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【箱】詩

弱冠

作者: FRIDAY

 

 ただ生きてきただけなのに

 気付けばおとなと呼ばれている


 時間ばかりが過ぎただけで

 変わっているのは外観ばかり


 幼かったあの頃と

 何かが違う気がしない


 今でも変わらず愚かなままで

 過去も未来も手に余る


 いつか机を並べた彼らは

 気付けば遠くに小さくなって

 出遅れているとわかっていながら

 それをどうとも思わない


 できるようになったことは

 その場を凌ぐ技術ばかりで

 上を行く誰かを見上げては

 自己嫌悪に悩んでいる


 酒は不味くて飲めもせず

 煙草も不味くて呑めもせず

 数える時だけ重なって

 おとなと呼ばれる歳になる


 定まらない将来には不安

 終わってしまった過去には後悔

 現在いまに輝くこともなく


 一喜一憂に振り回され

 晴れに眩み 雨に毒づき



 それでも、ただ



 いつか老い痩せ枯れたとき

 悪くなかったと言えるように



 今はただ


 精一杯の努力を


 


 

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