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シルシアの手記  作者: ぺぺ
蝶と庭と
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蝶と庭と 一夜目:7

01:30まで30分置きに更新中です。

 ふと空気が揺れたような気がした。次の瞬間、目の前にふわりと淡い光が舞い降りる。光の中から現れたのは、手のひらほどの小さな存在。透き通る(はね)が微かに震え、淡い金糸の髪が風もないのに揺れている。突然のできごとに声も出せず、わたしはただ、瞬きを繰り返すしかなかった。


「どうしたの? お姫さま?」


 その小さなお隣さんが、わたしの顔をまじまじと見つめる。


「大丈夫? ティターニア?」


 ケット・シーに名前を呼ばれ、わたしはようやく、ぎこちない返事をする。


「――あ、うん。大丈夫よ」

「少し考えごとをしてて」


 わたしはどうしていたのだったろうか。少し辺りを見渡して、思い出す。

 そうだった。愛しの隣人(ロビン)たちとお茶会をしていたんだった。手元には飲みかけのお茶がある。その落ち着くセピア調のお茶をクチに含めば、仄かな香りが広がっていき、体を温める。

 それで――。

 お茶会をしていて、どうしたんだっけ。

 そう、確か、プーカはブラックベリーのケーキを美味しそうに食べていて。ケット・シーやわたしはタルトタタンを食べていたんだっけ。トトは相変わらずお茶を飲みながらみんなの会話を聴くだけで、シルキーはクッキーを食べていた気がする。このお茶会のおかしは全部、彼女の手作りなのよ。

 みんなが咲っている。とても温かい空間。けれど、どうしてだろう。わたしの心は、どこか冷えている。みんなの声がよく聞こえない。誰も、わたしを気にしていない。


「淋しい、な――」


 そう、心を漏らした途端、夜の帳が降りてくる。

 落ちてゆく空気は、まるで水面の下に沈むときのように重く、ひやりと肌を撫でる。視界をくぐる金糸の光が、ゆらゆらと蜃気楼のように揺れていた。わたしはその光を指でそっと掬おうとして、叶わずに、そっと手を下ろした。いつのまにか、周囲の騒がしさも遠のいていた。ケット・シーも、プーカも、お隣さんたちも。トトやシルキーも。耳を澄ませば遠い森のざわめきのよう。気がついたらわたしは、見知らぬ庭にひとり立っていた。


ご読了ありがとうございます!

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