月影の企み
しかし、月影新聞のたくらみは続いていました。
かつてオオカミの軍部を批判したことで、月影新聞は「正義の味方」という新たな権威を手に入れていました。里のウサギたちは、月影新聞が言うことを正しいと信じ、その情報を鵜呑みにしていました。
しかし、子ウサギたちがSNSで真実を語り始めたことで、月影新聞の権威は揺らぎ始めました。自分たちの知らないところで、情報が自由に流れ、これまでコントロールしてきた「物語」が崩されていく。月影新聞は、自分たちの権利と利益を失うことを何よりも恐れました。
そこで彼らは、里を治める政権のウサギたちにこう持ちかけたのです。
「あの掲示板(SNS)は、デマや嘘が飛び交う危険な場所です。里の秩序を守るため、規制するべきです」
この言葉は、一見、里の平和を守るための提案のように聞こえました。しかし、その真の目的は、自分たちの都合の良い情報だけを流し、里の情報を再び自由に操ることでした。
これは、反省どころか、真実を封じ込めることで里のウサギたちを再び無知のままにし、都合の悪いことが起きても誰も声を上げられない、かつてのオオカミの時代へと里を逆戻りさせる危険な思想でした。
子ウサギたちは、かつてのオオカミの軍隊が、国民を欺いて戦争に導いたように、今度は月影新聞が、自分たちの利益のために里の自由を奪い、危険な道へと導こうとしていることを悟ったのです。