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原因

「はい。それはおいおい説明しますが、今回うちが開発した有機半導体を使用したニューロコンピュータの性能は思った以上に優秀でした……優秀過ぎてこうなったと言った方が良いでしょうか?……ま、そう言う事です」


「なるほど……良く分かりませんが、要するにこのサーバーに原因があるというのだけは分かりました」

と僕は正直に答えた。

安達は秀人と杏奈に目をやると

「彼女と彼が杏奈さんと秀人君ですね。ここではローリーとシュートでしたね」

言葉は優しかったが二人を見る目は鋭いまなざしだった。彼は本当にアサシンの様だった。


「は、はい」


「ローリー、あんたはリアル世界に帰る気があるのかな?」


ローリーは一瞬迷っていたがシュートの顔を見てからゆっくりと頷いた。


「それは良かった。僕も余計な仕事をしなくて済む」

安達は低い声でそう言った。


「ところで、安達さんのキャラ名は?」

僕はどうでも良い事が気になっていた。我慢できずに聞いた。


「ショー」


「ショー?アサシンのショー?カッコいいなぁ」

僕は思わず声を上げた。


「仕方ないでしょう。僕の名前が安達翔なんだから……これを断ったらアダチンとか名付けられそうだったから……」


「ちょっと待て、僕なんかアマダンだぞぉ……天田でアマダン……なんか悔しい」


「ちゃんと反対しないあんたが悪い。嫌なら嫌だと言えば良い。言わないあんたが悪い」


「いや、道化師やスーパースターなんかの職種にされなくて良かった、と思ってそれで安心してしまったから……」


「敗因はそこですな」

アサシンのショーは意地悪く鼻で笑った。


「なんか悔しいなぁ……」


「あんたの場合保安官の方が良かったかもね」


「保安官って職種あるのか?」


「ないよ」


「だぁ!!」

完全に僕は安達におちょくられていた。


「で、あんたがここに来たという事は解決策が見つかったから?」

僕は気を取り直して安達に聞いた。


「まあ、そう言う事です。さっきのあんた達の会話をモニター越しで見ていて気が付いた方法なんだけど」


「やっぱりモニタリングしてくれていたんだ」

僕が言うと

「当たり前でしょう」

安達は冷たく言い放った。なんだかどんどん彼は開発者からアサシンへと変化していっているようだ。


「で、どうするの?」


「ログアウトボタンが消えていない……という事はこのままログアウトが出来る可能性が高いので、まずは説得してログアウトして貰う」


「いやだと言ったら?」


「殺す」

表情も変えずにアサシンのショーは言った。目つきは本物だ。


「またまた」


「いや、本当に殺す」


「え?本気?」


「本気」


「殺してどうすんの?」


「ゲーム上死んだら普通にDEAD画面になって確認画面に移行しますが、死んだその瞬間にここを強制的にログアウトするように設定を変更してきました」

アサシンのショーはまた開発者安達に戻った。


「え?そんな事が出来るの?元の体に戻らずにここで彷徨さまようとかにならないの?」


「実はその可能性も考えました。今起きている現象の原因がそこにあるかもしれないと思えたからです。

つまりここのサーバーは嫌味なぐらいあまりにも優秀なので、最初にアクセスした時にスキャニングしたバックアップ用の個人データ領域に緊急避難的にそのキャラを格納しようとする傾向があるのが分かりました。」

彼はそこで一息入れた。これからどう話そうかもう一度考えているようだった。



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