【第2話】私の“世界”
私も住めるなら明るくて楽しい世界がいいな!それだと暗紫色の空に紅の海はなんだか違う気がして、世界を一度リセットした。
空はやっぱり青空がしっくりくるけれど、それでは芸がないような気がする。長い時間悩んで空は虹色にすることに決めた。
曇りの日は紫の空。雨の日には藍色の空から金平糖が降りだす。雪の日には青色の空からマシュマロが降ってきて、晴れの日は季節によって色が変化するようにした。
春は黄色の空。夏は赤色の空。秋は橙色の空。冬は緑色の空。そして、雲は“わたあめ”で出来ている。
地面はチョコレートにして、甘い飴で出来た花、ブッシュ・ド・ノエルの樹、木の実は様々な色のグミ。川は生クリームで出来ていて、滝はとろとろのミルクに設定した。
「う〜ん。 メルヘン♥」
一度私の世界に行ってみようと思い、私の世界に降り立った。私の世界は、いろんな香りがして楽しかった。だけど時間が経ってくると、甘い匂いばかりで気分が悪くなってしまったのである。
「さっぱりした匂いがあったほうがいいかも・・・
それから、生き物がいないと寂しいよね。部屋に戻って創ってみよっと!」
私は、部屋に戻るといろんなハーブで出来た草を生やし、グレープフルーツの香りの風を吹かせた。
「生き物だけど何がいいかな?私は紫蝶の女神だから、やっぱり蝶から創るべきよね!」
そして和紙の蝶、布の蝶、最後に洒落でパンにバターを塗ったバターフライを創った。それだけでは寂しいので、エホバが創ったアダムとイヴを真似して人間を創ってみた。
「名前は何にしよう。そうだな〜。ダディとマミィでいいか。」
エデンの園は紫蝶の園。禁断の果実は饅頭。ダディとマミィは禁断の饅頭を食べてステファニーを産みました。
私は3人に2階建ての家を与え、道具と材料を与え、仕事を与えた。
ダディは大工仕事が上手で家に必要な家具を造り終わると、いくつかのお店を造った。
マミィがそのお店で雑貨屋を開き、雑貨屋には野菜の種、農作道具、そして、おかか味のふりかけ肥料が売り出された。
そうなるとお金となるものが必要になる。私は円でもウォンでもドルでもなく、ポンを作った。
その頃には世界にも町が出来ていき、生き物も増えていった。さまざまな種類の魚。金色の豚。赤色の牛。そして、カラフルな鳥の羽は洋服にも使われた。洋服を作るのはステファニーの仕事で、彼女の作る洋服たちはとても不思議で、とても素敵だった。
少しずつ世界が出来てきた頃。私は新たな住人を増やそうと思い、ダディに頼んでたくさんの家を造ってもらった。
ログハウスには浅黒い肌の石松。和風の家には、大和撫子のイメージで撫子。レンガの家は3匹の子豚が頭をよぎったので、三つ子のチャン、リン、シャンを住まわせた。
そして1年が過ぎた頃。私は一度、部屋に戻ることにした。久しぶりに戻ってきた部屋にはテミスの姿があった。
「美香様、おかえりなさいませ。ずいぶんと世界らしくなってきましたね。」
「うん。私も楽しく暮らせてるよ!ところで何か用事だった?」
「はい。今日は美香様にご忠告があって参りました。」
「忠告?」
忠告? 何だろう・・・・・甘い物ばっか食べてるから太ったとかかな?
「違います。そもそも美香様はこの世界に来られた時からすでにお太りでしたから、ご自分で体を動かされて、むしろお痩せになりましたよ。」
マジで? 私痩せたの? めっちゃ嬉しい!
「それにしても美香様には感心致します。他の神々はご自分の容姿も変えてしまわれますのに・・・・」
・・・・・・・・え? そんなことができたの? ちょっと! 何で教えてくれなかったのよ!
「・・・・・・話を戻させて頂きます。ご忠告の件ですが、この世界での恋愛はタブーとなっております。これは絶対に破ってはなりません。よろしいですね?」
「もし破ったら、どうなるの?」
「それは教えてはいけないことになっております。」
恋愛できないなんてつまんない・・・・・・まぁ、恋愛のやり方なんてとっくに忘れてしまったんだけどね。
「わかった。うっかり素敵な人を創ってしまわないように気をつけるね(笑)」
「・・・・・・」
「じゃあ、私戻るから!」
「お気をつけて行ってらっしゃいませ。」
【第3話】へつづく




