蝶と庭と 白昼夢:6
家の玄関先、プーカとシルシアはバスケットの中身を確かめていた。魔力で編まれたイースターエッグには、さまざまな模様が刻まれていて、そのひとつひとつに小さな幸せを運ぶお呪いが掛けてあるという。それぞれに小さなリボンを結び、手紙の代わりに野の花を一輪添える。
準備が整うと、まだ片付けをしていたシルキーが、お見送りをしてくれた。手を振れば、彼女も控えめに手を振ってくれた。
プーカとシルシアはふたりでバスケットを手に、道を歩いていた。ひとつめのお家に着くと、ふたりは立ち止まって、悩み始めた。
「プーカちゃん、贈り物はどこに置いたらいいんでしょうか」
「ポスト中でいいんじゃないかな、安全だよ」
「イタズラなんですよね?」
「イタズラだねぇ」
プーカは、ポストの中では妖精のイタズラのようにはみえないと、シルシア言われると、曖昧な苦笑をするほかなかった。確かに、もう少し、愛しい隣人からの細やかなサプライズであることも主張したい。やいのやいのとイタズラを考えた結果、窓辺に置いていくことに決めた。これだったら、いつの間にか愛しい隣人が置いていった贈り物であることを伝えられるし、気が付かないなんてこともないだろう。と考えたのだ。もしも、窓が開いていなかったら……魔法で開けてしまえばいい。その方が、きっとイタズラらしい。
幸いなことに、ひとつめのお家の窓は開いていた。ふたりして、ひょっこり顔を出してお家の中を見てみるものの、お家の主は見えなかった。そっとイースターエッグと野の花を置いて、ふたりは次のお家へと向かっていった。
――窓からはお家の中の人は見えなかったが、そこには老夫婦が住んでいた。老婆は部屋の片隅で、揺り椅子に揺れながら、編み物をしていたのだ。
プーカとシルシアはお家のすぐ前で議論を繰り広げていたものだから、当然、その声は老婆にも届いていた。聞き慣れない少女たちの声を聞き、いくらか気になって、少し曲がった重い腰を上げて、様子を見に来た。
しかし、その頃には少女たちはもう次のイタズラをしに行く途中だった。
窓辺に置かれたイースターエッグと、少女たちの背中を見て、老婆は静かに咲った――。




