
「えー、けどセッショウは隣国にいたじゃないっすか?流石に関係無いんじゃないっすか?」
「あはは、だよな!」
「あはは、そうっすよ!」
「まあ、メリノ王子に会って詳しく聞いてみましょうか」
「そうだな。ロンク爺さん、案内頼む」
「任せておけ、さっきの門番に確認したが今は政務室にいるそうじゃ」
ロンク爺さんの後を付いて歩いていく。少し歩くと一つの扉の前についた。ロンク爺さんはノックをして部屋に声をかける。
「メリノ王子、ロンクですじゃ。冒険者チームアースも一緒じゃが入ってもよろしいかのう」
「ロンクか!それに、アースも!もう帰ってきたのか!入れ」
「失礼しますじゃ」
「失礼するぞー!」
部屋に入るとメリノ王子様とポロワスさんがいた。
「帰ったか。どうだった?って!ロンク!その腕はどうした!」
「何処から話そうかのう」
「ユウ!どうせお前がお祖父様の足を引っ張ったんだろ!そこに座れ!私が引導を渡してやる」
「ほらな、ロンク爺さん。俺の言った通りだろ」
「そうじゃのう。我が孫ながら情けないのう」
ユウ先輩は笑いながら話し、ロンク爺さんは左手で頭を押さえている。
「何を話している!今すぐに・・・」
ポロワスさんが話そうとしたが、ロンク爺さんが糸で口を防いだ。
「お前は少し黙っとれい」
「それで、報告を聞こう。ロンクの腕がこうなってる訳も教えてくれるか?」
静かだけど確かな怒りをメリノ王子様から感じる。
「愛されてるね〜。ロンク爺さん」
「全くじゃ。この年になってそんな事を感じるとはのう」
「さてと、何処から話そうかな」
「全て話せ」
ユウ先輩が今までの事を話し始めた。依頼を受けてロンク爺さんと共にマーダル・ヘイズに向かった事。マーダル・ヘイズでネブラスカ大佐と会って、向こうでもホワイトフォートの鎧があった事。それをネブラスカ大佐と一緒に調べている途中に、セッショウと言う化物がいた事。そいつにロンク爺さんは右腕、ネブラスカ大佐は左脚を切られた事。見逃して貰った事。
順番に話していく。話を聞いていくうちにメリノ王子様とポロワスさんの顔色がどんどん青くなっていく。
「まさか、あのネブラスカ大佐まで左脚を失うとは。どれほどの化物だったんだ!」
「お祖父様とネブラスカ大佐が揃っていて負ける何て信じられません。しかも、その化物はまだ生きてるなんて!」
「何処に行ったか分からんけどな。もし、あれ以上深追いしてたら・・・」
「間違いなく全滅だったろうのう」
「そんな化物が何処にいるか分からない。それだけが不安要素だな」
「しかも、ユウ達によれば、似たような化物が他にもいるとの事じゃ」
「何と言う事だ。一人でも厄介なのに二人もいるなんて」
「違うぞメリノ王子、二人じゃない。二人以上だ」
「・・・そうだな。最低二人か。目眩が起きそうだ」
「取り敢えず俺達の報告は以上だ。今回の件、起こした奴の目的は両国での戦争だったからな。メリノ王子の暗殺は入ってないと思う。多分だが出来ればいいなぐらいだったと思うぞ」
「そうか」
「それよりもそっちの方が面白い事になってるな。第一王位継承者が放棄だって?」
「・・・そうなのだ。今朝急に兄上が全員を招集し、発表したのだ。昨日まで何も言ってなかったのに」
「何か変わった事は無かったのか?」
「無かったと思う。あれ程権威にこだわってたのに」
「兄貴に聞いてみたのか?」
「それが、その発表をした後から部屋に閉じこもっている。誰が話しかけても反応すらないんだ」
「理由は分からずじまいか。大変そうだな」
「他人事だな。こっちは本当に大変なのに」
「他人事だよ。俺達はもうこの国を出ていくしな」
「なんじゃ、もう行くのか?」
「もともと、この国に寄ったのも偶々だしな。俺達にも目的はあるからな」
「そう、だな。そういえばお前達はこの国の冒険者ではなかったな」
「おうよ。それで、依頼達成の報酬を貰いたいんだが?」
「分かっておる。ポロワス持ってきてくれないか?」
「分かりました。すぐに取ってきます」
ポロワスが退室していき、メリノ王子がテーブルの引き出しから何かを取り出す。
「報酬とは別にこれも渡しておこう。我が王家の紋章だ。これを見せれば優先的に船に乗れるだろう」
「おっ、いいのか?」
「よい。我が友に快適な船旅をしてもらいたいからな」
「何だよ、急にエモい事言ってんだよ」
「いや、お前達には本当に世話になったからな。少しでも恩を返しておきたくてな」
「そうじゃな。お前達の目的が達成出来る事を祈っとるぞ」
「ロンク爺さんにも世話になったな。今度合うまでにいい義手付けてくれよ」
「もちろんじゃ。マシロちゃんも元気でのう」
「はい!ロンクお爺さんもお元気で!」
一通り挨拶をしてるとポロワスさんが戻ってきた。ノリ先輩に近づいて何かを渡している。
「お待たせしました。コチラが今回の依頼料です」
「ありがとうございます。確かに受け取りました」
「貴方方にはお世話になりました。今後も良い付き合いをしていきたいと思います」
「コチラこそ。宜しくお願い致します」
ポロワスさんとノリ先輩が握手をしながら話しあっている。
「おっし、取り敢えずやる事やったから、俺等は行くか!」
「そうっすね。とりま宿屋に泊まって明日出発するっす」
「じゃあな!」
ユウ先輩の挨拶の後、城を出て、宿屋を探して泊まった。ユウ先輩、泊まる時にあの王家の紋章使ってたな。めちゃくちゃいい待遇になってたな。
今日は取り敢えず寝て、明日の朝港に向かいながら今後の方針を立てるって言ってたな。
明日から別の大陸に向かうって言ってたし今日はゆっくり休もう。
無事に還れる様に俺も頑張らないとな!




