蝶と庭と 白昼夢:4
おはようございます。
また、30分置きに更新していきますね。
シルキーの焼き上げたクッキーは、表面はほんのりと黄金色をしていて、陽射しを中に閉じ込めているようだった。ひとくちかじれば、サクッと微かな音を立てて、舌の上でほろりと崩れる。そして、ハチミツの甘みが広がっていく。その美味しさには誰もが目を細める。ティーカップの縁をそっとクチに寄せて香りを楽しみながら喉を潤す。温かなリンゴの香りが鼻を抜けて仄かに広がり、僅かな酸味が、先程の甘みと溶け合っていった。
「まぁ……とっても優しい味ね」
ケット・シーも、プーカも、耳が下がってとてもリラックスしているようだった。
「すごい、これ、いくらでも食べられちゃいそう」
バターとリンゴのいい香りが漂ってきたかと思えば、シルキーが焼きたてのタルトタタンを持って来てくれていた。先程の称賛が聞こえていたのか、彼女は咲っているように見えた。
琥珀色に焼かれ、厚く切られたリンゴは、蜜をたっぷりと蓄えていた。柄が木製のケーキナイフをそっと落とせば、リンゴの柔らかな層がふわりと崩れた。リンゴとバターの芳醇な香りがとろりと溶けていく。
「シルキーちゃん、ありがとうございます」
シルシアはシルキーへ感謝を告げると、小皿にクッキーとタルトタタンを分けて、お茶も一緒に出窓へ置いた。
切り分けられたひと切れを、フォークにそっと乗せる。口へ運ぶとキャラメルの香ばしさが鼻腔を満たし、ひと噛みするごとにリンゴのとろけるような舌触りが広がる。甘さの中にある、微かな酸味と苦味。幾重にも重なる風味が、舌の上でゆっくりとほどけていく。ひとくち、またひとくちとクチに幸せを運ぶ。舌の上には、まだキャラメルの香ばしさにリンゴの甘みが微かに残っている。それをそっと和らげるようにお茶を含めば、幸せに満ちたクチの中を解いていく。
甘い香りとやさしい色が、小さな庭に満ちていく。
いつの間にか、テーブルの上には空になった皿と、使い終えたティーカップが並び始めていた。ほんのりと残る甘い香りと、淡いハーブの余韻が、まだ空気の中に漂っていた――。
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