宝石と人魚と:3
途中です。
セルキーに話を振ると、思い出したようにここに来た理由を話した。
「えっとね、トモダチにとびっきりのプレゼントを贈りたいんだ」
もう少し詳しく訊いてみると、どうやら人魚の友達の結婚式があるのだという。
「どうしてボクなのさ?」
「ニンゲンに詳しいのトトしか知らなかったから……」
「ニンゲンは結婚する時に、お嫁さんは白くてふわふわな服を着て、きらきらした石とかでオシャレするんでしょ?」
「だから、てぃあら? っていうのをプレゼントしたいと思って!」
そう言ってセルキーが取り出したものは、ガラス瓶いっぱいに入った、真珠や硬貨、ガラス片や金属片といったものだった。
妖精が人間の見様見真似をすることは、それなりに多くあることだ。大抵の場合、その結末は悲惨なものとなるが、これは純粋な、友を想う愛に他ならない。であるのならば、協力しないという選択肢はないだろう。
セルキーは自信ありげに自分の宝物を見せびらかしている。ボクは人間の価値観に寄ってしまっているから、その宝物をとりわけ美しいと感じることはもうできない。これが、人間と妖精の価値観のズレであり、好友の亀裂になる果実であると思うと、少しばかり哀しくなる。
きっと、そのキラキラした宝物でティアラを作ってほしいということなのだろうけれど、悩ましいところだ。贈り物をする相手が、同じ妖精の類である人魚というのであれば、問題はないだろう。けれど、ここは友として『本物』を作ってあげるべきではないだろうかとも考えてしまう。
答えの出そうにない迷宮に迷い込んでいると、愛しい隣人が不安そうに訊いてきた。
「ねぇトト、無理そう……?」
「大丈夫だとも。ボクに任せて」
泣きそうな顔でそう言われてしまっては、もうそう答えるしかないだろう? 妖精はあぁだ、こうだ、と言うボクも、なかなかにあまいらしい。
「本物のティアラを友達にプレゼントしてあげよう」
セルキーはその喜びを全身で表現した。
「その宝物は大切にしておきなよ。思い出がたくさんつまっているものなんだろう?」
……




