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転生したらアンデルセンになっていた!  作者: 上野 拓夢
Episode one カエルの王子様
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scene.10   悪い魔法使い探しに出発する

 メアリーと旅の約束した日の夜、僕達は巨大蜘蛛やニーズヘッグを倒した際に得た魔宝石の換金。また、武器や装備品の用意、そして、呪いを掛けた魔法使いの情報集めをする。


 武器に関しては、どれも中古ながら、ピーターはダガーナイフ。僕はクロスボウ、アンナは魔法の杖、ミカエルはちゃんとしたスピアーを手に入れた。 防具の方はこれから長い歩き旅をするのもあり、余り重くない簡易的な物を準備する。


 しかし、呪いを掛けた魔法使いの情報に関しは、若しかしたら北部の大森林の方に居るんじゃないか? 程度の情報しか手に入らなかった。


 翌朝、出発を控えて、宿の玄関で待っていると、遠くの方から銀色の何かが近づいてきた。


「な、なんだあれ!」


 歩く度にシャリン、シャリンと金属の擦れる音が聞こえてくる。よく見ると、その銀色の何かはメアリーだった。銀色のスモッグに銀色のウインプルを被って、背中に革製のリュックを背負っている。


「メ、メアリー! あんた、何だいその格好は?」


 さすがのアンナも声を荒げる。


「えっ、チェーンメイルですわ、ふふふ、でも一見するとグレーのセーターみたいでしょ、このウインプル……頭巾の方も自然ですよね、実はこれも鎖で出来てるんですよ、さり気ない感じでカモフラージュしましたよ」


 メアリーは自信満々に言及してくる。


「バレバレだ馬鹿ちんが! さり気なく旅に出発しようとしているに、そんな重装備じゃ如何にも戦いに行くって格好じゃないか!」


「えっ」


 メアリーは解っていない様子で首を捻る。


「あ、あんたは、さり気ない感じだと思っているけど、全身ピカピカの金属の編み物だらけで変だよ! 物々しいよ! それにそれ滅茶苦茶重くない? この先は歩き旅だよ?」


「別に平気ですけど……」


 この子ちょっと天然かもしれない。何かが変だぞ。


「と、兎に角、目立たない様にさっさと出発するよ!」


 アンナは周りを気にしながら出発を促した。


 そうして、僕、アンナ、ピーター、ミカエル、メアリーの5人で王都から出発した。向かうは北に広がる大森林だ。


 王都を離れるに従って、人や家が減っていき、灌木や草原が多くなっていく。


「なあ、アンナ、この先はどう考えているんだ? 情報通りに北の大森林に向かうのか?」


 ピーターが改まって質問する。


「ああ、それで北の大森林の手前に村があるらしい、そこで再度聞き込みをしよう。その辺りで知っている人を探そうと考えているんだよ……」


「確かに違う場所での聞き込みなら、また新たな情報が手に入るかもしれないな……」


 ピーターは納得したような顔で頷く。


 王都と辺境の村の間は道が整備されている訳ではなかった。当然荒地や沼地や森を超えていく、決して平坦な道のりではない。


「はあ、はあ、はあ、はあ、はあはあ……」


 激しい息遣いが鳴り響く。


「メ、メアリー、大丈夫かい?」


 僕、アンナ、ピーターの数メートル後ろをメアリーとミカエルが歩いている。恋愛的には良いセッティングなのだが、多分それどころじゃない状態だ。


「あああっ、お、重いわ……」


 そりゃそうだ。


「だ、大丈夫かい、メアリー?」


「え、ええ、大丈夫です。はあ、はあ、はあ……」


 と言うものの、メアリーはもう亀が歩ているようなスピードだった。


「もう、それ脱ぎな、無理だよ、そもそも普通の格好で良いんだよ」


 アンナが苦言を呈する。


「で、でも、戦いになったら、こ、これは心強いですよ」


 額の汗を拭いながらメアリーが答える。


「でも、このペースじゃ、いつになったら北部の村に着けるか解らないよ……」


 アンナの言葉に、皆は同意の頷きを見せる。それを見たメアリーは頬を膨らます。


「もう、わ、解りましたよ、脱ぎますよ」


 渋々といった様子でメアリーはチェーンメイルを脱ぎだした。


 重い衣装のウエイトトレーニング状態の所為か、下に着ていたシャツが汗で張り付きボディラインがくっきりと見える。細身の体付きのくせに胸が大きくかなりセクシーだった。


「おおおおおおおおおおおおおっ」


 僕とピーターは美しいスタイルに思わず声を漏らす。僕とピーターの心に真実の男の本能が目覚めた瞬間かもしれない。


「い、いけない! メアリー、男の男達の嫌らしい目が、目付きがやばい、私の防具を貸してやる。早く身に着けるんだ!」


 ミカエルは僕らの視線を遮るように、革製の胸当てをメアリーに押し付けた。


「あ、ありがとうございます。で、でも、これを頂いたらヘンリック様が心配です。あっ、そうだ、じゃあ、これを貸してあげます、交換しましょう」


「えっ、交換?」


「どうぞ」


 強引にメアリーはミカエルにチェーンメイルを被せていく。


「おっ、うわっ」


 今度はミカエルが銀色になった。そして急に動きが止まる。


「お、お、重い…… 重くて動けない…… メアリー、こ、これ一体、何キロあるんだい?」


「多分40キロ位ですかね?」


「40キロ! 重すぎだよ…… 修行じゃないんだから……」


 結局、チェーンメイルはこの場に残していく事にして、ミカエルもメアリーも簡素な防具へと着用し直した。


 そんなこんなしながらも七日の行程を経て、僕らは北部の村へと到着した。



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