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第十三話

魔物氾濫から数日がたった。俺達は王様に報告するために案内人のカヤ将軍と会話をしながら前回の会議をした部屋に向かっている。


「ところでカヤ将軍なんか新しい情報ありますか?」


「特にないな。あの部屋にあった資料はキャンベルが回収していたから今日の会議で報告があるだろう」


「その内容も気にはなるが、一番は俺達を還せるかだけどな!」


「そっちもキャンベルに任せてあるから私は詳しくはわからんな」


「・・・俺達は約束を守ったんだ。王様が破らない事を祈るぞ。破られたらこいつらは分からんが俺は何をするかわからんからな」


ユウ先輩はそう言いながら指をポキポキならしている。


「大丈夫だ。私達も恩を仇で返すことはしない」


「・・・そう願っているぞ」


なんて物騒な会話していたら会議室の前についた。


「では還るための話し合いをしようかな」


そんな一言をいってからユウ先輩は会議室を開けて中に入っていく。続けてノリ先輩と俺が入っていく。中には王様とカヤ将軍、それとキャンベル将軍と俺達とダンジョンの中に入った二人の兵士もいる。席に着くと王様が


「今回の働き見事であった」


とお褒めの言葉を頂いた。これに対してユウ先輩が


「いえ、我らは約束を果たしたのみ。我々は恩には恩を、仇には仇で返すのが礼儀なので」


と言葉は丁寧だけど「約束は守ったぞ。お前たちも守れよ。じゃないとどうなるかわからんぞ」ってことだもんな。これに王様は


「分かっておる。とりあえず今回の魔物氾濫についてキャンベルが話をしよう」


「今回の件ですが残念ながら主犯には逃げられましたが、犯人の残した資料の回収はできました。ただ、これに犯人に繋がる手懸かりはありませんでした」


「その資料には何が書かれていたんだ?」


「大体は今回の魔物氾濫を行った実験の結果ですね。どうすれば効率よく魔物を召喚できるのかとか魔力を送る量によって強さはかわるのか等です」


「それは残っていたんだな?隠しておいた訳でもなく?」


「普通にテーブルに置いてありました」


「つまりそれらは見られても問題はなかった訳だ。やはり大事だったのはあの玉って訳か」


「どういうことっすかユウ先輩?」


「俺等が突入してから少しは時間があったろ。その間に大事な資料があったら回収していくはずだ」


「俺達が急に来たからそんな余裕なかったんじゃないんすか?」


「馬鹿言うな。それはこっちと力の差がなかった場合だ。あいつは俺等を簡単に殺せた筈なのにそれをしなかった」


「確かにそうっすけど」


「多分だがあの黒い玉を壊されたくなかったんじゃないのかと俺は思う。戦闘になればあの部屋も無事じゃなかったろうからな」


「それほどの強者だったのか?」


「ああ、実際一人は殺されたしな。しかも一瞬でだ」


俺達の話を聞いていた王様が兵士達に問いかける。


「お前達はどう感じた?」


「我々は特に何も感じれませんでした。何故彼等は早く取り押さえないのかと疑問に思いドーブが取り押さえようとしたら・・・」


「殺されたということか」


「はい。何をされたかすら分からずにドーブは殺されました」


「・・・ドーブは最近力を付けており兵隊長になる予定でした。弱くはないはずです」


「その者を瞬殺か。それほどの者なら噂にでもなっているのではないか?」


「兵士やユウ達の話を聞き似顔絵を作成しましたが、見覚えもなく犯罪者の手配書にもありませんでした」


「全く情報がないのか?」


「ただ猫人ということだけはわかっています」


「いや、それは違うぞカヤ将軍。本人が言っていた。自分は猫人じゃないってな」


「嘘じゃないのか?自分の情報を漏らさないための?」


「それならあんなしゃべり方はしないと思う。猫関係なのは確かだと思うが・・・」


「成る程。ただ、猫人の方でも探してみようと思う。今の所それぐらいしか情報がないからな」


「そうだろうが慎重にした方がいいぞ。猫人の関係が確定してないのに疑ってかかると戦争になりかねんしな」


「わざと猫人と思わせて我らと猫人を戦争させようとした可能性もあるか。ふむ、慎重に行う方が正しそうだな」


「それもですが私としてはその女がもっていった玉の方が気になります」


「そうじゃな。ユウ達よ。その玉については何か分かるか?」


「わかりません。ただあの女が資料よりも大事にしていたから何かはあるんでしょうが・・・」


