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SWEET TRAP  作者: 麻乃そら
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第十五話

僕に嫌われたら面倒なことになるから、ご機嫌を取る為にそんなこと言うのかなあ……。

僕は、紳一郎さんの言葉を素直に信じることができなかった。


「そうですか。

アンリさん、そのタオル取り替えてもらいましょうか?

ほっぺた、まだ赤いですよ?」

「え?ああ、シンイチロウのせいで汚れちゃったしね。頼もうかな?」

「……サラッと流すなよ。確かに出会いはあんな形だったが、俺は」

「何?何?

君達って、どうやって知り合ったの?」

アンリさんが紳一郎さんの言葉を遮って身を乗りだした。

「こんなに可愛い男子高校生と知り合うにはどうしたらいいの?

ぜひ、教えて欲しいなあ。

出会い系サイト?それとも、デートクラブとか?

もしかしたら、援助交際が愛に発展したんだったりして……」

「え、援助交際?」

「……おい、望を侮辱するな」

紳一郎さんの冷たい声に、アンリさんは固まった。

「シ、シンイチロウ、そんなに怖い顔しないでよ。

冗談に決まってるじゃないか……。あ!またジンジンしてきた」

アンリさんは誤魔化すように言って、タオルで顔を覆った。

「コーヒーくさい……」



冗談にしてもひどいよ。

確かに大企業の後継者の紳一郎さんが、只の高校生の、それも男の僕と結婚するなんて不自然だけど。

僕が花嫁に選ばれた理由は朝吹家の一部の人達しか知らないから、変に思う人は多いんだろうな……。


もし、あの桃まんじゅうを食べて指輪を見つけたのが他のひとだったら、

紳一郎さんはそのひとを花嫁に迎えていた筈なんだ。

朝吹のおばあさんが決めたひとなら、誰だって良かったんだよね。

僕じゃなくても……。


「望、何を考えているんだ?」

「別に……」

押し黙った僕を見て、紳一郎さんはもう一度アンリさんを睨みつけた。

「シ、シンイチロウ!

本題に入ろうじゃないか。

とりあえず、いくつか選んで持ってきたんだけど。

やっぱり特別にふたりの為にデザインした物の方がいいんじゃないのかなあ」

何のこと?

「俺達の結婚指輪だよ。

アンリは、ジュエリーデザイナーだ。……只の知り合いで、変な関係じゃないぞ?」

「結婚指輪?」


そういえば僕は結婚指輪を持っていない。

男同士で教会で式を挙げるのは難しいらしくて、僕達は結婚パーティしかしなかったんだ。

従って指輪の交換とかもなくて、特に必要なかったんだけど……。

パーティの時は、例の家宝の指輪をはめさせられたんだっけ。


「君達の美しい指を、僕がデザインした指輪で飾ることが出来るなんて

考えただけでゾクゾクするよ……」

アンリさんが目を閉じてうっとりと言った。


……紳一郎さん、人選を誤ったんじゃないの?


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