政府動く
しかし、政府は真実に気づきませんでした。
里の政権のウサギたちは、広陵高校の事件を重く見ていました。しかし、彼らが日頃から読んでいたのは、月影新聞が選んで伝える情報ばかりでした。SNSで子ウサギたちが発信していた生の声や、他の小さなメディアが伝える不都合な真実には、耳を傾けることがなかったのです。
月影新聞は、事件の原因を、**「掲示板(SNS)に飛び交った過剰な情報とデマ」**であるとすり替えました。そして、政府もまた、その言葉を鵜呑みにしました。
**「真実を告発した子ウサギたちの声は、デマである」**と断じられ、月影新聞の目論見はまんまと成功しました。
里の平和を守るためという名目のもと、政府はSNSの規制に乗り出しました。真実を告発するスレッドは次々と削除され、子ウサギたちの声はかき消されていきました。
こうして、月影新聞は、自分たちの権威と利益を守るため、自らの過ちを反省することなく、新たな敵(SNS)を作り出し、その自由を奪うことに成功したのです。里は再び、少数の者が情報を独占し、真実が隠蔽される危険な時代へと向かい始めたのでした。