「ふむ。ノリとダイはどうじゃ?」


「私はあの玉はヤバイと思います。見ただけで嫌な気分になりましたし」


「正直俺にはわかりません。あの女の殺気にも俺は反応出来ませんでしたし」


「詳しくは分からんということか。問題はまだまだ残っておるな」


王様とキャンベル将軍が話をし始める。その様子を見ながらユウ先輩が話をふる。


「あー、その話はとりあえず置いといてもう一つの大事な話をしましょうか?」


「ああ、そうじゃな。キャンベルよどうなっておる?」


「はっ、送還の儀に関してですが実はまだ詳しくは分かっていないのです」


「・・・つまり約束は守られないということですか?」


「待ちたまえ。我々も約束を破るつもりはない。調べた結果、過去に召喚された者達が送還されたという記述は発見できた。ただ、送還方法が記述された資料がまだ見つかっていないのだ。引き続き調査は続ける」


「続けた結果見つかりませんでした。それだと意味は無いのは分かっているのか?」


「勿論だ。全力であたらせてもらう。それにあの魔物氾濫が本当に終わったか確認もしないといけないしな」


「確かに確認しないといけないな。では具体的にどれぐらいでその確認ができる?」


「そうですね。一年は見て貰えると助かりますが」


「却下だ。今まで起きた魔物氾濫はそんな間隔で起こっていない。精々二ヶ月って所だろ?」


「確かに今まではそうですが、本当に起きないのか確認するならそれぐらいは必要かと思いますが?」


「駄目だ。そこまで待つ必要性は無い。三ヶ月だ。もしこれ以上伸ばそうとするなら」


「・・・するなら?」


「俺達はこの国を出て、自分達で還るための方法を探す」


えっ?そんなこと話し合いしましたっけ?まあ確かに初めてこの世界に召喚された時にこの世界の情報や身の守る方法なんか知らないからお世話になるって話でしたけど・・・まあ確かにここにいる必要はなくなったのかな?


「ちょ、ちょっとまっていただきたい。我々も全力で探しています。どうか落ち着いて考えて欲しい」


「・・・俺は初めから言っていた。結果がついてこないなら意味はないと。忘れた訳ではないですよね?」


「確かにそれは覚えている。ただ我々も約束を反故にするつもりはない。今も調べておりもう少しすれば送還方法もわかると思う」


「わかった。とりあえず魔物氾濫が起きないのを確認するために三ヶ月までは待とう」


「三ヶ月ですか?」


「ああ、もしそれまでに分からないようなら俺達は好きにやらしてもらう」


「分かりました。こちらも全力を尽くします」


「まあ期待しながら待ってるぞ。とりあえず俺達の報告は終わったし、聞きたい事も聞いたから退出しようか。俺達抜きにして話したい事もあるだろうしな」


そうユウ先輩言い終わった後、俺達は部屋を出た。帰りながらユウ先輩に話しかける。


「ユウ先輩、送還方法が分からなかったら本当に出ていくんですか?」


「こんだけ時間をかけて分からないようなら期待は出来ないだろ?還りたいなら俺達でも方法を探さないとな」


「そうだな、ユウ先輩の言う通りだな。私達も探さないとな」


「まあ、もうこの国にいる理由もないっすからね。お金も貯まっているし、自分達の身の守り方も分かりましたからね」


「とりあえずこれからも三ヶ月はレベル上げをしていこう。あんな化物がいるのが分かったんだから上げて損はしないだろうからな」


ユウ先輩、あの女を見てから焦ってるような気がするな。ってか俺からしたらユウ先輩も化物なんすけどね。なんて考えてたらユウ先輩がこっちを見て笑ってる。


「ダイよ。誰が化物なんだ?俺はあの女のことだったんだがお前は俺も化物と思ってるのか?」


「えっ!俺口に出してないっすよね。なんで毎回毎回俺の考えてる事が分かるんすか!」


「前から言ってるだろ。お前は考えている事は顔に出てるって」


「だよな。もう少し隠すようにしたほうがいいと思うぞ」


「ちょっとノリ先輩、ユウ先輩を止めて下さい。またタワーブリッジをかけられるっすから」


「とりあえず帰ってこれからの目標でも考えますか。ユウ先輩、ダイ、私は先に帰りますよ」


「待って!ノリ先輩。行かないで!」


「安心しろ、時間はかけないからな。覚悟しろダイよ」


俺の悲鳴が道に響く。

ユウ先輩こっちに来てレベルが上がったせいか力が上がってるよな。とりあえず今後の事を考えておかないといけないな。

本当に俺達は元の世界に還れるのか?

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