そして、その年の夏。
そして、その年の夏。
その年は、ちょうどオオカミたちが戦争をして負けてから**80年という節目の年**でした。
月影新聞は、この「終戦記念日」にちなんで、オオカミたちの愚かさや戦争の悲劇を伝える、様々な記事を書きました。「二度と過ちを繰り返してはいけない」と高らかに語り、平和の尊さを訴えました。
しかし、子ウサギたちは、月影新聞の言葉に全く心を動かされませんでした。
なぜなら、彼らの記憶には、つい先日、自分たちが直面した出来事が鮮明に残っていたからです。暴力事件を揉み消し、真実を隠そうとした月影新聞の姿勢は、過去のオオカミ新聞と何一つ変わっていなかったのです。
子ウサギは確信しました。
**もし80年前、新聞しかなかった時代ではなく、誰もが情報を発信できるSNSがあれば、戦争は防げたかもしれない**、と。
オオカミ新聞が「大勝利」と嘘のニュースを流しても、戦場にいた兵士や、家族を失ったウサギたちがSNSで真実を投稿すれば、その嘘はすぐに暴かれていたはずです。
月影新聞の報道は、自らの過ちを反省しないまま、過去のオオカミの愚行を批判する、空虚な言葉に過ぎませんでした。子ウサギは、声を上げ、真実を伝え、そして社会を変えることの大切さを、身をもって学んだのです。