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居残りの二人

「モンスターと戦う訳じゃないのに……姉貴も必死ですね」

ジュリーは苦笑しながらそう言った。

この世界に居る時の彼は、リアルよりも口が滑らかな様だ。


「そうなのかなぁ……今頃、モニター室でこのカッコの僕達を見て笑ているんじゃないのかな?」


「かもしれませんね」

僕達二人は笑った。

「さて、どうする?」


「先ずは二人を探しましょう。ステ―タス開きますね」

研二君はステータス画面を開いて二人を探し出した。


「居ますね……当たり前ですが……ネットでインしてなくでもオンラインになってますね」

そう言いながらステータス画面を僕に見せてくれた。

二人と思しきキャラ名が表示されていた。


「彼らは今の現状を知っているのか?」


「いやどうでしょう?それは僕にも分からないです」


「そうか」


暫くすると

大柄な戦士と涼しそうな恰好をした腰に剣を吊るした女の子がやって来た。


「お~い。ジュリー!!」

女剣士が叫ぶ

「あれが杏奈です。ここではローリーです。それともう一人が秀人。ここではシュートです」

とジュリーは手を振りながらが教えてくれた。


「久しぶり、相変わらずお前らは仲が良いな。ずっと一緒にいて飽きないのか?」

ジュリーが先に声をかけた。

「全然!」

二人声を合わせて応えた。


「聞いた俺がバカだったわ……あ、紹介するわ。こちら僕の姉貴の知り合いで賢者アマンダさん」


「え、ゆかり姐さんの知り合いですか?」

戦士のシュートが驚いたような表情で聞いてきた。


「そう。後輩だよ。よろしくね」


「はい。こちらこそよろしくお願いします」

とシュートは気さくに笑顔で応えてくれたが、ローリーは僕を分析するようにじっと見つめて頭を下げた。


「ちょうど良かった。お前に聞きたい事があったんだ」

シュートは笑いをおさめてジュリーに向き直った。


「なに?聞きたい事って?」


「この頃、このゲームの参加者が異様に少なくなっているみたいなんだけど、どうなってんの?」


ジュリーは一瞬返事に困った顔をした。

「少なくなったというか誰も来ない。あっちの世界で何かあったのか?」


彼もシュートから一気に核心に触れる質問を投げかけられるとは思ってもいなかったようだ。

そして僕の顔をうかがう様に見た。


「それを伝えに僕達は来たんだよ」

ジュリーに代わって僕が応えた。


「実はこの世界に来たまま帰れなくなったという事案が多数起きているようなので、現在アクセスが出来ないように制限がかけてある」


「あぁ……そうなんですね」

シュートは納得したように頷いた。彼は薄々今の異常な状態に気が付いていた様だ。


「分かっていると思うが、この世界から帰らない奴が結構いる。その発端は君たち二人だ」

僕は話を遠回しに言うのが嫌いだ。

一気に話を核心に持っていきたかったのでストレートに事実だけを話した。


「やっぱりそうですか……いつも同じ顔ぶれが居るので、多分ローリーと同じように帰らなくなった人たちなんだろうなとは思っていたんですけど……」


「ローリーがここから帰らなくて済むようになったっていう事を誰かに話をした?」


「はい。パーティメンバーやここでよく合う知り合いには話をしました。でも、僕の事は……」

シュートはそこで言いよどんだ。


「この人はもう知っているよ。お前の事は……俺が話をした」

ジュリーが言葉を挟んだ。


「そうか……そうなんです。きっかけは僕なんです。僕も何故ここに転移したのか良く分かっていないんです」

シュートは肩を落として力なくそう言った。



「まあ、神様の都合っていう事で良いんじゃなかな?」

僕はわざと明るくシュートに声を掛けた。


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