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蝶と庭と 一夜目:5
服を脱いだ記憶がないし、どうやってお風呂場に来たかも覚えてないけれど、わたしはお風呂に入っている。周りではみんなが、その気持ちよさに咲っている。寝っ転がって、全身をお湯の中に鎮める。このままお湯の中で揺られていると、自分の存在の境界が曖昧になって、解けていってしまいそう。目を開ければ、水面に揺蕩う太陽がキラキラ輝いていて、とてもキレイだった。腕を伸ばして見ても、やっぱり掴めないけれど、そんなに深くないはずのお湯に包まれて、温かかった。湯船の底も固くなく、羽毛のように柔らかい――。
わたしは思い出す。
ああ、そうだった。これは夢だった。と。そう考えたら、途端に夢は遠のいて、辺りは真っ暗闇に飲み込まれてしまう。周りにいたみんなも、油絵のように引き伸ばされて、やがてすべて星月夜のようになっていく――。




