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SWEET TRAP  作者: 麻乃そら
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第六話

「紳一郎様は今夜はお仕事で遅くなられると、秘書の方からお電話がありました」


今朝と同じ場所に迎えに来てくれた車で朝吹邸に帰ると、メイドさんが僕に言った。

今朝、『なるべく早く帰る』って誰かさんは言ってなかったけ?

……結婚2日目でこれだよ。

普通の新婚夫婦なら喧嘩になるのかもしれないが、僕の場合は大助かりだ。

なるべく顔を合わせたくない。

おとといも会ってないし、昨日のパーティも招待客の相手で忙しくて、ずっと一緒にはいたけどろくに話していない。

夜はすぐ寝ちゃったし、今朝はふたりともギリギリまで寝ていたので朝の準備でバタバタしてて

彼が出かけるときに少し話しただけだ。



僕はコックさんが用意してくれた食事をとり、メイドさんが用意してくれたお風呂に入って

紳一郎さんと顔を合わせない内に寝てしまおうと、早々とベッドに入った。

昨日の疲れも取れない内に、今日も朝から学校で疲れることが続いて僕はもうクタクタだ。、

明日は土曜日で休みだから、ゆっくりできる。


「…………」

僕、紳一郎さんと結婚したのはいいけど、これからこの家で何したらいいんだろう?

食事の支度もお風呂の仕度もお掃除もここの使用人の人達がやってくれる。


『家のことは何もしなくていいよ。人手はあるからな。

君はまだ高校生だから、今まで通り学業に専念してくれ。

ただし、俺の花嫁だという自覚は持っていてくれよ?』


紳一郎さんは結婚が決まってから僕にそう言ったけど…。

花嫁の自覚?

なんだかよくわからない。

僕は何か忘れているような気がしたのだが、考えるのに疲れてそのまま寝てしまった。



ベッドが大きく揺れたような気がした。


「冷たいな、普通夫の帰りが遅くなっても起きて待ってるもんだろ?新婚なんだから」

「ん?」

すごく近くで男の声が聞こえて、僕は目が覚めてしまった。

眠い目を擦りながら声のした方を見ると、ワイシャツにネクタイを緩めた格好の紳一郎さんが、

僕の隣で、肘をついて横になっている。


「あ、お帰りなさい。お仕事お疲れ様でした。…オヤスミナサイ」

「こら、寝るんじゃない」

紳一郎さんは僕が頭から被った上掛けを引き剥がすと、上から覆いかぶさってきた。

「あの、重いんですけど……」

「……甘い匂いがするな。シャンプーか?」

彼は僕の髪に鼻を近づけて、クンクンと匂いをかいだ。


僕がお風呂に入る時に、メイドさんが『桃がお好きだと伺いましたので』

と言って、桃の香りがするシャンプーやボディソープを用意してくれた。

僕は『桃まんじゅう』が好きなだけで、特に桃にこだわってるわけではないんだけど…。


「ひゃ!」

紳一郎さんは、いきなり僕の首すじに顔を埋めた。

く、くすぐったい!舐めるな!吸い付くな!


彼の手が腰のあたりで怪しい動きをしている。


こ、これはもしかして……。

うっかり忘れてたけど、花嫁さんの仕事にはこういうことが含まれているんだった!


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