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蝶と庭と 二夜目:6
ティターニア……トレニアちゃんの裾がふわりと舞い上がりました。トレニアちゃんのドレスは、白いバラのように淡く透けて、森に描いた絵のようでした。今だけはなんの翳りもなく、子どもみたいに咲っていました。
温室の奥、シルシアちゃんたちの影は月明かりの下でひとつに溶けて、星降るガラス越しの夜空のもと、音もなく踊り続けたのです。
トレニアちゃんは軽く手を取ると、もう一度、そっと回りました。足取りはまるで月の光に導かれるように自然で、音もなく床を滑るようにキレイでした。夜の蝶々は、その舞踏の輪を描くようにふわりふわりと飛んでいて、お宙に描かれた光の粒は、ゆっくりと天井のガラスに吸い込まれていくようでした。
トレニアちゃんの銀の髪は回るたびに流れて、まるで水面に映った月が揺れているみたいでした。シルシアちゃんの髪も夜風に撫でられて、淡くほつれるように揺れて、頬にかかるその細い髪を、トレニアちゃんが指先でやさしく払ってくれました。さっきのことを思い出して、ちょっぴり恥ずかしかったのです。




