定め
そして、それは人が老いるという悲しい定めでもありました。
月影新聞の記者たちも、若い頃はそうではありませんでした。彼らもまた、かつては時の権力に対して、熱い情熱を持って抵抗していたのです。学生運動に参加し、ビラを配り、ミニコミ誌を作り、カセットテープに録音した演説を仲間たちに広めていました。
そして、当時の大人たちは、そうした若者たちの活動を、「生意気だ」と一蹴するのではなく、見守る度量がありました。若いうちは、時に過激になりながらも、自分たちの社会をより良くしようと行動する、そのエネルギーを認めていたのです。
しかし、時が流れ、権威を築き上げた今の月影新聞には、その度量すら残っていませんでした。
かつて自分たちが時の権力に抵抗したように、今、SNSで声を上げている子ウサギたちの情熱を認めようとはしませんでした。それどころか、自分たちの権益を守るために、彼らの発言を封じ込めようとしたのです。
子ウサギたちは、そうした月影新聞のダブルスタンダードな態度に、権力を持つ者が陥る「権威主義の暗黒面」を見出しました。
過去の栄光を自慢する彼らの姿は、自分たちを批判した若者たちを受け入れることができず、ただひたすらに自分たちの正当性を主張するばかりでした。子ウサギたちは、自分たちの親世代が経験した悲劇が、形を変えて再び里に忍び寄っていることを肌で感じたのです。