第三十話
さて、メリノ王子様の依頼を受けた後、宿屋に戻り準備万端で出発しようとしたら一人の人物が俺達のもとに訪れた。それは・・・
「よう、坊や共」
「あんたは確かロンク爺さんだったか?」
「そうじゃ、聞いた所によるとアンタ等は今から隣国に向かうんじゃろ?メリノ坊やから聞いたぞ」
「はあ、そうですが?」
「ワシも一緒連れてってもらえんかのう?」
「えっと、なんで?」
「丁度ワシも隣国に行く用事があってのう。せっかくじゃから乗せてもらおうと思ってのう」
「えっ?嫌ですけど」
「はっ?えっ?ちょ、ちょっと待ってくれ。少しは考えてくれんのかのう?」
「いや、考える必要ないだろ?あんたを乗せる必要が俺達にはないんだし」
「か、金か?少しなら払うぞ」
「違う。俺達が欲しいのは安全だ。アンタが敵かも知れないのに一緒に行動する必要が無いんだよ」
「それは確かにそうじゃが。あっ、そこの幼子よ。ワシのようなか弱い老人が1人で行くのは可哀想と思わんか?」
「えっと、そのー」
「マシロを巻き込むな。このチームのリーダーは俺だ。その俺が駄目だと言ってるから駄目だ」
「そこを何とか頼む!ほら、メリノ坊やの手紙もあるぞ」
「いや、俺アイツの文字なんて知らないから。ってかアンタ強いんだから1人で行って来いよ」
「えっ?ユウ先輩。この爺さん強いんすか?」
「強いぞ。多分だが、俺とノリ2人がかりでも勝てるかどうかだろうな」
「ほ、本当ですか?ノリ先輩!!」
「ええ、城での少ない動きだけですが多分私達よりは強いですよ」
「マジっすか!じゃあ、一緒に行かない方がいいっすね」
「まてまて、若者は決断を急ぎすぎる。もう少し考えて・・・」
「よし、行くぞー」
「だから少し待てというんじゃ!」
ユウ先輩が馬車を動かそうとしているが全く前に進んで行かない。どうなってるんだ?
「ほれみろ。この馬車を簡単に止めれる奴がか弱いもんか!いいから離せ!」
「ワシ1人で行くのは寂しいんじゃ!ええじゃないか、一緒に行こうぞ」
「・・・ユウ先輩、これは一緒に行った方がいいかもしれません。ここで時間を取られるのは余りにも無駄かと」
「俺も賛成っす。これ、俺達が賛成するまで続くっすよ」
「師匠。私も一緒で大丈夫です」
「っく!確かにこれ以上時間をかけるのはもったいない。分かったよ、ほれ乗れよ爺さん」
「ホッホッホ、分かればよいのじゃ!では失礼するぞ」
ロンク爺さんは身軽な動きで馬車に乗り込んできた。
「ってか爺さん。アンタは何しに隣国に行くんだ?」
「実は、隣国に友人がおるんじゃが、最近会ってないから久しぶりに会いに行こうと思ってのう」
「はぁ〜、それだけかよ?」
「そうじゃが?」
「尚更1人でいけよ」
「よいじゃないか。道案内くらいはするから」
「分かったよ。なるべく早く終わらしたいからな。」
「任せろ。片道半日じゃ。今から出れば明日の朝には着くじゃろう」
「了解。じゃあ行くぞ」
ユウ先輩の掛け声の後、馬車を進め、街を後にした。
その後夜間になり、野宿の準備を始めた頃、ユウ先輩がロンク爺さんに語りかけた。
「なあ、爺さん。一つ頼みがあるんだが」
「なんじゃ?」
「俺と手合わせしてくれないか?」
「・・・なんでじゃ?」
「俺はまだ強くなりたい。力だけではなく技術面も鍛えたいんだ」
「ふむ、まあいいじゃろ。」
「ありがたい。なるべく手加減無しで頼みぞ」
「ホッホッホ、良いぞ。ただ、ケガしても知らんぞい」
「ありがたい。マシロ、ダイ。よく見とけよ」
「分かりました。師匠!」
「俺もっすか!」
「では、私は夕飯の準備してますから。夕飯が出来たら終わらして下さいよ」
ノリ先輩が去った後、ロンク爺さんとユウ先輩が一定の距離を開けて向き合う。
「ダイ。合図を頼む」
「分かったす。ただ、2人共ケガだけはしないでくださいッスよ。それじゃあ、始め!!」
俺の掛け声と同時に2人がぶつかる!!
ユウ先輩の実力は知っているがロンク爺さんの方は未知数だ。果たしてどうなる事か。
次回予告!ぶつかり合う2人の男。若き男と年老いた男。果たしてどちらが勝つのか!
次回、敗北若き男!デュエルスタンバイ!!




